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第七十八夜 ガイア幻想紀

一つ、ゲームの話でもしようか。



皆様、遺跡はお好きですか? エジプトのピラミッドとかトルコのカッパドキアとかの、あの遺跡です。

筆者は大好きです。何千年も前からその形を保ち続ける遺跡は、まさにロマンの塊。死ぬまでの間に、一度は生でお目にかかりたいものです。

これらの遺跡、一体何の為に作られたのかハッキリとしないものが今なお多いです。一番有名なピラミッドでさえ、死者の墓だいや神殿だと正式な建造理由は未だによく解っていなかったりします。

誰が何の為に、あのような巨大建造物を作らせたのか……。それを示すものが断片的にしか残っていないからこそ、より想像が膨らむのかもしれませんね。

例えゲームの中ででも、世界中の遺跡を巡ってみたい! そんなあなたに、お勧めのゲームがあります。

それが今回ご紹介する「ガイア幻想紀」です。それでは早速いってみましょう。


本作はスーパーファミコンが黎明期から最盛期へと移ろうとしていた頃、旧エニックス、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたアクションRPGです。開発はそろそろ本エッセイでもお馴染みになってきたクインテットで、やはり一部効果音が前二作と共通しています。

ストーリーは幼い頃父の率いる探検隊と共にバベルの塔の調査に赴き、そして唯一生きて帰ってきたという過去を持つ少年テムは今は祖父母と共にサウスケープの町で暮らしていた。平和に暮らしていたある日、町にエドワード城の王女カレンがお忍びで抜け出してくるというハプニングが起こる。カレンはすぐに城に連れ戻されたが、いつかまた会える気がするとテムに言い残したのだった。その数日後、テムはカレンの父である国王から突然の呼び出しを受ける。国王は言う、『水晶の指輪を渡せ』。そんなものは知らないとテムは言うが聞き入れられず、そのまま地下牢に投獄されてしまう。途方に暮れるテムの前に、カレンのペットである子豚のペギーが手紙を持って現れる。手紙には父の横暴が許せない、テムを助け自分も一緒に城から去ると書かれていた。一緒に同封されていた牢の鍵で、地下牢を脱出するテム。果たしてテムの身に何が待ち受けているのか、そして国王が執心する水晶の指輪とは一体? テムの冒険が、今幕を開けた……というものになっています。

本作はそのダンジョンの殆どが現実の世界で実際にあると伝えられている遺跡となっており、嫌が応にでもプレイヤーの冒険欲を高めてくれます。とは言っても現実の遺跡に本作で出てくるような魔物や仕掛けは出てこないので、あくまで名前と雰囲気を参考にした程度とお考え下さい。

少女漫画家、萩尾望都女史がデザインしたメインキャラ達はゲーム的な見映えにはいまいち欠けているかもしれませんがそれだけに『普通に生活している普通のキャラ』感が出ていて旅をするのは特別な存在でなくてはならない、という概念を打ち破ってくれている気がします。実際ラスト近くまで表立って戦うのは基本的にテム一人で、他の仲間達は旅を賑やかにしてくれる要員といった感じが強いです。


テムは闇の力『サイコパワー』というものを身に秘めており、これを使って様々な事を行います。……「ストリートファイター」シリーズのベガ様を連想した人、筆者怒らないので手を上げなさい。

まず町やダンジョンなど至る所にある入口から、『ガイア』と名乗る存在のいる空間に行く事が出来ます。ガイアはテムのライフの回復やセーブを行う他、テムに新しい能力を授けてくれたり後述の変身をさせてくれたりします。

またLRボタンを押す事で、一部の弾を防いだり障害物を引き寄せたりする事が出来ます。「ソウルブレイダー」までにはなかった防御という概念が出来たのは大きく、このテクニックを使いこなせないと大ダメージは免れないでしょう。

