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第八十八夜 ロマンシングサ・ガ

一つ、ゲームの話でもしようか。



さて今回のテーマは、予想していた方も多いと思われるので先に言ってしまうと「ロマンシングサガ」です。捻りがなくてすみません。

同じディレクターを持ち、「Sa・Ga」の名を冠する本作ですが世界観やシステムはまるで別物になっています。それもその筈、開発当初は本作は「サガ」シリーズではなかったのです。

それが開発の中で「Sa・Ga」の名を付けられ、現在では今も脈々と続く「サガ」の系譜に名を連ねるに至ります。しかし世界観が違うとは言え、生みの親が関わっているだけあって根本にある「Sa・Ga」らしさは失われていないと感じられる部分もあります。

今回は、そんな新しい「サガ」の魅力をご紹介出来ればいいなと思います。それではいってみましょう。


本作はスーパーファミコン黎明期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。多層世界を舞台にしていた「Sa・Ga」シリーズとは異なり、本作の世界観はオーソドックスな中世風ファンタジーで統一されております。

ストーリーはマルディアスと呼ばれる世界。この世界ではかつて、光と闇の神々の闘争があった。闇の神々はやがて光の神々に屈していったが、唯一破壊神サルーインだけは光の神々に抗い続けた。そこで光の神々の長エロールは一人の人間を選び出し、デスティニーストーンと言う神々の力の宿る十の宝石を与えてサルーインと戦わせた。その人間ミルザは命と引き換えにサルーインを封じる事に成功し、死後はエロールの手で新たな神となり人間を守る役割を担う事となった。そして時が過ぎそれらの出来事が伝説となった頃、マルディアスを再びサルーインの影が覆い始める。かつてのミルザのように、再びデスティニーストーンを集めてサルーインに挑む者は現れるのか? その鍵は数奇な運命に彩られし、八人の人物が握っている……というものとなっています。

とは言え本作の魅力は豊富なフリーシナリオ。最終的には一つの目標に向かって進む事になりますが、それまでの道筋は完全にプレイヤーの手に委ねられています。

こつこつ人助けをしながら進むも良し、とにかく全方面に喧嘩を売りまくっても良し。あらすじのデスティニーストーン集めだって強制ではなく、正直一つも持っていなくたってクリアは出来るしそもそもゲーム中で全てのデスティニーストーンが揃う事は絶対にありません。

何をするのもとにかく自由。それが本作の、最大の魅力となっているのです。


本作で主人公として選べるのは、男女四人ずつの計八人。八人はそれぞれオープニングイベントが異なる他、初期ステータスに多少の違いがあります。

年が若いキャラは初期ステータスが低めですが、その分ガンガンステータスが上がっていきます。年を取っているキャラは初期ステータスが高めな代わりに、ステータス上昇は比較的緩やかです。

どの主人公で始めるか決めたら、名前を付けたあと利き腕と両親の職業を決めます。利き腕は一部武器の威力に、両親の職業は最終的な初期ステータスに関わってきます。

例えば両親共に戦士だった場合は力やHPが高めの状態で始まりますが、魔力的ステータスはその分低くなります。逆に両親を僧侶や魔術師にすると最初から術法を覚えているなど魔力的には強くなりますが、力やHPは当然弱くなります。

本作では術法が弱く技が強めの傾向にあるので、親は戦士系で固めた方が若干ですが有利かもしれません。とは言え誤差の範囲内でもあるので、攻略を重視しないのであれば好きに決めてしまっていいと思います。


そのステータスは「Sa・Ga」シリーズ同様、戦闘後にランダムに上がるようになっています。武器攻撃を行えば力系ステータスが、術法攻撃を行えば魔力系ステータスが上がる確率が高くなり、どのステータスが上がったかはその都度表示される仕組みになっています。

また本作では武器の回数制限がない代わりにそれぞれの武器毎に熟練度が設けられており、武器の熟練度を上げる事でその武器が持つ技を使用する事が出来るようになります。この技こそが本作の戦闘の要であり、最も大きいダメージソースとなるのです。

本作は剣、小剣、大剣、槍、斧など様々な種類の武器があり、更にその種類の武器が四つずつあるというシステムになっています。それぞれの武器で覚えられる技は四つ。一部に共通した技はあるものの四つの技全てが同じ武器同士というのは存在せず、これにより単純に上位の武器が強い訳ではなくなっています。

一番弱い武器でもずっと使っていれば強力な技を覚える事もあり、やろうと思えば初期武器だけでのクリアも可能です。まあ、強い武器が持つ技の方が基本的に強いのは否定しきれませんが。

ただ気を付けなければいけないのは一度でも武器を装備から外すと熟練度がリセットされ、同じ武器を再度装備したとしても熟練度はまた一から上げ直しになってしまう点です。むやみやたらと装備を変えるのは戦力の低下にしかならないので、どの武器を育てていくかをあらかじめ決めた上で装備させるのが良いでしょう。

