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第五十五夜 ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦

一つ、ゲームの話でもしようか。



ファミコン最盛期。それは、RPGの黎明期でもありました。「ドラゴンクエスト」のヒットに端を発したRPGブームは瞬く間に業界に広まり、自分の会社でもRPGを作って一山当ててやろうと玉石混淆の様々なRPGが産み出される事となりました。

その流れは元々アクションゲームだったシリーズにも広がり、幾つかのアクションゲームシリーズでは突然続編がRPGになって出るなんて事になったりもしました。その他にも「ゼルダの伝説」における「リンクの冒険」、「悪魔城ドラキュラ」における「ドラキュラ2 呪いの封印」のように、部分的にRPG要素を盛り込んだアクションゲームの続編も幾つか存在していたりします。

そんな中、ファミコンでキャラゲーを中心にソフトを展開していたバンダイもその波に乗ろうと考えます。キャラゲーが売り上げの生命線なバンダイですから、産まれたのもまたキャラゲーのRPGでした。

その名は「ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦」。キャラゲーとRPGの相性がいかばかりのものだったのか、想像しながらお楽しみ下さい。


本作はファミコン最盛期、旧バンダイ、現バンダイナムコエンターテインメントよりファミコンにて発売されたRPGです。セーブはパスワード方式で、ひらがなのみで構成された三十文字のパスワードを入力し再開するシステムになっています。

ストーリーは鬼太郎が修行の為日本を離れている間に大陸からやってきた妖怪達が日本を占拠してしまった。鬼太郎は妖怪軍団から日本を救う為、日本に戻り妖怪達との戦いに身を投じていく……というものになっています。ベースはこの時点で放送が既に終了していた三期となっており、オリジナルヒロインである夢子も重要な役回りで登場する事となります。

本作に登場する妖怪達は故水木しげる氏のデザインである事が解りやすい見た目のものばかりだった前作と比べ、一見して水木氏デザインなのかそうでないのか解りにくいものが多く原作再現度という点では若干微妙になっています。一応水木氏デザインと解りやすい妖怪に関しては、再現度はそれなりに高いのですが。


本作を象徴するものと言えば、鬼太郎の異様な弱さです。どのくらい弱いのかと言うとスタート地点に出てくる敵とレベル1の鬼太郎が戦った場合、体力の半分はまず削られ運が悪ければ体力満タンの状態からでも殺されると言えばお解り頂けるでしょうか。

初っぱなからそんなゲームバランスですので、本作では死んでもゲームオーバーにはならず関東エリアにある鬼太郎の家に戻されるだけとなっております。まあお化けは死なないと歌でもありますし、原作の鬼太郎自体何度も死んでは生き返っていますしね。

本作の鬼太郎が何故こんなに弱いのかと言うと、修行の為にお馴染みリモコンゲタやオカリナ笛、果てはトレードマークのちゃんちゃんこまで全部日本に置いてきてしまったかららしいです。それにしても毛針や指鉄砲すら最初は使えず、唯一使える攻撃手段が体当たりと言うのは流石にどうかと思うのですが。

そんな鬼太郎ですが、レベルが1から2になっただけで何とHPが三倍になります。レベル1時のHPがたったの8という驚異の低さなので8が24になっただけなのですが、それでもどれだけ上昇幅がでかいんだと思わざるを得ません。

HPはこの後も物凄い勢いで増えていくので一見ヌルゲーであるように思えてしまいますがそうはいきません。本作の最高レベルは何と10。順調に雑魚との戦いを重ねていけば、中盤の終わりぐらいにはもうこの最高レベルに達してしまいます。

当然ながら最高レベルに達してしまえば鬼太郎はもう成長しませんので、雑魚と戦うメリットは戦闘後にドロップする消費アイテムの調達のみとなります。一応地域によりどの消費アイテムをドロップするかは決まっているようなので後半の雑魚と戦うメリットが全くない訳ではないのですが、そこまでして手に入れたいアイテムかというとちょっと疑問が残るところです。

問題は単純な鬼太郎の戦闘力だけではなく、戦闘システム自体にもあります。本作の戦闘では何故か、ターンを無視して敵が追加攻撃を行ってくるという事が頻繁に起こるのです。

これにより『あと何発まで耐えられるか』という計算がしょっちゅう覆されるので、正直迷惑以外の何物でもないです。逆にこちらが追加攻撃を行えるようなシステムもないので、苛立ちばかりが募ります。


本作には町はなく、あるのは鬼太郎の家を始めとした休憩所のみとなります。休憩所は各エリアに一つずつあり、HPとMP全快の他にパスワードも取る事が出来ますが再開は必ず鬼太郎の家からとなります。

施設としては他にも、関東エリアと中国エリアに一つずつ存在する病院があります。ここでは旅の途中で倒れた仲間を、一人ずつ復活させる事が出来ます。

仲間は各エリアに散らばっており、条件を満たすとついてきてくれるようになります。と言っても基本的に戦うのは鬼太郎一人で、仲間は仲間コマンドで選んだターンだけ代わりに敵に攻撃してくれるようになっています。

それだけではなく、そのターンの攻撃まで仲間が肩代わりして受けてくれるのです。ただし各仲間のHPは最大10で統一されており、途中回復も出来ないので仲間を癒すには一旦HPを0にし、病院に送り込むしか手はありません。


倒した敵から消費アイテムが得られる事は前述しましたが、では宝箱からそれらのアイテムが得られるかと言うと基本的にはノーであると言わざるを得ません。正確に言うと得られる場合もあるのですがそれはその時点でそのアイテムを一つも持っていない場合に限り、既に持っている場合は何も出て来ません。

基本的に本作における宝箱は鬼太郎の武器を手に入れ攻撃手段を増やす為にあり、消費アイテムは地道に敵からのドロップを狙うしかないのです。本作のダンジョンは広大な事が多いのにこの仕様なので、ダンジョン探索はちょっとした苦行と言ってもいいと思います。


さて序盤に地上からエリア移動を行おうとすると、結界のようなものに遮られて先に進めなくなると思います。これは妖怪達が設置した『妖気雲』という装置で、その妖気雲は該当エリア内にある妖気石という敵が生み出しています。

地下から該当エリアに侵入し、妖気石のある場所に辿り着いて戦闘で勝てば妖気雲はなくなるのですが問題は妖気雲がある状態での該当エリアの視界の悪さです。常に小さく点滅する白い幕に覆われた画面は、はっきり言って目に悪い事この上ないです。

おまけにこの視界の悪さが災いして、一部エリアでは肝心の妖気石の所に通じる洞窟の入口が見えにくくなるという有り様です。最初から自由に各エリアを移動出来ないという発想自体は良かったのですが、この視界の悪さだけはもうちょっと何とかならなかったんでしょうか。


キャラゲーとRPGという組み合わせは、ゲームバランスという点でも原作再現という点でもどうやら及第点とはいかなかったようです。漫画やアニメの主人公は最初から強いのが当たり前なので、最初は弱いキャラが徐々に成長していくというRPGのシステムとは相性が悪かったのかもしれませんね。



とりあえず、今回はこれにて。

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