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第七十二夜 ドラゴンクエスト6 幻の大地

一つ、ゲームの話でもしようか。



なりたい自分になれる……誰でも一度は憧れる事ではないかと思います。身近なところでは、MMORPGなんかがまさにそれですね。

見た目も能力も性別までも、理想的な自分を作り上げ理想的に振る舞う。いわゆる廃人と呼ばれるほどその世界にのめり込んでしまった人達も、切欠はそんなささやかな願望だったのかもしれません。

けれど、夢はいつか覚めるもの。現実と向き合っていくだけの強さも、生きる為には必要なのです。

今回はそんな教訓を我々に教えてくれる作品、「ドラゴンクエスト6 幻の大地」をテーマにお送りしたいと思います。


本作はスーパーファミコン最盛期、旧エニックス、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。初代から開発を担当していたチュンソフトの手を完全に離れ、それ故か本作からは新生「ドラゴンクエスト」といった雰囲気を微かに感じます。

ストーリーは妹ターニアと共に山奥のライフコッドの村に住んでいる主人公は、毎年村で行われる祭りに使う精霊の冠を注文する為山を降り、ふもとのシエーナの町へ向かう。しかし冠の職人は行方不明になっており、その行方を追う中主人公は巨大な穴へと辿り着く。それは下にもう一つ、見知らぬ大地が広がるという不思議な穴だった。穴に落ちかけていた職人を助ける代わりに自分が穴に落ちるなどのトラブルはあったものの、何とか帰還し無事冠を手に入れた主人公。祭りの夜、主人公は精霊の啓示を受ける。それは主人公が『本当の自分』を見つけ出す為の、長い旅の始まりを告げるものだった……というものになっています。

前作同様、主人公は勇者ではないただの人間です。しかし装備やシステム面で優遇を受けている部分もある事から、彼もまた選ばれし人間である事は間違いないでしょう。何しろ主人公ですからね。


前作からの大きな違いと言えば、移動速度の大きな上昇です。従来のシリーズではフィールドも街中も移動速度は均一でしたが、本作では街中やダンジョンにおける移動速度がフィールドの移動速度の二倍になっており探索が実に快適になっています。

各種扉も鍵さえあれば体当たりだけで開くようになり、より手間がかからなくなりました。探索の快適さという点では、もしかしたらシリーズ随一かもしれません。

アイテム欄には新たに『ふくろ』が加わり、使わないアイテムは全てこの中に収納しておけるようになりました。ふくろに入れられたアイテムは纏めて個数管理される上武器や防具などの種類別の整頓も出来るという便利仕様ですが、ふくろに入っているアイテムは移動中にしか使えず戦闘中に取り出す事も出来ないのでよく使うアイテムはふくろに入れずに出しておきましょう。

装備面ではこれまで漠然としていた指輪などの装備がアクセサリとして正式に分類されるようになり、装備出来る数も一つのみとなりました。アクセサリは単純な防御力の上昇よりもちからやすばやさなどの補填として使われる側面が強く、長所を伸ばすアクセサリをつけるも良し、短所を補うアクセサリをつけるも良し、自分の好きなようにキャラをカスタマイズしていきましょう。

戦闘時のアニメーションも進化し、こちらが呪文を使った時のみならず敵によって数種類の攻撃のアニメーションパターンを持つようになりました。短いパターンながらそれぞれのモンスター達の特徴を活かした動きは、戦闘をより楽しくしたのではないかと思います。

また本作では井戸を調べられるようになり、中に入ってみたり本作に登場する二つの世界を繋ぐパイプとなったりとなかなか重要な役割を担う存在となっています。しかし同時に井戸のトラップモンスターというものまで追加されたので、調べる時は必ずコンディションに余裕を持って。

忘れてはいけないのが、本作にて追加されたステータス『かっこよさ』です。これは他のステータスのようにレベルアップで上がる他装備によっても上下し、装備としては優秀ですがいまいちカッコ悪い装備もあれば装備としては最低クラスなのにかっこよさは劇的に上がる装備もあるなど様々です。更に物語中盤からは『おしゃれな鍛冶屋』なるものも現れ、代金を支払う事で装備の性能はそのままにかっこよさだけを大きく上げてくれます。

他にも主人公だけが覚えられる特技に、『おもいだす』というものがあります。これは街の人から得た情報を覚えておきいつでも参照出来るようにするというもので、これがあれば忘れっぽい人でもメモ要らずで済むという優れものです。

