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第七十一夜 ドラゴンクエスト1・2

一つ、ゲームの話でもしようか。



『あの頃夢中になった作品を、もしも今の技術でリメイクしたら』というのはファミコンスーファミ世代、プレイステーション世代が一度は夢見た事だと思います。最近だと「ファイナルファンタジー7」や「バイオハザード2」なんかがリメイクを発表され、発売を待たれていますね。

このリメイク路線は遡る事二十年以上前、本エッセイでも以前取り上げた「スーパーマリオコレクション」に端を発します。以降ゲーム業界には定期的にリメイクブームが起きるようになり、様々な名作、良作が最新の技術で生まれ変わりました。

……もっともリメイクが原因で原作が持っていた雰囲気が損なわれるなどの弊害が起きるパターンもあり、万人がリメイクを手放しで喜んでいる訳ではないという現実もある訳ですが。大好きな原作なんですから、どうせなら丁寧にリメイクして頂きたいものですよね。

では、最もリメイクに熱心なゲーム会社と言えばどこでしょう? 私はスクウェアエニックスだと思います。「ドラゴンクエスト」シリーズ、「ファイナルファンタジー」シリーズ共に数多くのリメイクを出し、特に「ファイナルファンタジー」と「ファイナルファンタジー2」に関しては出ていないハードの方が少ないんじゃないかと言わんばかりの大放出ぶりです。

そんなスクウェアエニックスの初リメイクは、スクウェアとエニックスがまだ別々の会社だった頃まで遡ります。意外にも最初にリメイクに着手したのはエニックスの方で、「ドラゴンクエスト」シリーズ自体リメイクがされていないのはオンラインモード搭載の9と完全オンラインの10、最新作11くらいで後は全てリメイクが一本以上は出ていたりします。

今回のテーマはスクウェアエニックス初となるリメイク作、「ドラゴンクエスト1・2」です。あの名作が一体どんな進化を遂げたのか、以前の回とも比較してご覧下さい。


本作は「ドラゴンクエスト5」が出て間もなくの頃、旧エニックス、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。そのタイトル通り、「ドラゴンクエスト」と「ドラゴンクエスト2」が一本のソフトに同時収録されているのが最大の特徴です。

ストーリーは以前の回でお伝えしました故に今回は省きますが、2の方に新たにムーンブルクが滅ぼされるまでの様子や新規イベントが追加され単なるグラフィックやバランスの調整だけではなくなっています。語られる事は決して多くないとは言え、より2の世界観に没入する事が出来るようになったのではないでしょうか。


リメイク前との最大の変更点はやはり便利ボタン、これに尽きます。特にこの便利ボタンの恩恵を受けているのは2で、リメイク前ではいちいちどうぐコマンドで鍵を選んで使わなければ開かなかった扉が鍵さえあればボタン一つで開くようになったのです。これにより快適性が大きく向上し、鍵を使い分けなければならない煩わしさが大いに軽減された事は想像に難くないでしょう。

もう一つ最大の変更点を上げるなら、それはセーブ方式がパスワードからバッテリーバックアップに変わった事でしょう。とは言えこれは一長一短でもあり、バッテリーバックアップはセーブが飛びやすい、上書きしたらもうその前のデータは使えない、そしてこれは現在になってからの問題ですが電池が切れてしまえば二度とセーブ出来なくなるなどの問題を抱えている為一概にパスワードよりバッテリーバックアップの方が優れているとは言えなかったりします。現在はバックアップ装置も進化し、上書き前のデータが使えない以外の問題は全て解決されているのですが。

これら二つには劣る変更点ですが、預かり所が1、2共に新しく設置されたのも大きいです。これにより全滅でお金を減らす危険性がグッと低下した上、使わなくなったイベントアイテムを預けておけるようになりアイテム欄が無駄に圧迫される事はなくなりました。

グラフィックも勿論進化し、戦闘に突入すると「ドラゴンクエスト5」のように今いるマップによって背景が追加されるようになりました。また攻撃呪文を使った際はアニメーションが入り、戦闘を盛り上げてくれます。

またBGMがオーケストラ版に近くなり、リメイク前とはまた違った印象を与えてくれます。リメイク前のピコピコ音の方が好きだった……という方も中にはいるでしょうが、そこは人それぞれという事で。


1における変更点についてお話ししましょう。まずメニューのコマンドが「ドラゴンクエスト5」基準になった為、リメイク前は少々猥雑だったコマンドがすっきりと纏められました。

階段も勿論触れるだけで登れる上、本作のダンジョンの明かりは主人公を中心に丸く浮かび上がる形になっているのでたいまつやレミーラがなくても最低限の視界は確保出来、リメイク前のように明かりが切れてしまい階段の在処が解らず詰むという事はなくなっています。それでも明かりになるものがあった方がいいのは変わりませんが。

また後のシリーズのように、アイテムを敵に使って攻撃する事も出来ます。正直それが有効に機能する魔法使い系の仲間がいない本作では直接殴った方が強いし早いのですが、何となく嬉しい変更点ではあります。

薬草と鍵も相変わらず六個ずつ持てますが、本作ではホイミの性能が「ドラゴンクエスト5」準拠になっている為薬草がリメイク前のような中盤までの回復の切り札という立ち位置ではなくなりました。ここは難易度が下がったと喜ぶべきか、薬草の切り札感がなくなったと嘆くべきか。

細かいところではリメイク前では台詞だけだったシリーズ名物ぱふぱふを実際にして貰えたり、ローラ姫以外の女性を宿に連れ込み『ゆうべはおたのしみ』出来るようになりましたが……それでいいのか勇者。ローラ姫が泣くぞ。


2における大きな変更点は、やはり前述のオープニングとイベントの追加でしょうか。オープニングはムーンブルクの王女を、イベントはサマルトリアの王子をより掘り下げる形となっています。

またリメイク前と比べると難易度の大幅な調整が行われており、大分遊びやすくなりました。特に嬉しいのはサマルトリアの王子のテコ入れで、超大器晩成型のステータス上昇率こそそのままですがロトの剣を始めとしたローレシアの王子専用だった武器を幾つか装備出来るようになりベギラマの威力も上方修正された(と言うより本来の威力になった)為アタッカーとしての性能はかなり向上しました。

一方で防具の追加はされなかった為、微妙に柔らかく死にやすいというもう一つの欠点はリメイク前のまま据え置きになってしまいました。まあそこまで改善されてしまったら万能過ぎるなんてものじゃないので、バランスを取るという意味では仕方なかったのでしょうが。

ラスボス前のボスラッシュの難易度も軟化し、一度倒したボスはそのデータでは二度と登場しなくなりました。これにより一体倒したら戻って回復という戦法が取れるようになり、クリアのしやすさに大きく貢献したのではないかと思います。

小ネタとしては、リメイク前にもあったサマルトリアの王子とムーンブルクの王女の名前を変えられる裏技が本作にも存在している事が挙げられます。しかも今度は付けた名前をセーブする事が出来るので、自動で付けられた名前が気に入らない!という方は試してみるのもいいかも?


「ドラゴンクエスト」シリーズ初のリメイク作品は、当時の面影を残しつつ当時よりも大幅に遊びやすくなった良リメイクとなりました。「ドラゴンクエスト」「ドラゴンクエスト2」に「ドラゴンクエスト3」を合わせたロト三部作はその後も多くの機種に移植され、広くユーザーに遊ばれる事となるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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