第八夜 ライブアライブ
一つ、ゲームの話でもしようか。
さて、ここまでは主に保育園~小学校時代の、リアルタイムでゲームに触れた思い出を綴らせて頂きました。
ですが今回は高校生時代……自分のお小遣いで中古ゲームを買い漁るようになってからのお話となります。
今回取り上げるゲームは、筆者の創作におけるターニングポイントとなった作品。
スーパーファミコンソフト、「ライブアライブ」です。
「ライブアライブ」は、かのファイナルファンタジーシリーズを生み出した旧スクウェア、現在のスクウェアエニックスが制作したRPGです。このゲーム最大の売りは、豪華なキャラクターデザイン陣。
何と総勢七名もの、当時の小学館の人気漫画家が参加しているのです。その中にはあの「名探偵コナン」の作者、青山剛昌氏もいたりします。
このゲームは七本のオムニバスシナリオを好きな順序でクリアしていき、七本全てクリアすると隠された八本目が出現、それを更にクリアすると各主人公が一堂に集う完結編が解放……という道筋で進んでいきます。特筆すべきはそのシナリオの多彩さ。オーソドックスなファンタジー世界から幕末、SF、果ては原始時代なんていうのも。基本のゲームシステムこそ統一されていますが、各シナリオでは勿論目的や、ゲーム内容もそれぞれ異なります。
一本一本のシナリオのボリュームも決して薄くはなく、やり応えは充分。知名度こそ同時期の有名タイトルの陰に隠れていますが、自信を持って名作だとお勧め出来るタイトルの一つです。
ここで一旦話は変わりますが、当時の筆者は色んなゲームに自分のオリジナルキャラを混ぜて空想するのが好きでした。自分のキャラがゲームの主人公の助けになる、というシチュエーションに強い憧れを抱いてたんですね。
その頃の空想は全ての世界を同じ一人の万能キャラが行き来し、それぞれの主人公を助けては去っていくというものでした。今思うと、殆どメアリー・スーですね。普段の空想がこれですので、創作に関しても万能キャラがただ大活躍みたいな、そんな感じでした。
これは別に昨今の創作におけるチート隆盛を揶揄している訳ではなく、自分の引き出しがそれくらい狭かったと、そう言いたい訳です。誤解のなきよう。
この「ライブアライブ」においても、筆者は勿論同じ空想をしようとしました。しかし、何しろデフォルトで七シナリオ、完結編までを含めれば九シナリオもあります。たった一人では、どうやったって自然な話にはなり得ない!
筆者は困り果てました。何しろこんな事は初めてです。空想はしたい、でも今までの空想の仕方じゃ無理がある……。
そうやって長らく考えた末、筆者は気付きました。一人で賄う事が無理なら、シナリオ毎にそれに合ったキャラクターを生み出せばいい!
こうして、物語に合ったキャラクターを生み出す楽しさに目覚めた筆者は、それまで使っていた万能キャラを使う事をすっぱり止め、創作でも多種多様なキャラクターを使った物語を考えていくようになります。その割には最近またヒロインがテンプレ化しておりますが。
もし、この「ライブアライブ」というゲームに出会わなかったら、筆者は今頃どんな物語を書いていたのでしょうか? そう思うと、このゲームとの出会いは非常に大きかったと感じるのです。
とりあえず、今回はこれにて。