いらない情報が多くなってきたら、レベルアップで覚えられる『わすれる』を使えば情報の整理も可能です。これらを上手く活用し、ゲームを進めていきましょう。

あと細かいところですが、本作では中盤になると行けるようになる命名神の神殿でいつでも無料で名前を変える事が出来るようになりました。ただし『ああああ』などのふざけた名前を付けてしまうと命名神の怒りを買い、再び名前を付け直すのに高額のお布施が必要になってしまうのでふざけるのは程々に。


さて本作には複数の仲間がおり、それぞれ特徴的なステータスを持ちますがそのままでは大して強くならないし強い呪文も覚えません。そこで行う事になるのが転職です。

転職はストーリーの序盤が終わった頃に、初めて出来るようになります。転職ができるシリーズ作と言えば「ドラゴンクエスト3」がありますが、それとはシステムが大幅に異なっています。

まず「ドラゴンクエスト3」では基本ステータスやレベルアップの際の上昇幅は今就いている職業で決まり、転職するとレベルは1から上げ直しとなります。しかし本作では就いた職業によって多少ステータスは上下するものの基本的な傾向は変わらず、転職してもレベルは据え置きで変わらないままです。

各職業にはそれぞれ、熟練度というものがあります。熟練度は全部で八段階あり、自分の今のレベルと同等以上の敵を規定の回数倒す事によって上昇します。

熟練度が上がると、その職業に応じた呪文や特技を覚える事が出来ます。戦士や武闘家なら攻撃系の特技を、魔法使いや僧侶なら攻撃呪文や回復呪文を覚え、一度覚えた呪文や特技は何度転職しても絶対に忘れる事はありません。

また職業によっては、戦闘に様々な影響を及ぼす事もあります。例えば盗賊ならば敵から宝箱を盗む事によって戦闘終了後のアイテムドロップ率を上げ、魔物使いならば前作主人公同様特定のモンスターを戦闘終了後に仲間に加える事が出来ます。

転職すればするほどキャラは強くなるので、一つの職業にこだわらず沢山の職業を経験してみましょう。熟練度を最大にした職業の組み合わせによっては更なる力を持つ上級職への道が開ける事もあり、より強力な呪文や特技の習得へと結び付く事でしょう。


本編だけではなく、寄り道要素の方も豊富です。恒例のちいさなメダル集めやカジノの他、本作ではベストドレッサーコンテストとスライム闘技場が新たに寄り道要素として加わりました。

ベストドレッサーコンテストは前述のかっこよさを競う場で、幾つかのレベルに分かれています。それぞれのレベルによって決められた数値以上のかっこよさを叩き出す事で優勝となり、賞品が手に入ると共に次のレベルに挑戦出来るようになります。

審査には単純な数値だけでなく、装備の組み合わせによってボーナスポイントが加算される仕組みになっています。うさみみバンドにバニースーツといういかにもな組み合わせもあれば意外な装備同士がボーナスになる事もあり、どんな装備がボーナスになるかを考えるだけでも楽しくなってきます。

スライム闘技場は、文字通り魔物使いの職業で仲間にしたスライム族を戦わせる事が出来るという闘技場です。スライム族であれば種族は問わないので、ただのスライム以外にもホイミスライムやキングスライム、スライムナイトなども参加が可能です。

闘技場にもやはりレベルがあり、各レベル毎に決まった三組のモンスター達と勝ち抜き戦を行う事になります。見事三戦勝ち抜くと優勝となり、賞品が貰えます。

参加したこちらのスライムは作戦をめいれいさせろにしていても必ずAI戦闘で戦う事になり、いかに無駄のない育て方をしてきたかが勝利の鍵となります。一つのレベルでは二回まで賞品が貰えますが、二回目はHP、MP共に半減した状態から始まるハンディキャップ戦となり一回目より難易度が上がります。


ここからは余談。本作は転職が出来るようになり育成の自由度が増す中盤からが本番と言われていますがそこに辿り着く為に戦わなければならないボスが大変強く、諸事情によりラスボスがネタキャラ扱いされているのも相まって『○○(壁ボスの名前)が真のボス』などと冗談混じりに言われていたりします。

更にそのボスは中ボスにもかかわらず専用戦闘BGMまで持っている為、余計にそう言われてしまう羽目に……。まあ筆者もそのボスに散々全滅させられた口で、ラスボスよりよっぽど印象に残っているのも確かなんですが。


シリーズの中ではいまいち地味な扱いをされる事も多い本作ですが、登場キャラには未だ根強いファンも多く、大作シリーズに名を連ねるに相応しい名作である事は間違いありません。本作をもって「ドラゴンクエスト」シリーズは一旦任天堂ハードを離れ、プレイステーションへと戦場を移す事になるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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