第三十八夜 スーパーマリオブラザーズ3
一つ、ゲームの話でもしようか。
前回、「スーパーマリオブラザーズ2」の紹介にてディスクシステム特集は終わりを迎えました。しかし筆者思いました。折角マリオで終わったのだから、どうせならこのままマリオ特集と雪崩れ込むのはどうだろう、と。
思い立ったら即実行が筆者の持ち味。そんな訳で今回からは、『筆者のやった事のあるマリオゲーム特集』をお送りします。存在が当たり前すぎて意外と語られる事は多くないマリオゲームの世界、存分にお楽しみ下さい。
今回お届けするのは、従来のマリオの操作性を向上させ現在のマリオのアクション構築における礎となった記念碑的作品。「スーパーマリオブラザーズ3」です。
本作は、説明するまでもないかもしれませんがファミコン全盛期に任天堂より発売された横スクロールアクションゲームです。プレイヤーは1P側がマリオ、2P側がルイージを操り、全八つで構成されたワールドを攻略していく事になります。
ストーリーはマリオに敗れ、一旦はキノコ王国から手を引いた大魔王クッパだったが今度は自分の七人の子供、コクッパ達を引き連れ別の王国の侵略を開始。各国の王達は力の源である魔法の杖を奪われ、コクッパ達によって様々な姿に変えられてしまった。マリオとルイージはクッパに侵略された国々を救う為、キノコ王国を離れて旅立った……というもの。
冒頭でクッパにさらわれるもの、というイメージの強いピーチ姫ですが、今回はキノコ王国から手紙を送る事でマリオ達をサポートしてくれます。また、近年ではクッパJr.がクッパの唯一の息子でコクッパ達は部下という扱いですが初登場となる本作においてはこのストーリー通りコクッパ達はクッパの子供となっており、一体コクッパ達に何があったのかと考えさせられるところです。
前作においてはワープゾーンを除いて全て地続きになっていた各ステージでしたが、本作ではまずフィールドマップから始まり、そこから攻略するステージを任意で選んでいく仕組みになっております。ステージには必ず攻略しないと先に進めないものから分岐しているうちのどちらかだけクリアすれば先に進めるもの、フィールドマップを常に移動して接触した途端にステージに入るものまであり、どのステージをクリアしどのステージを避けていくか、などの効率のいい進め方が求められます。勿論、ワールドにある全てのステージを敢えてクリアしていくジェノサイド展開も可能です。
各ステージは一番奥にある、ルーレット方式で絵柄が変わるクリアカードを手に入れる事でクリアとなります。クリアカードの絵柄は三種類あり、どの組み合わせで三枚揃えるかでカードを揃えた事による残機ボーナスの数が変わるようになっています。
フィールドマップにはステージだけでなく、お助けマスも存在します。タイミングよくボタンを押し、揃った絵柄によって残機が増える絵合わせにフィールドマップで使用する事で事前にパワーアップした状態でステージに挑めるマップアイテムが貰えるキノピオの家、またそれぞれに設定された条件を満たす事で現れる、二回ミスするまでアイテムが取り放題になる神経衰弱や普通のキノピオの家では手に入らないマップアイテムが手に入る隠しキノピオの家などがあり、マリオ達の長い旅路を手助けしてくれます。
ワールド奥にある城から飛行船に侵入し、最奥に待ち構えているコクッパを倒す事でそのワールドはクリアとなります。飛行船でミスしてしまった場合、飛行船は城から離れフィールドマップを逃げ回るようになるのでなるべく一回でクリアしてしまいたいものです。
フィールドマップからステージに入ると、いよいよ本格的にマリオ達を操る事になります。マリオ達の操作はAボタンがジャンプ、Bボタンが攻撃とダッシュという基本中の基本は変わらないものの、それに付随するアクションが増えています。
まず、今までノコノコの甲羅と言えばただ蹴る事が出来るだけでしたが、本作ではBボタンを押しっぱなしで触れる事により甲羅を持ち運ぶ事が可能になりました。同様の操作で持ち運びが出来る白いブロックも登場し、本作の攻略における重要な要素の一つになっています。
