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第六十夜 真・女神転生if…

一つ、ゲームの話でもしようか。



一つのクラスが丸ごと異世界に転移してしまう――。異世界転移ものでは定番と言っていいシチュエーションですね。

事実、このサイトでもそういった作品は数多く目にします。全員クラスメイトという事で人間関係が始めから出来上がっているので、話が作りやすいのかもしれませんね。

何故いきなりそんな話題に触れるかと言うと、今回ご紹介する作品がそのクラス丸ごと、いや学校が丸ごと異世界に転移してしまうというシチュエーションから始まるからです。その作品の名は「真・女神転生if…」。今から二十年以上昔の異世界転移ものがどのようなものだったのか、想像しながらお楽しみ下さい。


本作は前作「真・女神転生2」が発売されてすぐ、アトラスよりスーパーファミコンにて発売された3DダンジョンRPGです。大破壊に見舞われた東京が舞台だった従来のシリーズと違い、本作は魔界に転移させられた一つの高校が舞台となっています。

ストーリーは東京某所にある高校、軽子坂高校に通う主人公はある日の放課後、突然の地震に襲われる。やがて地震が治まり外を見ると、そこは見た事もない異様な空間だった。ひとまず校内の様子を見る為に教室を出た主人公の前に、一人の男子生徒が現れる。彼の名は狭間偉出夫。自ら魔神皇を名乗る彼こそが、学校とそこに通う生徒達への復讐の為に学校を丸ごと魔界に落とした張本人であった。主人公は校内で見つけたパートナーと共に、魔界から脱出する術を探して奔走する……というものになっています。

本作ではまず、複数のパートナー候補から一人を選んで探索の友とする事となります。始めに主人公に声をかけてくる、見た目は派手だが根は優しいクラスメイトのユミ。主人公とは違うクラスだが主人公に一目置いているらしい、見た目も派手で性格も自分本位なチャーリー。パートナーにするのに少し手間がかかる、何かを知っている素振りを見せる下級生のレイコ。この三人に一度ゲームをクリアしないと同行出来ない隠しパートナーを加えた計四人が、主人公のパートナー候補となります。

それぞれのパートナーは能力や覚えられる魔法だけでなく、脱出の為に辿る道筋もまた異なります。本作には従来のようなロウルート、カオスルートがない代わりに、選んだパートナーによってエンディングが分岐するようになっているのです。


さて従来であれば最初に主人公のステータスポイントを割り振って、それからゲームスタート……という流れが定番ですが、本作では少し勝手が違います。プレイヤーはまず最初に心理テストを行い、その結果によって主人公のタイプが変わってくるのです。

タイプはパワータイプ、スピードタイプ、バランスタイプ、ラッキータイプに分かれており、それぞれのタイプに応じた初期ステータスでゲームが開始される事となります。このタイプと、本作で初めて選べるようになった性別とで主人公に宿せるガーディアン(説明は後述)が決まるので、様々な面でこのタイプ決めが重要な意味を持ってきます。

なおパートナーキャラの初期ステータスと宿せるガーディアンは主人公のタイプ性別を問わず固定なので、そこはご安心下さい。そこまで変わってしまったら、ややこしい事この上ないですからね。


本作には第二作以来お馴染みになっていた2Dマップが存在せず、3Dダンジョンのみの構成となっております。しかし各エリアには中継地点から移動する仕組みになっているので、第一作のような煩わしさは感じにくくなっています。

この変更が本作の『異世界に閉じ込められた学校』というシチュエーションの雰囲気作りに一役買っておりまして、2Dマップがない事による閉塞感が殊更自分達の今の状況を認識させてくれます。2Dマップには解放感という役目もあったのだな、と改めて気付かされる次第です。


本シリーズの醍醐味と言えばロウとカオス、それぞれの価値観によって揺れ動くストーリーですが本作においてはその概念は薄く、悪魔には従来通り属性が存在しますが主人公には存在しません。すなわち交渉で仲魔に出来る悪魔なら仲魔にし放題なのですが、そう簡単にはいかせてくれないのがドM御用達に定評のあるアトラス。

