第四十九夜 スーパーマリオRPG
一つ、ゲームの話でもしようか。
長らく続いたマリオ特集も、いよいよ今回を残すのみとなりました。フィナーレを飾る今回ご紹介のソフトは、「スーパーマリオ」シリーズのRPG全ての原点。「スーパーマリオRPG」です。
任天堂のRPGと言えば有名なのは「ポケットモンスター」シリーズや「MOTHER」シリーズですが、任天堂では基本的にRPG関係の開発は下請け会社に委託し本社が自ら作るような事はありません。この「スーパーマリオRPG」も例外ではなく、開発には外部の会社が携わっています。
その、開発に携わった外部の会社とは……スクウェア。あの「ファイナルファンタジー」シリーズを始めとした数々の名作RPGを世に送り出してきた会社が、任天堂と手を組んだのです。
しかし「スーパーマリオRPG」発売後、両社の関係は急速に悪化。スクウェアはプラットホームをプレイステーションに移し、再び任天堂ハードでソフトを出すまでには十年近くの歳月がかかる事となります。
そんな、任天堂とスクウェアの初めての共同制作となったこの「スーパーマリオRPG」。果たしてどんなゲームに仕上がったのでしょうか。
本作は次世代機の台頭により、スーパーファミコンの勢いにもそろそろ陰りが見え始めた頃。任天堂よりスーパーファミコンにて発売された、アクション要素を含むRPGです。
ストーリーはいつものようにクッパにさらわれたピーチ姫といつものようにそれを助けにクッパ城に向かったマリオ。いつものように対決を始めたマリオとクッパだったが、その時空から降ってきた巨大な剣がクッパ城を貫きその衝撃でマリオ達は全員吹き飛ばされてしまう。それはいつもの冒険とは違う、異世界からの侵略者達との戦いの幕開けだった……というもの。このように今回の敵はクッパ軍団ではなく異世界からやってきた侵略者、カジオー軍団となります。
シリーズお馴染みのキャラであるピーチ姫やクッパが仲間に加わるのも本作の特徴。特にシリーズを通じての悪役というイメージが強かったクッパが仲間になるというのは、当時のユーザーをとても驚かせる出来事でした。
パーティーメンバーとなるのはマリオ、ピーチ姫、クッパに本作オリジナルキャラクター二人を含めた計五人。このうち固定キャラであるマリオ以外の二人を残り四人のメンバーの中から選んで、戦闘を行う事になります。
スーパーファミコンであるにも関わらず厚みを持った立体キャラ達も、生き生きと動き回っては物語を彩ってくれます。この辺りの映像表現の見事さは、流石のスクウェアと言わざるを得ません。
本作の移動はまず各エリアを繋ぐフィールドマップがあり、その上を移動し入りたいエリアを選ぶとエリア内の移動に切り替わる仕組みになっています。エリア内ではまるでアクションゲームのようにマリオを動かし、先に進んでいく事になります。
擬似3D空間に作られた各エリアには様々な仕掛けがあり、それを利用しないと辿り着けない通常のRPGの宝箱相当であるハテナブロックもあります。中には通常では目に見えない隠されたハテナブロックもあり、探索欲を大いに沸かせてくれます。
町以外のエリアには様々な敵シンボルがうろついており、これに触れる事で戦闘が開始します。この辺初見の方がよく勘違いするのですが、例えクリボーに上からぶつかっても踏みつけられず戦闘に突入するだけなのでご注意下さい。
戦闘に突入すると、素早さの高い順から行動を行っていく事になります。大概はマリオ達が先手を取れますが、たまに敵の方が素早い場合もあるので油断は禁物です。
マリオ達の順番になったら、どの行動を取るか決めます。取れる行動はボタンで分かれており通常攻撃ならAボタン、スペシャル攻撃ならYボタン、アイテムを使用するならXボタンをそれぞれ押して選択していく事となります。
本作の戦闘は一風変わっており、攻撃モーションの最中にタイミング良くボタンを押す事で敵に与えるダメージを増やす事が出来ます。同様に攻撃後に星が出る攻撃に限っては敵のモーション中にボタンを押す事でダメージを減らしたり、即死攻撃だった場合は無効化したりする事が出来たりします。
他にもスペシャル攻撃の場合はボタンを連打、ボタンを押しっ放しにしてゲージが溜まったら離す、十字キーをガチャガチャしまくるなどでダメージが増えるものもあり、幅が広いです。能動的にアクションに関わる事で、ともすれば作業になりがちな戦闘に集中していられるというのも大きいと思います。
但し一つだけ注意しなければならないのは、スペシャル攻撃を使う際に使用するフラワーポイント、略してFPは全キャラで共通という事です。他のキャラで攻撃用のスペシャル攻撃を使いすぎ、回復用のスペシャル攻撃を使いたいのにFPが残っていない……と言った事態に陥る事も有り得るので、スペシャル攻撃のご利用はくれぐれも計画的に。
敵を倒し、経験値を積んでレベルアップすると基本の上昇幅とは別にどのステータスを追加で増やすか選ぶ事が出来ます。追加で増やせるステータスはHP、攻撃力、スペシャル攻撃の威力の三つのうちどれかで、得意分野を増やして一点特化するもよし、苦手分野を増やして隙のないステータスにするも良しとなっています。
またレベルによって他の二つより多めに増やす事が出来るステータスというのがあらかじめ決まっており、それを狙って伸ばしていくのも一つの手です。どう育てたいかよく考え、是非あなただけのマリオを作り上げて下さい。
今回の敵となるカジオー軍団は、全員武器をモチーフとした名前と見た目をしています。剣に跨がったケンゾール、体を使って矢を飛ばすユミンパ、斧を武器にした五人組オノレンジャーと幹部はどれも個性的で、手強いボスとしてマリオ達の前に立ちはだかります。
カジオー軍団以外にも一度会ったら忘れられないブッキータワーに住む変人ブッキー、雲の上のマシュマロ王国を乗っ取ろうと企む悪女マルガリータとその部下であるドドなど様々な敵がマリオの行く手を阻みます。マリオは強敵達を退けて、無事に世界に平和を取り戻せるのでしょうか?
さてここまでは真面目な解説をしてきましたが、本作を本作たらしめる一番の要素と言えばやはり仲間の一人であるマロが使うスペシャル技『なにかんがえてるの』でしょう。このスペシャル攻撃には敵の残りHPを知る事が出来るという効果があるのですが、この時タイミングよくボタンを押すとその敵が今何を考えているか解るというオマケ効果がついているのです。
考えを見れる相手は、それこそその辺の雑魚からラスボスに至るまで様々です。基本的には攻略にはあまり関係ない場合が多いですが、中にはジョークの効いたテキストもあるのでその全てを見てみるのもまた一興かと思われます。
ちなみに筆者はこれの為だけに、長い間マロをスタメンに入れていました。流石に最後の方は貧弱な回復力が深刻になってきて、ピーチ姫に交代となりましたが。
「スーパーマリオ」シリーズ初のRPGは、シリーズのアクション性を生かしつつRPGの要素も盛り込むといういいとこ取りのゲームとなりました。本作に関わったスタッフ達は後にスクウェアを離れて独立し、「マリオ&ルイージRPG」シリーズを手掛けていく事になります。
とりあえず、今回はこれにて。




