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第九十三夜 聖剣伝説~ファイナルファンタジー外伝~

一つ、ゲームの話でもしようか。



以前ご紹介した「ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト」の他にも、「ファイナルファンタジー」の名を冠したナンバリング以外の作品は数多く出ています。最近のものだとアーケードで絶賛稼働中の「ディシディアファイナルファンタジー」や、PS4への移植が決まった「ファイナルファンタジークリスタルクロニクル」なんかがありますね。

スクウェアにとって「ファイナルファンタジー」のネームバリューはそれだけ大きく、不動のものであるのです。それはエニックスと合併し、スクウェアエニックスと社名を変えた今でも変わりません。

そんな「ファイナルファンタジー」の名を受け継ぎ派生した作品の中には、後の大ヒットシリーズになったものも幾つか存在します。上で上げた二つも、本数を重ね長く愛されるシリーズへと成長しました。

ですがスーパーファミコン、プレイステーションに跨がり大人気となったこのシリーズも最初は「ファイナルファンタジー」の派生から始まった事を知っているユーザーはどのくらいいるでしょうか? 今回はそんな、スクウェア黄金期を支えたシリーズの一つの処女作をご紹介したいと思います。

その名は「聖剣伝説~ファイナルファンタジー外伝~」。知っている人は当時を思い出しながら、知らない人は新鮮な気持ちでご覧下さい。


本作はゲームボーイ初期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりゲームボーイにて発売されたアクションRPGです。タイトルデザインは一見綺麗なのですが、よく見るとローマ字で『Seiken』と書いてある辺り何と言うか、時代を感じます。

ストーリーはグランス公国の奴隷として闘技場で日夜モンスターと戦わされていた主人公は、親友だったウィリーの死を切欠にグランス公国からの脱走を決意する。脱走決行の日、首尾よく闘技場から逃げ出す事は出来た主人公だったが逃亡の最中、グランス公国の王シャドウナイトと側近ジュリアスの密談を偶然にも耳にしてしまう。更にシャドウナイトにも見つかってしまい、崖から落とされる主人公。落下した先が滝壺だった事で一命を取り留めた主人公は町を探す途中、モンスターに襲われ瀕死の男から一人の少女を託される。その少女こそが、シャドウナイトが狙う『マナの樹』の力を手に入れる為の鍵となる存在だった……というものとなっています。

本作にはクリスタルこそ出てきませんが「ファイナルファンタジー」を意識した部分は多く、初代「ファイナルファンタジー」のボス四体と同名のボスが出たり魔法の名前が同一だったり、移動手段としてチョコボが出てきたりします。本作のチョコボは何度乗り降りしても森に帰る事はなく、印象的なイベントも用意されているので本作でチョコボが好きになった人も多いのではないでしょうか。


本作の特徴と言えば何と言っても、様々な武器や魔法を使い分け道を切り開いていくシステムです。似たようなシステムが「ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト」でもありましたが、本作はその原型に当たると思われます。

斧で木を切り倒したり、鎖鎌を振り回して草を刈ったり、フレイルを杭に絡めて離れた所へ移動したり、モーニングスターで壁を壊したり。魔法の方も、放った後で軌道を操作出来る氷魔法ブリザドを使い敵を雪だるまに変えてスイッチの重しにしたりなど決して攻撃一辺倒ではありません。

武器や魔法だけではなく、アイテムを使い道を切り開く場面もあります。鍵のかかった扉の多いダンジョンでは鍵は必要不可欠ですし、モーニングスターが手に入るまでの間は回数制のマトックを使い壊せる壁を壊していかなければなりません。

これらアイテムが多く必要となるダンジョンでは敵からドロップ出来る場合もありますが一部、アイテムの備えが十分でないと完全に詰んでしまうダンジョンもあるのでアイテムの貯蓄はなるべく万全に。ただし装備を買わないと先に進めない場面もあるので、ある程度纏まったお金は常に残しておきましょう。

「ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト」との違いはやはり道を切り開くのに使うだけでなくそれら武器や魔法で直接敵を攻撃出来る点で、そこが本作の爽快感に繋がっている気がします。自動で溜まる攻撃ゲージを最大にしてから攻撃すると武器毎に必殺技を発動する事も出来、正直使い辛くはあるもののそのド派手さは見逃せません。


勿論冒険していれば良い事だけではなく、悪い事も起こります。本作では敵から攻撃を受けた際にバッドステータスを付与される事があり、一筋縄ではいかなくなっています。

例えば毒を喰らえば一定時間HPが徐々に減っていき、モーグリ化を喰らえば移動以外何も出来なくなります。幸いアイテムでの治療は可能なので、バッドステータスにかかってしまっても慌てず対応する回復アイテムを使いましょう。

自分の今使っている武器の有効範囲をよく把握し、敵から攻撃を受けない位置取りを常に心掛けましょう。それだけでも、不意のバッドステータスによる悲劇は避けやすくなります。


主人公の辿る道筋は決して平坦ではなく、同じくゲームボーイで発売された「Sa・Ga」シリーズと比べるとストーリーにも重きが置かれている感があります。特に本作のヒロインが迎えた結末は、鮮烈な印象となってプレイヤーの心に残ったものと思われます。

何度苦難に見舞われても懸命に前に進み続ける主人公の姿はさながら少年漫画のようで、良い意味での王道を感じさせます。欲を言えば宿敵となるシャドウナイトにもう少しストーリーが欲しかったところですが、ゲームボーイソフトにそれは贅沢というものでしょうか。


文章にしてみると意外とコンパクトな作りであった事に驚かされつつ、それなのにあれほどまでに深く没頭して遊ぶ事が出来た本作はやはり名作と呼ぶに相応しいと思わざるを得ません。この後「聖剣伝説」シリーズは「ファイナルファンタジー」の派生を脱却し、独自のシステムと世界観を構築するに至るのですがそれはまた次回以降に。



とりあえず、今回はこれにて。

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