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井戸で有名あの幽霊?の話(前編

「呪いのビデオって知ってるか?」



 そう、僕の悪友は言って聞いてきた。

「一昔前に流行った奴だよね?」

「そうそう。内容まで覚えてるか?」

「確か、井戸の映像が流れて時間が経つにつれ、井戸から女の人が出て来て、最後は画面に引きずり込まれるって話だったっけ?」

「おお!覚えてるな!その通りだ!」

「それで?それがどうしたんだい?」

「実はな?そいつが手に入ったんだよ!」

「へ~」

「もっと興味持てよ!せっかくの呪いのビデオだぞ!?」


 興味が湧かないから仕方無い。

「嫌、だってそれが本物か分からないだろ?君はもう見たのかい?」

「見てない」


 おや?

「それまた何で?」

「本物だったら怖いだろ!?」


 僕は「こいつ高校生にもなって何言ってるんだ?」と言う目で彼を見つめた。

「おい、高校生にもなって何言ってるんだ?こいつ。見たいな目をするんじゃない!」


 驚いた。彼は心の中が読めるらしい。

「すまない。まさか心を読めるとは思わなかった。」

「やっぱり思ってたのかよ!?」

「うん」

「即答すんなよ!?俺が情けなく感じてくるだろ!?」


 実際その通りだと思うのだが……

「まあ、それは置いておいて。結局その話を僕にした理由は何?」

「うむ。お前には栄誉あるこのビデオの第一視聴者にしてやろう。」

「なるほど。最初に見て呪いにかかると怖いから、代わりに見て欲しいと……」

「何故バレた!?」


 何だろう?こいつの相手をしていると僕まで頭が悪くなった様に感じてくる。

「はぁ」

「何ため息ついてんだよ~」

「お前のせいだよ馬鹿」

「馬鹿って言った奴が馬鹿なんだぞ~!」

「子供かよ……」


「で、受けてくれるか?」

「報酬は?」

「学食好きなの一日」

「一週間」

「2日」

「6日」

「3日だ!」

「5日」

「……4日だ!これ以上はマジで勘弁」

「仕方無いなぁ。受けてあげるよ」

「おお!ありがとう心の友よ~」

「寄るな暑苦しい」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・



 そんなこんなでビデオを見ることになった訳だが

「このご時世にビデオとか……」

 そんな事を呟きながら僕はビデオを再生したのだった


 ビデオの内容を簡単に説明すると、怖いもの見たさでビデオカメラを持った三人組で古井戸を撮影しに行くってだけの良くあるお話だ。

「別に特に変な部分もないけど……」

 取り敢えず古井戸発見までとばすか。


 そして三人組が古井戸を発見する。

 すると古井戸からほっそりとした腕が現れた。それを見た三人組はビデオカメラを投げ捨てて逃げた様だ。地面に落ちてもカメラは古井戸と撮ったままだ。そして古井戸から頭が現れた。長い髪で顔の前を隠しているから表情は分からない。そして、肩、上半身、下半身と順番に出て来て這いずる様にしてカメラへと向かってくる。


 体つきなどからして多分女だろう。

「か、かなり本格的に作られたビデオだな。中々怖いじゃないか。」

 そして遂に女がカメラの画面へと手を伸ばした。

 そして、




 ()()()()()()()()()()()()()




「……はぁ?」



 僕は意味が分からなかった。ビデオを見ていた筈だ。ただのビデオだ。3Dに何てなるはずないし、そう見えるメガネも掛けていない。どう考えてもあり得ない。


 なのに、その手は僕に少しずつ近付いてくる。

 あの噂話通りなら逃げなくては画面に引きずり込まれ、死んでしまう。けれど、どんなに逃げなければと考えた所で足が凍り付いた様に動かない。


「な、何なんだよ!動け、動けよ!逃げなくちゃしんじゃうんだぞ!?」

 どんなに叫ぼうと、力を込めようと足が動かない。目は画面を越えて迫ってくる腕を見つめたまま、一切逸らすことが出来ない。


 そして、後数㎝でその手は僕の顔を掴む……

「うわあぁ!」

 僕は動かない下半身の代わりにありったけの声で叫び、ただ、がむしゃらに手を振り回した。

 だが、そんな事で迫り来る腕からは逃げられず、女は猟奇的な笑みを顔に浮かべた。

 その腕が僕の顔を掴む……

「来るなぁぁぁぁぁぁぁ!」







 ピッ……




 振り回していた手が何かに当たった様だ。

 それは、テレビのリモコンだ。リモコンの巻き戻しボタンに手が当たっていた。

 そして、




「え、え?嘘でしょ?ちょ、待って!後少しでこの子を引きずり込めるのに!い、いーやーーーーーーーー!!!!」



 と間抜けな声を残して腕ごと女は画面の中へ戻り、井戸へと帰って行った。


「な、何だったんだ今のは?」

 僕は本当に死んでしまうかと思っていたので、今でも心臓がバクバク鳴っている。

 少し放心状態になっていると、巻き戻しが終わったのだろう。また、女が井戸から出て来た。先ほどと同じように這いずり此方へと近付いてくる。そして、また足が言うことを聞かなくなってくる。


「フ、フフフフフ!さっきはまんまとやられちゃったけど、もう逃がさない!貴方もこっちへ引きずり込んであげる!!」

 そう画面越しに女が言ってきた。そして顔に手が当たる瞬間、僕は


 手に持っていたリモコンの巻き戻しボタンを押した。


「ちょ!?また?またなの?ま、待ってだから後少しなのに!?っていーやーーーーーーー!」


 またもや先程と同じように画面に吸い込まれて行った。

 そして、その姿を見た僕はそれはそれは愉しげな笑みを浮かべた事だろう。

「怖がらされた仕返しをしてやろう(ニヤァ」

 そして、巻き戻しを止めて再生を押すと……


「ゆ、許さない!!私を何だと思っているの!絶対後悔させてやる!!!」

 そう言って今度は這いずる事を止めて、プロの陸上選手の様にキレイなクラウチングスタートを決め僕へと迫ってきた。

 先程まで這いずり移動が嘘の様な速度に僕は驚き、そして、


「ふーははは!これで、今度こそ終わりよ!!」

 さっきより早めに巻き戻しを押すことにした。


「って、またなのーーーーーー!?」

 再生

「絶対に許さないんだから!!!」

 巻き戻し

「いーーーやーーーーー!?」

 再生

「許さない許さない許さない許さないゆr」

 巻き戻し

「喋ってる途中なのに~~!?」

 再生

「ちょ、ま、ソロソロ、戻されるの、本当に、キツイ、本当に勘弁して下s」

 巻き戻し

「あ~~れ~~!?」

 再生

「ゼェゼェ、ちょ、ハァ、も、無理だから。本当に無理だからぁ(涙)」

 巻き戻し

「…………ええ!?こんなに言ってるのにこの悪魔~~~~~~~~!!!」

 



なんて、やり取りを後10回位繰り返した所

「も、ごべんなざい。も、じないから。許じて下ざい~(涙)」

 とガチ泣きされてしまった。

「はぁ~」

 僕はため息を吐き、画面から腕の届かない範囲まで出て、女が画面から出てくるのを待つことにした。


1話完結で作ると言ったな?あれは嘘だ!…………はい!すいません。何だか書いているうちにどんどん内容が増えてきてこのままだと長すぎる気がしたので早速2部構成にさせて頂きます。嫌~、自分で考えてたより長くなってしまい、中々驚いている今日この頃です。

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