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第八十四夜 ディープダンジョン3 勇士への旅

一つ、ゲームの話でもしようか。



ファミコン初の3DダンジョンRPGとなった「ディープダンジョン」シリーズ。後発の「女神転生」シリーズやファミコンに移植された「ウィザードリィ」シリーズなどより出来のいい作品群に押されながらも、その昏く武骨な世界観から根強いファンを獲得してきました。

ですがこのシリーズが途中からディスクシステムからROMカセットに舞台を移し長く存続していた事は、案外知られていません。筆者も「ディープダンジョン」をリアルタイムで知っていたのは2までで、それから先は大量に発売されたRPGの中に埋もれていったというのが現実です。

しかしかつて、「ディープダンジョン」シリーズの世界観に魅せられた一人である筆者。ROMカセットで続編が出ていた事実を知り、飛び付かない訳がありません。

後に中古屋で偶然そのソフトを見つけた筆者は、速攻で購入し遊び始めました。その結果はというと……それは今からお話する事と致しましょう。

そんな訳で、今回のテーマは「ディープダンジョン」シリーズ第三弾。「ディープダンジョン3 勇士への旅」です。


本作はファミコン最盛期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりファミコンにて発売された3DダンジョンRPGです。販売はスクウェアとなっておりますが本シリーズを実際に制作していたのはハミングバードソフトという会社で、本作発売後スクウェアと袂を別ったハミングバードソフトは別の会社から本シリーズ最終作を出す事になります。

さていつものようにストーリーをご紹介したいのですが本作、説明書なしで手に入れた上にゲーム中で旅の目的が語られる事もないのでストーリーが完全に解らないという事になっています。前作ではオープニングデモでストーリーを語ってくれたのに……。


戦闘が常にタイマン勝負だった前作までと違い、本作では敵味方共にパーティーを組んでの戦闘になります。時代の流れに乗った形と言えるでしょうか。

まず主人公である勇剣士は固定で、外す事は出来ず他に勇剣士を加える事も出来ません。ドラクエで言うところの勇者ポジションですね。

仲間に出来る職業は狩人、僧侶、魔法使いの三種類。どの職業を何人入れても構いませんが、仲間に出来るのが三人までである事、それとパーティーバランスを考えると全部の職業を一人ずつが一番効率はいい気がします。

以下に、一応の仲間達の特徴を上げていきます。とは言っても大体想像の範疇でしょうが。


狩人は攻撃力が勇剣士より少し劣る代わりに幾つかの僧侶用魔法を覚えます。装備出来る武器や防具も、勇剣士の次に多いです。

僧侶は回復魔法を得意とし、魔法使いよりはいい装備を身に付けられますが狩人には劣ります。

魔法使いは攻撃魔法を幾つも習得しますが装備可能な武器防具は最低ランクで、MPが切れるとお荷物になりやすいです。


これら仲間達は何人死んでも後で生き返らせる事が出来ますが、主人公が死んでしまうと仲間が何人生き残っていてもゲームオーバーになってしまうので生き残らせるのは主人公最優先で。装備も主人公用を優先すると良いでしょう。

また本作で魔法を覚えるには、対応レベルになってから修練所に行きお金を払って覚えさせるという手間が必要になります。魔法は順番に習得していかなくてはならず選べないので、いらない魔法に無駄金を払わなくてはいけない事も……。

ちなみにダンジョン内では、最初からある程度の強さと装備を持ったキャラを仲間としてスカウトする事も出来ます。自分で鍛えたキャラとどっちがいいか判断するのは、プレイヤー次第。


さて本作はパーティー戦ですので、当然敵もグループを組んで出てきます。出てくるのですが……多い。とにかく多い。

一度に出てくる敵が多い3DダンジョンRPGと言うと「ウィザードリィ」シリーズがありますが、それですらグループ攻撃がまだ出来ない序盤は多少加減してくれている事を考えると容赦ない感じで多いです。敵は二種類から三種類の種族で徒党を組み、更に各種族が複数匹いるという大群状態。

