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第五十八夜 真・女神転生

一つ、ゲームの話でもしようか。



1999年、人類は滅亡する……。二十世紀生まれには有名だろう、ノストラダムスの大予言です。

まあ実際にそんな滅亡など起こらなかった事は今生きている我々が証明している訳ですが、二十世紀末当時は世界滅亡ものが大流行し一大ブームとなっていました。世界が滅亡し、僅かに生き残った人類達が生きる道を模索していく……当時の人なら、一度はこんな世界観の話を見た事があるんじゃないかと思います。

そんな中ゲーム界にも、大破壊の後を生き延びた人類達というシチュエーションの物語が生まれていく事となります。前回ご紹介した「デジタルデビル物語 女神転生2」もそうですし、「メタルマックス」シリーズなんかもこれに当て嵌まります。

今回のテーマは「デジタルデビル物語 女神転生2」の世界観をより現実に近付けそこに宗教観を強く加えた、現在の「女神転生」シリーズにおける価値観の基礎が形作られた作品。「真・女神転生」です。


本作はスーパーファミコン初期、アトラスよりスーパーファミコンにて発売された3DダンジョンRPGです。ファミコン時代はナムコが販売権を持っていた本シリーズですが、スーパーファミコンにプラットホームを移して以降は晴れて開発元であるアトラスがそのままシリーズを販売する事と相成りました。

ストーリーは二十世紀末の吉祥寺、母子家庭ながら平和に暮らしていた主人公の元にある日パソコン通信で悪魔召喚プログラムなるものが送られてくる。それを切欠とするように、突如町中に溢れ出す悪魔。主人公は悪魔召喚プログラムを受け取る前日に夢の中で出会った二人の少年と現実で再会し協力して悪魔と戦っていくが、やがて見つけた奇妙な機械によって辿り着いた新宿で軍事クーデターに巻き込まれる中一人の少女と出会い、自らの価値観を揺さぶられる出来事に直面する事になる。そして巻き起こる大破壊。主人公と少女、そして二人の少年の行く末は……?というものになっています。

このストーリーにもある通り本作の舞台も前作同様東京となっており、本作では2Dマップ中常に自分のいる地名が表示されるのもあってよりリアルに東京を歩いている事を実感させてくれます。町がない場所もきちんと地名が存在しているという細かさなので、東京の地理に詳しいとついつい余計な寄り道をしてしまいたくなります。

特に主人公の住んでいる町でありスタート地点である吉祥寺は細かい部分まで再現されており、井の頭公園や駅前のエコービル(現在は存在しない)など実際にあるスポットが探索の舞台になっていたりします。当時吉祥寺に住んでいたユーザーには、これは嬉しかったのではないでしょうか。


本作の2Dマップはシリーズお馴染みのハンドベルトコンピューターに表示されたマップという設定になっており、主人公のアイコンは記号化し視覚的にも情報がスッキリしました。ステータスは相変わらずメニューを開いての確認となりますが本作では2Dのダメージフィールドは存在しない上悪魔との交渉の成功率に関わる月齢は常に表示される為、気を付けるべきはマグネタイト量だけとなっており前作よりは気楽に2Dマップを歩けます。

ただし店やセーブポイントなどの施設は全て3Dダンジョンの中に移動してしまったので、体力全快の状態で安心してセーブ、という事はしにくくなりました。本作はエンカウント率が少し高めなので、消耗状態でセーブだけはしないよう気を付けたいところです。


施設はまず、前作のチェックマンがコンピューターターミナルに変わりました。と言っても機能は同様で、一度訪れたターミナル同士は一瞬でワープ出来るのも変わりません。

ガンショップとジャンクショップはそのままで、防具屋は男女共通に戻りました。交渉にも使用する宝玉と本作より登場した下位互換の魔石が店で買えないのは同じですが、本作では待望の店売り回復アイテムであるきずぐすりが登場し回復事情が大分改善されました。

回復ポイントは三種類に分かれ、それぞれ料金が異なる仕組みになりました。これら回復ポイントは後に説明する属性に深く関わってくるので、詳しい説明はそちらで致します。

バーは前半のみありますが飲み物が飲めるだけで、情報はメッセンジャーの住人に直接聞き込みをするのみとなりました。本作の主人公はバッチリ未成年なので、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれませんが。

現実の東京にカジノがない為か、カジノも本作には存在しません。まあこれははっきり仕方がないですね。


3Dダンジョンに関しては大きな変化として、待ちに待っていたオートマッピング機能が追加されました。ダメージゾーンはあれど落とし穴はない本作にこの機能は嬉しい限りで、手書きマップを描く手間からも解放されてぐっと探索を進めやすくなりました。

また物語途中から追加される機能ですが、デビルアナライズ機能が追加されたのも大きいです。この機能は一度戦った敵であれば、そのステータスを移動中戦闘中いつでも知る事が出来るという優れものです。

正確にはこのデビルアナライズは前作の時点であったのですが、その時は直前に戦った三種類の悪魔のステータスしか解らず戦闘中にも参照出来なかったのであまり使い勝手がいいとは言いがたい機能でした。それが機能改善され実用レベルに至ったのは本作からなので、本作からの利点とさせて頂いております。

後は時折弱い悪魔と必ずエンカウントする場所があるのですが、条件を満たした状態でそこにいくと256分の1という大変低い確率で隠し悪魔が現れます。これら悪魔を倒すとこれまた256分の1の確率で超強力な剣を落とすので、拾えたらラッキーと思っておきましょう。