一方術法は好きなものを店で買う仕組みになっており、使い込む事で基礎威力は上がりますがそれで新しい術法を覚える事はありません。術法には十の属性があり一人につき複数の属性を覚える事が出来ますが、火と水など対立属性同士を同時に覚える事は出来ません。

基本的には技と比べて使いにくい術法ですが敵の持つ属性に強い属性の術法を使った場合クリティカルが発生する事があり、クリティカルされた敵は即死してしまいます。かなり強い敵相手でも発生する事があるので、技より使い勝手が悪いからと言って侮らないように。


本作はシンボルエンカウントとなっており、敵味方共に隊列を持っています。この隊列は敵味方共にどの面で相手に接触したかで変わり、正面以外から接触すると隊列が崩れた状態で戦闘に突入する事になってしまいます。

隊列の配置は前列、中列、後列に分かれており、一つの列には三人までしか配置出来ません。しかし戦闘中に前に出たり後ろに下がったりして、列を四人以上にする事は可能です。

基本的に直接攻撃を行えるのは敵味方共に前列のみで、槍や弓、術法を使わないと中列以降は相手に攻撃する事が出来ません。技の中には隊列を無視出来るものも存在しますが多くはなく、前列同士の殴り合いが戦闘の基本となります。

ここで気を付けなければいけないのは前述の、正面以外で敵シンボルに接触すると隊列が崩れるという点。威力の高い技を持つけど前列にしか届かない……なんてキャラが一気に後列に追いやられてしまった状態で戦闘に突入してしまったら、目も当てられません。

敵に囲まれ逃げられない!という時でも、せめて正面からの接触はキープしましょう。逆に敵の背後を突いて接触すると、普段後列から術法でちまちま攻めてくる嫌らしいキャラが前列になった状態で戦闘になったりするので得するかも?


本作はフリーシナリオですがいきなり全てのイベントが出来る訳ではなく、時間の経過によって出来るイベント、出来なくなるイベントが分かれています。ではどうすれば時間が経過するのかと言うと、敵との接触回数が関わっているのです。

敵と一定回数接触するとゲーム内の時間が進み、新たにイベントが発生したり逆に発生していたイベントが自動終了してしまったりします。カウントされるのはあくまで接触回数なので、戦闘に突入した後逃げたとしても時間は容赦なく流れます。

すなわち少しでも多くイベントをこなしたかったら敵を避けて避けて避けまくるしかないのですが、これがなかなか難しい。本作での敵シンボルは大抵画面を覆い尽くす勢いで湧いて出てくるので、多くの場合は取り囲まれて戦闘に突入してしまいます。

ちなみに筆者が買った攻略本には『時間の経過はHPの量で決まる』という大嘘が書かれておりまして、真面目に信じた結果本作の一大イベントである四天王イベントが知らないうちに終わってたという苦い思い出があったりします……。おのれN○T出版。


さて本作の「Sa・Ga」らしさと言えばやはり独特の言い回し。貴族のお坊っちゃんも遊牧民の女の子も揃って『おおいい女、仲間にせねば』とか『陸に上がったカッパか、ハッ!』と言った口調で仲間を品定めしてくれます。

そんな本作を最も象徴するイベントと言えば、やはりアイスソード絡みのイベントでしょう。あるイベントでアイスソードという超高価な武器が必要となるのですが、売っている筈の町へ行くと売り切れて別の品物を販売するようになっています。

そこで武器屋の近くをうろついているキャラに話しかけると『念願のアイスソードを手に入れたぞ!』とこう来る訳です。ここで選択肢が出る訳ですが、その中で異彩を放つ『殺してでも奪い取る』という選択肢。

これを選ぶと、本当にその場でキャラを殺害してアイスソードを手に入れてしまいます。戦闘描写、一切なし。

当然この行動を行った場合は後でペナルティがつくというオチこそあるものの、何ともあっさりで無常さを感じるイベントであります。こういう、主人公が決して正義の味方ではないという従来のRPGへのアンチテーゼ的な部分も「Sa・Ga」らしさと言えるでしょう。


ここまではいい部分だけを書いてきましたが、そんな本作にも見過ごせない欠点があります。と言うのも本作、恐ろしくバグが多いのです。それも、ゲームが根幹から成り立たなくなるようなものばかり。

最も有名なのは主人公の一人、ホークの船を使ったレイディラックバグですが他にも枚挙にいとまがありません。それでもユーザーは怒る事なく、寧ろバグを楽しんですらいるので「サガ」ファンのメンタル凄ぇ……と思わずにはいられません。

意図してそういう状況に持っていかないと発生しないバグが大半というのも、そういう空気が作られた一端なのかもしれません。この『「サガ」シリーズにはバグが付き物』という流れは、この後もずっと続く事になります。


大量のバグという欠点こそあるものの、それを差し引いてもなお余りある魅力はプレイヤーを捕らえて離さず本作を大ヒットさせました。新生「サガ」シリーズの新たな試みは、大成功だったと言えるでしょう。



とりあえず、今回はこれにて。

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