第八十九夜 ロマンシングサ・ガ3
一つ、ゲームの話でもしようか。
結論から言ってしまうと、今回のテーマは「ロマンシングサ・ガ3」です。2はどうしたのかって? いや、持ってはいるんですがなるべくキャラを殺さず育てたい筆者には2のキャラを殺して育てるシステムはどうにも馴染めず、序盤で止まってしまっている為大した内容が書けないのです。
そんな訳で2は飛ばして、今回は一気に3からのご紹介になります。ご了承下さい。
さて本稿を書く直前、タイムリーなニュースが筆者の耳に飛び込んできました。何と本作がHDリマスターされ、更に本作の後日談に当たる物語がスマホで展開されるとか。
もし毎日更新が続いていたら、本稿でそのニュースを取り上げる事もなかったのだと思うと何だか不思議なものです。こんな底辺エッセイにも、縁というものはどうやら存在するようです。
それでは「ロマンシングサ・ガ」があれからどんな進化を遂げたのか。2で追加された要素にも触れながら、見ていくとしましょう。
本作はスーパーファミコン最盛期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。2では主人公が死ぬ度次々と代替わりしていくシステムが取られていましたが、本作では再び八人の主人公の中から一人を主人公に選びその主人公と共にシナリオをこなしていくシステムに戻りました。
ストーリーは、三百年に一度『死蝕』と呼ばれる現象が起こる世界。『死蝕』が起こるとその年に産まれたありとあらゆる生き物の赤子が死に絶え、ただ一人だけが生き残る。最初の『死蝕』で生き延びた子は死の運命に魅入られ、長じて魔王となり世界を混沌で満たした。二度目の『死蝕』で生き延びた子は死の誘惑を跳ね退け、長じて聖王となり世界に秩序を取り戻した。そして起こる、三度目の『死蝕』。次に生き延びる子は魔王となるのか、聖王となるのか、それとも……というものになっています。
今回も主人公達は年齢も性別も立場も全てバラバラですが、1と違い今回は全員共通のオープニングイベントが用意されており主人公となる全員と何らかの形で顔を合わせる事になります。このオープニングイベントはいわゆるチュートリアルも兼ねており、ここでゲームに慣れてから本格的なフリーシナリオが始まるという段階を踏んだ形になっています。
オープニングイベントはチュートリアルなだけあり始めから大勢で戦えるなど難易度は低いですが、主人公に選んだキャラによってはミニゲームが挿入される事もあり油断は禁物です。このミニゲームの内容に関しては、おいおい説明していきましょう。
まず最初に誰を主人公にするか決めたら、名前と宿星、得意武器を決めます。宿星はそのキャラがどのステータスに秀でているか決めるもので、直接的に『どれを選ぶとどれが上がる』と表示される訳ではないので少し解りにくいですが、自分がなりたいタイプの説明の宿星を選べば間違いはないと思います……多分。
得意武器はその名の通り、どの武器を得意とするキャラにするか選べます。得意に設定した武器は始めから技能レベルが加算されるのに加え、その武器の最高レベルの技を覚えられるようになります。もっともそれには、それに見合った相手と戦う必要があるのですが。
得意武器はなしに設定する事も出来、その場合は武器の代わりに術法のレベルが上がった状態でのスタートとなります。とは言え本作も1と同様有用な術法はさほど多くはないので、どちらかと言えば大人しく得意武器を選んだ方がいいような気もします。
ちなみに主人公に選ばなかったキャラや途中で仲間に出来るキャラにも得意武器はあらかじめ設定されており、どの武器ならば最高レベルの技を習得出来るかが決まっています。新たに仲間にしたキャラはまず技能レベルを確かめて、高いものを伸ばしていくといいでしょう。
1では武器の熟練度を上げる事で自動的に覚えていった技ですが、本作を含めた2以降では敵のレベルが一定以上の時に攻撃を行うと攻撃に使った武器に応じた技を覚える事があるという『閃き』システムに変わりました。敵が強ければ強いほどこちらも技を閃きやすくなり、これだけの為にわざと強い敵に挑むというプレイ方法も生まれました。
