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第九十夜 半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!

一つ、ゲームの話でもしようか。



リアルタイムストラテジー、というジャンルがシミュレーションゲーム内にあります。通常シミュレーションゲームというのは自分のターンと敵勢力のターンを交互に迎えながら進めていきますが、リアルタイムストラテジーにはターンというものがなく味方の進軍、敵の進軍その全てが文字通りリアルタイムで行われるというシミュレーションゲームの中でも少し難しめのジャンルになります。

元々はパソコンで生まれたこのジャンルを、ファミコンに持ってきたのがスクウェアの「半熟英雄」です。戦略性の高さとどこかとぼけたコミカルさを併せ持ったこのソフトはリアルタイムストラテジーというジャンルを一般に伝える事に成功し、売れ行きはそれほどではなかったものの一部にコアなファンを生み出しました。

そして時は流れ、スーパーファミコンの時代。「半熟英雄」はパワーアップを果たし、再び世に送り出される事になったのです。

それが今回のテーマ、「半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!」です。それではいってみましょう。


本作はスーパーファミコン黎明期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたシミュレーションゲームです。設定的には前作「半熟英雄」の後の話という事になっていますが、直接的な繋がりはないに等しいです。

ストーリーは前作にて大陸統一を果たしたアルマムーン国王である主人公。しかしその後は腑抜けていく一方で、折角結婚した姫にも逃げられ大臣が胃を痛める日々に。そんなある日、『完熟クイーン』を名乗る謎の女が完熟軍を率いて現れアルマムーン城以外の城を全て攻め落としてしまう。それでもいまいちやる気のない主人公の尻を何とか叩き、打倒完熟軍に闘志を燃やす大臣。果たして完熟軍の目的は? そして主人公はかつての栄光を取り戻せるのか? どこかスチャラカで緊張感のない戦いが、今幕を開けた……というものになっています。

本作は章形式になっており、ボス将軍を倒す事でその章はクリア、次の章に進む事が出来ます。章を遡ってプレイする事は出来ず、自軍の状態は所属している各将軍のコンディション以外章を跨いでも持ち越しとなります。

前作では毎月ランダムに発生するイベントにコミカルなものがある程度でしたが本作ではストーリーそのもののギャグ成分が強くなっており、終始すっとぼけた感じでゲームが進行していく事となります。これを進化と取るか退化と取るかは人それぞれですが、評判のほどは概ねいいみたいです。


章が始まったら、まず周辺の城を攻め落として支配します。城はそれぞれ収入が決められており、月始めに支配している城の収入の合計が軍資金として入ってくるので城を沢山持つ事が自軍の財政を潤わせる一番の近道となります。

城を攻め落とすには自軍の将軍を敵の城に派遣し、城に駐屯している敵将軍を倒さねばなりません。攻城戦は後述のエッグモンスター戦になりやすい為、エッグ持ちの将軍を派遣した方が安定します。

将軍の動かし方は、まず動かしたい将軍を選び移動させたい位置を指定。これで後は、その将軍が自動でそこに辿り着くのを待つだけです。

将軍は一度に何人でも動かす事が出来、チビキャラ達が一斉に目的地に向かって動いていく姿はちょっといとおしくさえあります。将軍には徒歩タイプと乗馬タイプがおり、当然乗馬タイプの方が移動速度は速いです。

一度に動くのは自軍だけではありません。敵軍もまた同様に、こちらの支配している城を奪おうと本拠地から将軍を派遣してくるのです。

この敵将軍は時間経過で無限湧きしてくる為、全滅させる事は不可能です。自軍の城にいる将軍がやられてしまったり城に将軍が一人もいない時は折角落とした城を奪い返されてしまうので、各城に最低一人は将軍を留めておくのが理想となります。


一定時間が経過すると月が変わり、ランダムにイベントが起こった後内政モードに入ります。内政モードでは支配した城から得た軍資金を使って将軍に同行する一般兵の補充や新しい将軍の募集、城の増築などが行えます。

一回の内政モードにつき行える項目は一つのみで、例えば兵を補充したらそこで内政モードは終わり次の内政モードには月が変わるまで待たなければなりません。今一番必要な事は何か、よく考えてから項目を選びましょう。

また月始めのイベントも、様々な事が起こります。豊作や凶作でその月の収入が増減したり、兵がストを起こしてボーナスや休暇を要求してきたり、変わったものではサウンドテストが楽しめるなんてイベントまであります。

有利なイベントもあれば不利なイベントもあるので楽しんでばかりはいられませんが、何も起こらなかったら起こらなかったで何だか寂しい。そんな気分にさせてくれるのが本作らしさだなあと、何となくそんな事を思ったりもします。


城に攻め込んだり逆に城に攻め込まれたり、または移動中にこちらの将軍と敵将軍が接触したりすると戦闘になります。戦闘では下に表示された動くゲージが一杯の時にタイミング良くボタンを押す事でより強い攻撃が出来、敵を画面端に追い詰め激突させることで更にダメージを与える事が出来ます。

