第六十五夜 まじかる☆タルるーとくん
一つ、ゲームの話でもしようか。
「まじかる☆タルるーとくん」はかつて週刊少年ジャンプに連載されていた、江川達也氏の代表作です。近年は悪評ばかりが目立つ氏ですが、この頃は本当に人気作家でした。
そんな「まじかる☆タルるーとくん」、時代の波に乗りゲーム化もされました。魔法使いタルるーとの使う魔法の道具とゲームの相性の良さ、たこ焼きが大好きというタルるーとのキャラとそれを活かしたギミックなどからゲームはなかなかの好評を博し、続編が幾つも作られました。
今となっては筆者も氏に思うところのある一人ですが、生み出された作品に罪はありませんし当時は本当に好きな作品だったのも事実です。なので私情は交えず、公平にソフトの紹介をさせて頂きます。
そんな訳で、今回のテーマは「まじかる☆タルるーとくん」です。皆様原作者の事は頭から切り離してご覧下さい。
本作と同名のタイトルはファミコンにもありますが、ここでは旧バンダイ、現バンダイナムコエンターテインメントよりゲームボーイにて発売された横スクロールアクションゲームの方について語らせて頂きます。世間的に有名なのは恐らくファミコン版の方でしょうが、筆者は持っていないもので。
全部で四つあるステージの各ストーリーは原作にあったエピソードが元になっており、道中の道のりやボス以外の敵こそ完全にオリジナルですがなかなか原作を大事にした作りなのではないかと思います。ファミコン版と違い自機となるのはタルるーとを呼び出した小学生の少年、江戸城本丸でタルるーとはそのサポートキャラという扱いになります。
各ステージ上にはアイテムボックスが点在しており、攻撃を当てる事で中身が飛び出す仕組みとなっております。アイテムボックスの中身は以下の通り。
五芒星はタルるーとを呼び出し、タルるーとからのサポートを受ける事が出来るようになります。既にタルるーとがいる場合は、代わりに大たこ焼きが出てきます。
大たこ焼きは取れば普通のたこ焼き十個分となります。たこ焼きを全部で百個集めれば1upです。
パワーアップルジュースは一定時間無敵になれます。無敵になっている間は敵に触れるだけでダメージを与えられますが、穴に落ちれば普通に死にます。
イキフキカエルは1upアイテムです。出てきたらラッキーと思っておきましょう。
アイテムボックスの中には普通には開けられない位置にあるものもあり、取るにはタルるーとの協力が必要になります。しかしあまりタルるーとに頼り過ぎると……?と、その話はまた後程。
各ステージには、たこ焼きだらけのボーナスエリアや「まじかる☆タルるーとくん」に登場するキャラなどが隠れている場合があります。キャラに会うと大抵はいい事が起こりますが、中には会ってしまうと不利益を被るキャラも……。
キャラに会う方法はここではお答え出来ませんが、何か隠れていそうな場所は徹底的に調べてみましょうとだけ。実際気付くまでは、ちょっとした裏技レベルの会い方ではあるのですが。
さて本作の肝となるのがサポートキャラ、タルるーとの存在です。タルるーとは一度呼び出すと本丸の後ろをついて歩き、敵からのダメージを一回だけ身代わりになって防いでくれます。
それだけではなく、タルるーとがいる時にセレクトボタンを押すと直接タルるーとに力を借りる事が出来ます。タルるーとに頼める事は、以下の三つになります。
『やっつけちまおうぜ!』は本丸の攻撃力が上がる、飛び道具で攻撃出来るようになるなど攻撃面で役に立つ効果がランダムで一定時間得られます。ボス戦など、ここぞという時に使うと効果的です。
『しにそうだよ』は敵の動きを止める、空を飛ぶなど移動面で役に立つ効果がランダムで得られます。こちらは道中の雑魚敵相手に使うと相性がいいです。
『とっくんだ!』はタルるーとの魔法の特訓を受ける事が出来ます。特訓はスキーのフラッグ取り、炎とボクシング、じゃば夫とPKの三種類のミニゲームに分かれており、三つ全てをクリアする事で本丸のレベルが上がりボス戦における攻撃力が増加します。
この内特訓だけは何度行っても問題はなく、特訓をクリアすればするほど本丸のレベルは上がりますが代わりに特訓の難易度も上がっていきます。特にPKの難易度の上がり具合は凄まじく、後半になると五本中四本ゴールを奪わなければいけないのにじゃば夫が超反応で次々ボールを防いでくるという無理ゲーと化します。もっと特訓を成功させれば五本全部ゴールさせろという更なる無茶ぶりをされていたものと思われますが、筆者はそこまでの高みに到達する事は出来ませんでした。
そして本作は、特訓以外にタルるーとの力を何回借りたかでエンディングが分岐するマルチエンディング制となっています。ヒロイン伊代奈ちゃんの祝福をタルるーとに取られたくなければ、タルるーとに力を借りるのは程々に。
これはこれで面白いのですが、やはりファミコン版のボリュームと完成度と比べてしまうとマイナーになってしまったのも仕方がないかな、という気はします。それでもこのゲームボーイ版もゲームボーイ版で、しっかり続編が出ていたりするのですが。
とりあえず、今回はこれにて。