そして先程少しだけ触れた変身です。テムはストーリーの進行によって、二つの姿に変身する事が出来るようになります。

一つは剣士フリーダン。テムより通常攻撃のリーチがあり攻撃力自体も上で、テムとは異なる能力を覚えていきます。

もう一つは闇の生命体シャドウ。こちらはテムやフリーダンよりリーチが横に広く攻撃力はフリーダン以上、テムやフリーダンと比べ能力は一つしかありませんが初めてシャドウになれるようになるダンジョンではその能力が必須となります。

勿論この二人さえいればテムはお役御免などという事はなく、テム自身の能力を使わないと進めない場所も多くバランスは取れています。テムの姿でないと使えない無敵時間付きの攻撃もあり、慣れればテムの姿の方が強いかも……?

なおあくまで変身が可能なのはダンジョンだけであり、町中ではテムの姿で固定となります。それ故仲間は一人を除いて、テムが変身するという事を知らない設定になっています。

それにしても主人公が扱うのが闇の力という設定は、この時代には珍しい気もします。当時はまだ、邪気眼や中二病という概念も浸透していませんでしたし。


本作には経験値というシステムはなく、ただ戦うだけではテムの能力値は上がりません。ではどうすればいいのかというと、スクロールする範囲にいる敵を全滅させるのです。

敵を全滅させると、ライフ、攻撃力、防御力のうちどれか一つステータスが上昇します。この時上がるステータス、クリアデータによって最終ステータスに多少のばらつきが出るのでもしかしたらランダムなのかもしれませんが筆者には正直法則がよく解らないです……。

一度倒した敵はそのダンジョンを出ない限り復活せず、マップを呼び出せば敵の居場所もサーチ出来るので全滅をさせる気が始めからない縛りプレイでもしない限りは問題なく敵を全滅させられると思います。時には一度別のエリアに行き、違う入口から出入りしないと全部の敵の居場所に行けない時もあるのですぐに全滅出来なかったからと言って焦らずに。

また敵を倒すと、大きさがバラバラな銀色の球を落とします。これは闇の玉と言い、百個分を集めると一回ライフが尽きても今いるエリアから再開出来るという言わば残機のようなものです。

この残機は9までストックが可能で、残機がない状態でライフが0になるとダンジョンの入口からやり直しとなります。ペナルティはそれだけなのであまり躍起になって集める必要もないのですが、なるべくなら最初からやり直しは避けたいところです。

そのライフはガイアの空間に行くか、消費アイテムの薬草を使うかで全快出来ます。本作の薬草は有限であり、またアイテムを持てる総数自体あまり多くないので使いどころは考える必要があります。

いらなくなったイベントアイテムを捨てる機能は正直、切実に欲しかったところです。後半になればなる程、もう使わないアイテムが欄を圧迫してくるので……。

他にも、時々その場にじっと留まって動かない敵というのがいます。そういう場所にいる敵はテムのリーチでは攻撃が届かない場合が多く、また大半が先に進む為のスイッチの役割を担っています。

そういう時はフリーダンやシャドウの出番。ガイアの空間で変身し、敵を倒して道を切り開きましょう。


また本作には、赤い宝石という収集要素も存在します。赤い宝石は町に隠されていたりダンジョンの宝箱に入っていたりし、各町のどこかにいる宝石商ジェムに渡すと個数に応じて様々なアイテムと交換してくれます。

一度先に進むともう前の町やダンジョンに行けなくなる事の多い本作で全部で五十個ある赤い宝石を全て見つけ出すのはかなり困難ですが、見事全て集めると……? その先は、ご自身の目でお確かめ下さい。


本作はストーリーの面でいまいち説明不足の点やシーン毎の設定が噛み合わない点が多く、そういった部分を強く気にする方には楽しめないかもしれません。しかしそのアクション性は同時期のアクションRPGと比べても高く、後に本作のアクション性を更に高めた名作「天地創造」へと繋がっていく事となるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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