技を閃ける数には限りがあり、一杯になってしまった時はいらない技を忘れる事でまた新しい技を覚えられるようになります。忘れた技は通常ならまた閃き直さないとならないのですが、何度も同じ技を使い込んでいるとその技を極める事が出来極めた技は一度忘れてもいつでも自由に思い出し楽に覚える事が可能になります。
また技は一つの技を放った際そこから派生技を閃くようにもなっており、強い技ほどこのテクニックで覚える事が必須となります。どの技からどの派生技が覚えられるかは決まっているので、覚えたい技の派生元は事前によく調べておきましょう。
覚えられるのは、攻撃技だけではありません。敵が何らかの技を使った時、運が良ければその技を見切り完全回避する事も出来るのです。
この見切りも何度も攻撃を受ける事で極める事が出来、そうなれば付け外しは自由となります。本作の技は敵に使われると凶悪なものが多いので、もし見切れたらラッキーと思っておきましょう。
術法は相変わらず店で買って覚える方式ですが本作の術法は六種類にシェイプアップされそれぞれ玄武、蒼龍、白虎、朱雀の四種類と太陽、月の二種類に大別されます。このうち一度に覚えられるのは玄武~朱雀から一種と太陽と月のどちらか一種の計二種類までとなっており、どれを選択するかより悩む事になります。
また術法を使った際には戦闘の場に影響を及ぼす効果もあり、例えば玄武属性の術法を使い場の属性を玄武属性にすると、玄武属性の術法の効果が上がったり玄武属性の敵が毎ターンHPを回復するようになったりします。中には敵が自ら術法を使い場の属性を得意属性に変える事もあるので、場の属性はこちらの術法で変えるよりも敵の術法で変わる方に注意した方がいいかもしれません。
また本作では全六種類のうち半分の属性に回復術法が用意されているので、場の属性の事も考え、どの回復術法をメインに据えるか考えていきましょう。ちなみに筆者は月属性を好んで使ってました。
本作で一度に連れ歩けるのは最大六人までですが、戦闘で戦うのはそのうち五人までです。残り一人は控えとなる訳ですが、主人公キャラをこの控えにした場合は通常の戦闘ではなくコマンダーモードという特殊な戦闘に切り替わる事となります。
コマンダーモードとはこちらからは戦うや逃げるなど大まかな方針だけを指示し攻撃方法の選択はAIが自動で行うというシステムで、いわゆるオート戦闘に近い感覚が味わえます。いちいちコマンドを選択する手間が省ける一方でこちらの思い通りにAIが動いてくれない事も多く、一長一短となっております。
またこれも2から導入されたシステムに、『陣形』というものがあります。陣形とは前列後列といった隊列を進化させたもので、ただ攻撃の受けやすさを変えるだけではなく最前列のキャラの防御力を増加させるなど陣形によってステータスが様々に上下したりする効果を持っています。
コマンダーモードを使用中に特定の陣形にしていると、その陣形特有の陣形技を発動する事が出来ます。但し陣形技を使うには通常の技のように閃いたり宝箱から奥義書を得なければならない為、すぐに使える訳ではありません。
これら陣形技はコマンダーモードの不便さを補うほどの威力のあるものばかりなので、陣形技が揃ってきたらコマンダーモードに切り替えるのも一つの手です。もっとも筆者はコマンダーモードをあまり使用しなかったので、陣形技のお世話になる事もなかった訳ですが。
オープニングイベントが終わりフリーシナリオに入ると、『開発』が出来るようになります。これは文字通り武器や防具を開発出来るシステムで、強力な武器防具の幾つかはこの開発でないと手に入らないようになっています。
各町の住民の中には工房の職人が混じっており、話しかける事で工房に来て貰う事が出来ます。この時武器開発と防具開発どちらを担当して貰うか選ぶ事が出来、担当が増えた方はより強力な装備の開発が可能になります。
職人の数には限りがあり、武器と防具どちらの人数も最大にする事は出来ませんし一度決めた担当を変える事も出来ません。どちらがより自分にとって必要か考えてから割り振りを決めないと取り返しが付かなくなるので、担当の選択は慎重に。
さてここからは本作を彩るミニゲーム、マスコンバットとトレードについてお話しようと思います。まずマスコンバットは、リアルタイムで自動的に進軍し敵軍と戦う自軍に的確な指示を与えて、自軍を画面端の敵陣へと送り込むのが目的のシミュレーションゲームです。