更に敵も味方もダメージのばらつきが酷く、ろくにダメージが通らない時もあれば一撃で瀕死に近い状態まで持っていかれる事もあり『あと何発で倒せる』『あと何発まで耐えられる』という予想をしにくいのも大問題。本作は昔のRPGらしく『攻撃する予定だった敵が既に死んでいる場合はターゲット変更せずそのまま攻撃キャンセル』という仕様なので、一種類の敵に攻撃を一点集中させるとそれだけ攻撃が無駄になる可能性が高くなるのです。

困った仕様はまだあります。常にそんな大群と戦う羽目になる本作において、重要になるのは僧侶や魔法使いの魔法……なのですが、この魔法、使っても失敗する事があるのです。それも結構な確率で。

失敗してもMPはきっちり減るので、それでMPが切れてしまった場合は……。戦闘に緊張感は確かに必要ですが、こんな不確定要素だらけの緊張感は欲しくないです……。

そんな敵グループですが、こちらのレベルが一定値を超えるとそのダンジョンでは固定敵を除き、敵がほぼ出なくなります。これは前作までから継続している仕様で、弱い敵と延々と戦う必要をなくす事と浅い階での過剰なレベル上げ防止、二つの意味があるのだと思われます。

しかし本作ではこれが悪い方に働いており、最初の町で装備を完全に整えるのですら敵が出なくなるレベルまでに達成するのはほぼ不可能。プレイヤーは危険を覚悟で先の町へ行くか、ダンジョンを出る度復活する固定敵をちまちま潰してお金を稼ぐかの二択を強いられます。

そもそも前作まででこの仕様が成り立っていたのは店売りの武器防具が序盤用のものばかりだったからで、先の町へ進む度装備がいいものになる本作でこの仕様をやるのは……。敵もこちらがいい装備を持っている事前提の強さなので、本作の戦闘バランスは極めて悪いと言わざるを得ません……。


では3DダンジョンRPGの肝とも言えるダンジョンの作りはどうでしょう。結論から言ってしまえば、『無駄に広い』です。

やたらと広い癖にやるべき事は少なく、それに対するヒントもありません。前作はこの辺り、もうちょっと親切だったと思うのですが……。

また町が一つだけだった前作までと異なり本作は町が点在しているのですが、それら町も3Dダンジョン。そしてやはり、無駄に広い。

広い上にあるのは店ばかりで、普通町ではお馴染みのメッセンジャーという存在もいません。「ウィザードリィ」シリーズにもメッセンジャーはいませんが、あれは町が一つな上町は休憩所という割り切りがあるからで……。

『町を歩くのに細かなマッピングが必要』という本末転倒にも程がある状態は、せめて町マップをもう少し縮めるなどの工夫が欲しかったところです。「女神転生」シリーズも町は広いですがあれはメッセンジャー込みなのであって……。


それと細かいところですが、媒体がディスクシステムからROMカセットになったのを差し引いても音楽が明らかにパワーダウンしているのが……。前作までの短いながらも重厚なメロディーから何があったのかというくらい単調極まりない音楽ばかりになっていて、そこにガッカリした部分もあります。

また敵のグラフィックも、前作より絵が小さくなったせいかいまいちになったような……。もっともそのグラフィックも戦闘開始時にしか見れず、戦闘中は小さなアイコンがぷつぷつ消えていくのを眺めるだけなんですが。


総合して見ると折角の新要素のパーティーシステムを活かしきる事も出来ず、何もかもが前作までより劣化してしまった印象を受けます。「ディープダンジョン」シリーズとして見なくても出来は中の下といったところで、人様にお勧め出来る出来ではありません。

最終作の4は発売がスクウェアでなくなった事もあり本作以上にマイナーですが少なくとも本作よりは出来がいいとも聞くので、いつか出会う事があればやってみたいところであります。



とりあえず、今回はこれにて。

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