そして本作一番の目玉。Bダッシュで空を飛ぶ事が出来るようになりました。と言っても通常のマリオでは空は飛べず、空を飛ぶには本作の新アイテム、スーパー木の葉でしっぽマリオに変身するか、その上位互換に当たるレアアイテム、タヌキスーツでたぬきマリオに変身する必要があります。
空を飛ぶ為にはまず、Bダッシュで画面下にあるPゲージというものを溜めます。このPゲージが一杯の時にAボタンを連打すると、一定時間空が飛べるようになるという訳です。
この空を飛ぶというアクションが攻略上どうしても必要になる場面もあり、重要度は極めて高いです。それでなくても空を飛ぶというのは快適なものなので、ついつい用もないのに空を飛んだりしてしまう訳ですが。
また細かい部分ですが、坂道でしゃがむ事により坂道を滑る事が出来るようになったのも見逃せません。坂道を滑っている間は敵をなぎ倒していけるので、かなりの爽快感を得る事が出来ます。また滑っている最中にジャンプすると、Bダッシュ中と同じく飛距離が伸びるのもちょっとしたポイントだったりします。
マリオ達が出来る事も増えましたが、敵もそれに負けないくらい大幅に増えました。お馴染みのクリボーやノコノコ、ハンマーブロス達は勿論続投で、他にも本作以降顔馴染みとなっていくマリオ達が背中を向けている時だけ追いかけてくるテレサにマリオ達が近付くと猛スピードで上から落ちてくるドッスン、決まった距離しか動けない代わりにスーパースターで無敵にならないと倒せないワンワンまでその種類は実に多彩。マリオ達の行く手を阻もうと、次々と襲い掛かってきます。
ボスとなるコクッパ達も曲者揃いです。魔法の杖による遠隔攻撃やダメージを受けた際の体当たり、中には地面を揺らしてマリオ達の動きを止めたり、ダメージを与える毎に画面上に壁や地面に当たると跳ね返る、破壊不可能な弾を出してきたりとどれも簡単には倒されてはくれません。
コクッパ達を退け、本拠地であるワールド8で戦う事になるクッパもやはり一筋縄ではいかず……。と、この先はご自身の目でお確かめ下さい。
さて本作は一人プレイと二人プレイが選択出来る訳ですが、このうち二人プレイの操作が少々特殊なものとなります。まずマリオとルイージを交互に進めていくのは変わらないのですが、クリアしたステージやお助けマスは全て個別管理される事となります。
これにより、プレイヤーのうち片方だけがゲームオーバーになってしまった場合、ゲームオーバーになったプレイヤーのクリアしたステージやお助けマスだけが復活するという形になるのです。もし、よりステージをクリアしたプレイヤーがゲームオーバーを迎えてしまった場合は目も当てられません。ちなみに一人プレイでゲームオーバーになった場合はクリアしたステージが全復活となるので、それよりはマシかもしれませんが。
そして、もしマリオとルイージが重なっている時にどちらかのプレイヤーがAボタンを押すと……プレイ権をかけて、懐かしの「マリオブラザーズ」が始まるのです。この「マリオブラザーズ」では相手が死ぬか、自分が相手より多くノルマをクリアすれば勝ちとなり、勝った方が次のプレイ権を得る事が出来るようになります。
また相手を直接攻撃する事でクリアカードを奪う事も出来、一緒に遊ぶ相手次第ではまさに血で血を洗う死闘が繰り広げられる事となります。流石、古くから友情破壊ゲームを幾つも生み出してきた任天堂と思わざるを得ません。
かように色々な楽しみ方が出来る本作ではありますが、唯一にして最大の欠点として長丁場ゲームであるにもかかわらずセーブ機能がない事が挙げられます。この事は当時の説明書にも、お詫びのような形で記載されています。
その代わりとして本作においても、先のワールドにワープ出来る笛というマップアイテムが隠しアイテムとして存在します。入手には少々頭を使う必要がありますが、苦労に見合う価値は間違いなくあるアイテムだと言えます。
但し途中で手に入るかもしれないマップアイテムをもすっ飛ばして先に進む事になる為、普通に進むよりも自然と難易度は上がる事でしょう。自分が連続でゲームで遊べる時間と秤にかけて、よく考えてからご利用下さい。
その出来映えはまさに、ファミコンで作れる「スーパーマリオ」シリーズの集大成とも言えた本作。本作以後、「スーパーマリオ」シリーズのプラットホームは本作の後に発売されたスーパーファミコンへと移っていく事となります。
とりあえず、今回はこれにて。