自軍と敵軍にはモラルというステータスがあり、有利な状況になればモラルが上がり進軍スピードも早くなりますが不利な状況になるとモラルが下がり進軍スピードも遅くなってしまいます。こちらが下せる命令は大抵がこのモラル絡みで、自軍のモラルを上げ敵軍のモラルを下げる命令などを駆使して戦局を有利に持っていく事になります。
但し命令には使用回数がある上敵軍も命令を使ってくるので、無闇に乱用するのは避けましょう。こちらのモラルを上げる命令を下した直後に敵軍にモラルを下げる命令を行われるなどしたら、意味がなくなります。
普通このマスコンバットを行う事になるのは二、三回程度なのですが、主人公の一人ミカエルを選んだ時のみこのマスコンバットが頻繁に起こるようになります。シミュレーションが苦手な方は、ミカエル主人公は避けた方が無難でしょう。それでも必ずやらなきゃいけない時は来るんですが。
もう一つのトレードは、主人公の一人トーマスを主人公にするか仲間に加えた状態で起こるミニゲームです。ここでは各地の企業を次々と買収していき、決められた目標を達成していく事になります。
企業を買収するにはまず各地にいるエージェントに話をし、買収したい企業を選んでトレード画面へ持っていきます。そこで自社から資金を出したり、自社の傘下にある企業から資金を出させたりしてとにかく金を積み、背景のゲージを完全にこちらの色に染めると買収成功。その企業を傘下に収める事が出来ます。
買収に成功すると自社の収益が上がり、より多くの資金が入ってくるようになります。買収に失敗しても収益は入ってきますが、勿論資金は前と変わりません。
買収を繰り返していると工作や、グループ技を覚える事があります。工作は買収終了後ランダムで覚えるもので、自社の資金を使って行う事で買収を有利に持っていくという効果があります。
いつどの工作を覚えるかはある程度法則があるようで(超強力とされる『時代の風』を筆者は覚えた事がない)、欲しい工作がある際はまずはそれが覚えられる企業のある町に行くのを優先した方がいいかも……。ともあれ工作を行う為にも、自社の資金はある程度取って置いた方がいいでしょう。
グループ技は複数の企業に合同で資金を出させるというもので、一社一社にちまちま出させるよりも大きな資金を一気に動かせます。覚えるには系列の企業を揃えた状態でそのうち一社に資金を出させるという手順を踏む必要があり、一社ずつの資金提供も決して無駄にはなっていないのもポイントです。
但し傘下企業は資金提供毎に独立する確率が上がっていき、独立してしまうともうその企業から資金は得られない上再び傘下に入れるにはまた買収しなければならなくなります。独立のしやすさは企業によって決まっている為、独立しやすい企業から資金を出させるのは控えた方が賢明かも?
ちなみに自社以外の企業も常に他社の買収に動いており、さっきまで独立していた企業が買収を終えたら別の企業の傘下になっている……などという事もよくあります。自社の傘下企業に買収が仕掛けられる場合もあり、傘下企業を守り抜くか手放すかは各プレイヤーの手に委ねられる事になります。
実を言うと筆者、本編そっちのけでトレードにドハマりしておりまして企業を見ると片っ端から買収してました。一度だけ最大のライバル社、ドフォーレ商会を丸ごと買収出来た時なんて脳汁が止まらないかと思いました。
……まあ、起こした別のイベントの影響で神王の塔のエージェントが廃業してしまったせいで、最大の目標であるアビスリーグ制覇は不可能になってしまったのですが。おのれイスマイル宝石……。
他に印象に残っているイベントと言えば、巨竜グウェインと共闘しての四魔貴族(こいつらを倒すのが本作の当面の目標)ビューネイとの戦い。大空の上での戦いがシチュエーションとBGMも相まって燃える燃える!
グウェインがいなくてもビューネイと戦う事は出来るのですが、筆者はカッコイイのでビューネイと戦う時はいつもグウェインと一緒です。その後グウェインに滅ぼされる村の人々は可哀想ですけども……。
そんな思い出色々な本作。「サガ」シリーズの中ではバグも少なくゲームバランスも良好で、初めて「サガ」に触れる人には丁度いいのかなという気がします。
何にせよ、リマスターで本作を遊んでくれる方が増えるのを祈って。
とりあえず、今回はこれにて。