第四十七夜 ピクロス2
一つ、ゲームの話でもしようか。
アナログパズルであるお絵描きロジックをデジタルゲームで再現した「マリオのピクロス」が好評を得、手応えを掴んだ任天堂は更にこのシリーズを展開していきました。まず始めに出した続編が、スーパーファミコンソフト「マリオのスーパーピクロス」です。
画面の広いテレビでのプレイだから出来た、従来の真四角にこだわらない変則的なパズルフィールドやパズルを解くと絵がカラーになり動き出すなどのスペック向上により生まれた新たな仕掛けは前作同様好評を博しました。また前作のタイムトライアルは登場キャラに新たにワリオを加え、『ワリオのピクロス』モードとして独立させる事でより多くのパズルがタイムトライアル形式で遊べるようになり、広くなったパズルフィールドも相まって難易度的にも手強くなりました。
そして更に時は過ぎ、「ピクロス」シリーズは再びゲームボーイへと戻って来ます。それが今回ご紹介する「ピクロス2」です。
本作はゲームボーイが暗黒期から抜け出そうとしていた「ポケットモンスター」発売と同じ年、任天堂よりゲームボーイにて発売された一人用専用パズルゲームです。基本のシステムはシリーズ一貫して統一されている為、システムに関する説明は前回を参照の事とさせて頂きます。
本作の特徴と言えば、何と言ってもゲームボーイでありながらスーパーファミコンで出た前作に負けないほどの広大なパズルフィールドを有している点です。とは言っても実際に画面に出てくるのは、初代同様15×15のフィールドに過ぎません。
ではどういう事なのかと言うと、15×15のフィールドを真四角になるように四つくっつける事によって擬似的に30×30のフィールドを作り出しているのです。簡単に言えば、パズルを四つ解く事で大きな一枚絵が現れるという寸法です。
一つのパズルで全体像が現れないという都合上、従来と比べて難易度は格段に上がっています。幸い四つのパズルはいつでも好きな時に切り替える事が出来、全体図も常に確認出来るのでまずはそれぞれの解りやすい部分から塗り潰して、それから完成図を推理すると良いと思われます。
四つのパズルで一つの問題扱いですから、当然持ち時間も共通しています。持ち時間はマリオのピクロスモードが120分、今回も続投のワリオのピクロスモードにも持ち時間がついて90分となっています。
マリオのピクロスモードにおける間違ったマスを塗り潰した事によるペナルティも四つのパズル全てで共用しており、パズル移動を行ってもその問題の間はリセットされないので油断しているとあっという間に持ち時間がなくなって挑戦失敗となってしまいます。30×30のマスをもう一度最初から塗り直すのも結構な手間なのですが、後述のある仕様によりこのただでさえ重いペナルティが結構な問題になっていたりするのです。
さて、ただ用意された問題を選ぶだけだった前作までと比べ、本作ではマリオやワリオを操りそれぞれ十からなるステージの中に散りばめられた問題のオブジェを調べて挑む方式となっています。このオブジェは一枚絵を完成させると常にそれを表示するようになり、視覚的にも自分がどんな問題を解いたかを確認しやすくなっています。
一つのステージの中には最初八個のオブジェがあり、その全てを解くと最終問題である九個目のオブジェが出現するようになっています。それだけではなくそのステージの挑戦を一度も失敗する事なく、九個全ての一枚絵を完成させるとシークレットとして十個目のオブジェまで出現するのです。
勘のいい方は、この時点で気が付いたと思います。そう、本作で全ての問題を遊び尽くすには、ただの一度も挑戦を失敗してはいけないのです。
90分の持ち時間があり、それを使い尽くすかギブアップをしない限り挑戦失敗となる事のないワリオのピクロスモードはまだ問題ない方です。しかし、塗り潰すマスを間違える度に持ち時間がガンガン減っていくマリオのピクロスモードは……。
この仕様が搭載された結果、本来初心者向けである筈のマリオのピクロスモードの方が上級者向けのワリオのピクロスモードより難しいという逆転現象が起こってしまったのです。一度でも挑戦に失敗してしまえばそのプレイデータでは二度とそのステージのシークレットは出現しなくなる為、場合によってはもう一度最初からやり直さなければならない事態に……。
幸いにも挑戦の途中でリセットした場合、その挑戦はノーカウントとなります。少し狡いですがこの仕様を利用しないとマリオのピクロスモードでシークレットを出し続ける事は難しい為、本作の問題を全制覇したい!という方は持ち時間がやばくなったら遠慮なくリセットしてしまいましょう。
なお、ワリオのピクロスモードがプレイ可能となるのはマリオのピクロスモードのステージ1をクリアした後。マリオのピクロスモードが初心者向けという位置付けである以上間違ってはいないのですが、何か理不尽な気もします。
前々作、前作にも負けないボリュームを誇りながら、出た時期が時期だったせいかあまり知名度が高いとは言えない本作。余暇を何かに没頭してみたい、そんな方は本作を探してみるのもいいのではないかと思います。
とりあえず、今回はこれにて。