レベルアップで上げるステータスは五つから六つになり、新たに魔法を覚える早さや威力、魔法耐性やMPなどに関わるまりょくがちりょくから分化しました。ちりょくは交渉の成功率と魔法を覚える早さに関わるだけに留まり、主人公はちりょくを、他のキャラはまりょくを伸ばすなどの細分化が可能になっています。

装備の面では前作はガンを買うだけだったガン攻撃が本作からはガンと弾に分かれ、ガンは基本威力と攻撃回数、弾は追加で与えられる特殊効果をそれぞれ表すようになりました。特に敵悪魔全体を攻撃出来るガンと戦闘不能効果を与えられる弾との相性は抜群で、中盤に出てくる悪魔なら大概はこれで無力化が可能となっておりガン攻撃の有用性を大きく高めています。


本作での悪魔との交渉は、最初に友好的に接するか威圧的に接するかを決める事になります。レベルが近い場合は友好的、かなりレベルが下の場合は威圧的に接すると比較的交渉を有利にしやすいようです。

取れる行動が決まっていた前作と違い、本作での交渉は悪魔の反応によって次々と取る行動を変えていく事になります。その臨機応変な対応がより『生きている相手との交渉』感を強め、交渉を楽しいものとしてくれます。

 交渉が纏まるといよいよ要求に入る訳ですが、本作では相手に仲魔になるよう持ちかけるだけでなくこちらからマッカやマグネタイトの要求も出来ます。これにより自分よりレベルの高い相手や仲魔にならない種族相手でも交渉して見逃して貰う……という手が使えるようになり、生存率がぐっと上昇しました。

また本作ではメシア教徒、ガイア教徒という信者達であれば人間も仲魔に引き入れる事が可能で、彼ら彼女らとの交渉は少々特殊なものになります。一つアドバイスをするなら態度は常に威圧的に、そして大量のマッカを持っていかれる事を覚悟して。


悪魔合体の変更点はまず、どの邪教の館でも三身合体が可能になりました。三身合体は普段は表示されず、条件を満たす、つまり合体でしか作れない仲魔が三体以上いる時にしか表示されません。

また本作から交渉で仲魔に出来ない悪魔も合体で作り出せるようになり、仲魔に出来ないのは実質ボスと隠し悪魔、序盤に出てくるヤクザ系の敵のみとなりました。散々敵として苦労させられてきた悪魔達を仲魔として使えるようになる昏い喜びは、合体マニア達を大層狂喜させたものと思われます。

通常の合体に加え、新たに剣合体が加わったのも特徴です。これは特定の剣と特定の悪魔を合体させ新たな剣を生み出すというもので、シリーズを通じて最強の剣として位置付けられているヒノカグヅチを入手するにはこの剣合体を利用する他ありません。

剣合体は組み合わせの種類も少なく、極めるのは大変困難です。ですがそれに見合った武器は手に入るので、頑張って組み合わせを見つけてみましょう。


さて施設の話をした時に、属性について少し触れました。この属性こそが本作最大の肝であり、以後のシリーズにとっても重大な要素になるのです。

属性はロウ、ニュートラル、カオスに分かれており、本作に登場する悪魔達は必ずこのどれかの属性を持っています。それは主人公も同じで、作中で取った行動により属性がだんだんと変わっていく事となるのです。

傾向としては、慈悲深く理性的な行動を取るとロウ。己の欲に忠実で本能的な行動を取るとカオスに傾きやすい傾向があります。双方の行動を平均的に取っていれば、中庸のニュートラルとなります。

これら属性によりストーリーは微妙に変化していき、そして後半には最終的な決断を迫られる事になるのです。その時どの属性と共にあるかを選ぶのは、あなた次第です。

これら属性は仲魔を作る際に非常に重要な要素で、ロウ属性に傾いている時はカオス属性の悪魔が、カオス属性に傾いている時はロウ属性の悪魔がそれぞれ仲魔にならなくなり、例えCOMP内にいても召喚が不可能となるのです。そうなると自然とパーティーに入れられる仲魔の幅が狭まり、攻略もそれだけきつくなります。ちなみにニュートラル属性の悪魔は、自分がどの属性でも仲魔に出来ます。

最終的には自分がどの属性になるかを固定させなければいけませんが、それまではなるべく常にニュートラルでいる事を目指すといいでしょう。ニュートラル属性は全ての属性の悪魔を仲魔に出来ますので。

三種の回復ポイントもそれぞれロウ用、カオス用、全属性用に分かれていて、自分の属性でそれぞれの反応が変わります。ロウ用は一番安く回復出来る代わりに、カオス属性だと一切利用出来ません。カオス用は値段は中間でロウ属性でも利用出来ますが、ロウ属性だと追加料金を取られます。全属性用はどの属性でも変わらず利用出来ますが、一番割高です。

ロウ用、カオス用は使う度に属性が僅かに使った方の属性に傾くので、これを利用して属性調整を行うのも手です。特に普通のRPGの感覚でプレイしていると属性がロウに傾きやすいので、カオス用がロウ属性でも使えるのは助かります。

属性が関係するのは装備にも及び、全ての属性で装備出来る装備もあれば決まった属性でしか装備出来ない装備もあります。最強装備は属性毎に手に入れられるものが決められている為、欲しい装備ともよく相談し最終属性を決めるといいと思います。


ロウとカオス、どちらを選ぶかそれともどちらも選ばないか。この属性によるストーリー進行の違いは、後のシリーズまで脈々と受け継がれる事となります。



とりあえず、今回はこれにて。

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