本作では主人公の属性が存在しない代わりにロウ属性とカオス属性の仲魔を一緒のパーティーには出来ないよう変更がなされており、ロウ属性とニュートラル属性、またはカオス属性とニュートラル属性での組み合わせのパーティーしか作れないようになっているのです。これによりロウ属性とカオス属性のそれぞれ強い仲魔を組ませる事が出来なくなり、従来以上にパーティーメンバー選出には気を遣う必要が出来ました。

またパーティーがロウ属性、またはパーティーがカオス属性でなければ手に入らない防具やガーディアンもあり、頭を悩ませてくれます。この辺に関する正解は存在しないので、皆様思い思いのパーティーを作り上げて下さい。


施設は主人公達が高校生という事もありバー撤去、主人公に属性がない事による回復施設の統一ぐらいしか特筆すべきところはありませんが、本作よりガン攻撃用の弾が消費制になった事により一発辺りの弾が安くなったのが変更点と言えば変更点でしょうか。但し安くなったとは言え最大の99発まで買おうと思えばそれなりにマッカがかかってしまうので、前作までのようにガンによる状態異常無双とまではいかないのが辛いところです。

戦闘では前作までにおいては敵の攻撃の集中しやすさくらいにしか関わらなかった隊列が、本作では後列三名は近接攻撃を行う事が不可能となりました。こうなるとガンや魔法、特技で攻撃するしかなく、隊列をどう組むかも重要なポイントとなります。

悪魔との交渉や合体にもさほど大きな変更点はありませんが本作では種族毎に好感度が設置され、長く仲魔に加える、交渉の時も要求はなるべく聞き入れるなどして好感度を一定値まで上げると話しかけた時の反応が変わり、簡単に仲魔になって貰う事が出来るようになりました。この状態になると悪魔合体に使う仲魔集めが大分楽になるので、よくお世話になる種族の好感度は是非とも上げておきましょう。

また主人公の属性撤廃により、剣合体によって作り出せる合体剣の利便性が大きく向上したのもプラスです。合体剣そのものの強さの上方修正も重なり、いかに強力な合体剣を早いうちに作れるかが本作の難易度を決めると言っても過言ではありません。


ではそろそろ、何度か話題に出した本作最大の要素であるガーディアンについてお話ししましょう。まず本作では従来と違い、主人公とパートナーが死んでもゲームオーバーになる事はありません。

主人公やパートナーは一度死ぬと、悪魔の力を得る事によって蘇ります。この時主人公達に力を与えた悪魔の事を、ガーディアンと呼びます。

ガーディアンが憑くと主人公達のステータスがそのガーディアンのものになり、それが魔法を持っているガーディアンであればパートナー達はガーディアンの持っている魔法を覚えます。この時覚えた魔法は、覚えられる容量をオーバーして上書きされるまでずっと覚え続けられます。

死んだ時どのガーディアンが憑くかは、悪魔を倒す事で溜まっていくガーディアンポイントで決まります。ガーディアンポイントを多く溜めた状態で死ねばより強いガーディアンを迎えられますが、まだあまりガーディアンポイントが溜まっていないうちに死ぬとガーディアンも弱くなってしまいます。

一旦ガーディアンが憑いてしまうともうそのキャラの素のステータスは反映されなくなるので、それが嫌なら一度も死なずに進んでいくのも手です。但し本作でパートナー達が魔法を覚える手段はガーディアンを憑かせるしかないので、それだけ難易度も上昇する事を覚悟の上で。


余談ですが、本作のBGMは真シリーズ二作に登場したBGMをそれぞれアレンジしたものとなっています。過去作を遊んでくれたプレイヤーへの、サービスといったところでしょうか。


舞台が異世界に取り込まれた高校、そして登場人物の殆どが高校生か学校の関係者という従来とは違ったライトな雰囲気は新たなユーザーの獲得に貢献し、完成されたシステムもまた従来のユーザーに好評を博しました。この雰囲気は後に「ペルソナ」シリーズへと受け継がれ、新たな物語を生み出していく事となるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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