また戦闘時には『切り札』と『エッグ』を使うかどうかも選べます。切り札は消費制で内政モードで購入する事が出来、使うと敵に大ダメージを与えます。

エッグは『○○エッグ(種類によって名前が違う)』というアイテムを所持している将軍だけが使用可能で、使うとエッグモンスターというお助けキャラを呼び出して代わりに戦わせる事が出来ます。敵将軍もエッグを使ってくる事があり、こちらのエッグモンスター召喚はその迎撃用という役割が強いです。

各エッグにはそれぞれ使用出来る回数があり、しかも呼び出す毎にどんどん出てくるモンスターが弱くなっていきます。限界まで使い切ってしまうと兵士にすら勝てない最弱モンスター『エッグマン』しか出なくなり、実質使い物にならなくなります。

エッグの使用回数を回復するには内政モードで回数回復を選ぶか、エッグモンスターが破れ、壊れてしまったエッグをマップ上にある『あ・た・しの館』に持っていって復活させるかしかありません。エッグを持たない敵将軍相手にまで使ったりするのは正直無駄でしかないので、ここぞという時の為に温存しておくと良いでしょう。

他にも城の防衛時かつ、エッグを持っていない将軍に限り『奥の手』を使う事が出来、こちらはランダムで選ばれた三つの奥の手の中から一つを選択する事になります。一度奥の手を選んでしまうとキャンセルは不可になるので、選択肢が気に入らないからといってやり直す事は出来ません。

大抵の場合三つのうち一つはまともな奥の手が混ざってくれますが、稀に三つ全てがどうしようもない奥の手で埋められる事がありギャンブル性は強いです。言わば最後の悪あがきといったところでしょうか。

以上の攻撃を駆使し、とにかく敵将軍のHPを0にすればこちらの勝利。逆にこちらの将軍のHPが0になってしまうと敗北となり、その将軍は自軍から消滅してしまいます。

ちなみに主人公のHPが0になってしまうとその場でゲームオーバーです。流石に主人公なだけあって最強の能力の持ち主である主人公ですが、この為あまり無茶な動きはさせないでおきましょう。


自軍で雇える将軍にはそれぞれ戦闘、内政、賃金のステータスがあります。戦闘は戦闘における攻撃力の強さを表し、内政は高ければ城の増築費用を安く抑える事が出来ます。

最後の賃金は、月始めにその将軍に支払うお金を示しています。この賃金の合計が現在の軍資金より高いと足りる額になるまで将軍を解雇しなければならなくなり、大幅な戦力ダウンになってしまいます。

基本的にステータスの総合値が高い、強いエッグを持っているなど強い将軍は賃金が高めの傾向にありますが、最初から自軍にいる将軍達のように強い上に賃金も安い有能な将軍もいればステータスが微妙なのに賃金ばかりやたら高いハズレ枠の将軍もいるので一概に賃金が高い=強い、とも言えなかったりします。内政モードの将軍募集で来てくれる将軍はほぼランダムなので、後者の将軍に当たってしまうと思わず天を恨みたくなります……。


戦闘で勝利を重ねると半熟値が上がっていき、これが一定値に達すると半熟レベルが上がります。半熟レベルが上がると出てくるエッグモンスターのランクが上がり、より強いエッグモンスターを呼び出せるようになります。

しかし半熟すぎてはいけないという事なのか、半熟レベルを上げすぎてしまうと逆に弱いエッグモンスターしか出なくなり終盤を乗り越える事が非常に困難になります。それを防ぐ為にも、それぞれの章はなるべく時間をかけずにクリアしていく事が望ましいです。出来ればの話ですが。


余談ですが「半熟英雄」シリーズの作曲は基本「ファイナルファンタジー」シリーズでお馴染みの植松伸夫氏ですが、本作のみ「ドラゴンクエスト」シリーズで有名なすぎやまこういち氏が作曲を担当しております。これはすぎやま氏が、前作「半熟英雄」の熱心なファンであったが故に実現したのだとか。

すぎやま氏が「ドラゴンクエスト」シリーズ以外、それもエニックスが関わっていないゲームの作曲を担当するのは珍しく、そういう意味では本作は大変レアな存在と言えます。すぎやま氏はゲーム内でもサウンドテストイベントの時に登場するので、すぎやま氏ファンの方は必見ですよ。


リアルタイムストラテジーとしては難易度もそれほどきつくなく、シミュレーションゲームが苦手な筆者でも最後までクリア出来たくらいなので(但しノーマルエンド。トゥルーエンドは条件がきつすぎて無理でした)リアルタイムストラテジー入門編として本作は丁度いいのではないかと思われます。そうでなくてもギャグ主体のシミュレーションゲームというのは珍しいと思うので、シミュレーションゲームは堅苦しくてちょっと……という方でも楽しめるのではないでしょうか。



とりあえず、今回はこれにて。

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