第三十七夜 スーパーマリオブラザーズ2
一つ、ゲームの話でもしようか。
さて長らく続いたディスクシステム特集も、今回で最終回となります。最終回と言ってもこのエッセイ自体はまだまだだらだらと続いていきますので、皆様もう暫くの間お付き合い下さいませ。
ディスクシステム特集最終回を飾りますのは、やはり国民的人気を誇るこのシリーズ。「スーパーマリオ」シリーズより、「スーパーマリオブラザーズ2」をお届けしたいと思います。
それでは、皆様、今回で最後となるディスクシステムの世界をお楽しみ下さいませ。
本作は、ディスクシステムが出てすぐの頃に任天堂から発売された横スクロールアクションゲームです。基本的な操作は前作である「スーパーマリオブラザーズ」に準じ、前作をプレイ済みであれば問題なく本作も遊ぶ事が出来ます。
ナンバリング的には前作の続編という形になっている本作ですが実態はファンディスクに近く、明確なストーリーらしきストーリーはありません。敢えてストーリーを付けるなら、前作と同一というところでしょうか。
ステージ数も、前作と同じく一ステージ四面構成の全八ステージとなっております。……表向きは。何故表向きなのかは、後に説明します。
操作性においては前作と全く変わりない本作。しかしその難易度の方はと言えば、前作と比べ大きく跳ね上がっているのが特徴です。
最初の面のスーパーキノコを取るのすら早速一工夫が必要などというのは序の口。前作で登場したテクニックと本作初登場のテクニック、それらを駆使しないと一面を越える事すら難しいでしょう。
特に厄介なのが、本作にて初登場となるマイナスアイテムの毒キノコです。これは通常のスーパーキノコとは対になるアイテムで、パワーアップ状態で取るとパワーアップが解け通常状態に、通常状態で取るとミスとなってしまうという代物です。
これがハテナブロックや隠しブロックを叩く度、ぽこぽこ出てくるのだからたまりません。幸い地上面でなら色が違うので気を付けて操作すれば取る事はありませんが、地下面では全てのキノコが同じ色になってしまう為事故率は圧倒的に増えます。ただ、例えマリオがパワーアップしていても毒キノコはキノコの形で出るので、地下面に行く前に最低でもスーパーキノコは取っておく事をお勧めします。
敵の種類が増えていない代わりに敵の出る場所が増えているのも特徴で、前作では水中面には出なかったノコノコが水中面に、前作では地上面には出なかったゲッソーが地上面にそれぞれ出現するようになりました。水中面のノコノコは踏んで倒せない、逆に地上面のゲッソーは踏んで倒せるなどの違いもあり、出る場所が違うだけでそれぞれ全く違う対処を求められる事になります。
別の面へ行けるワープゾーンも、圧倒的に増えました。しかし本作のワープゾーンは必ず先の面に行けるとは限らず、寧ろ前の面に戻ってしまう逆ワープゾーンが殆どを占めるという有り様です。
これらワープゾーンがただ隠されているだけならいいのですが、たまたま途中にあった土管に入ったら先にあったのが逆ワープゾーンだった……という事が後半では当たり前になってきて、どのルートがゴールに通じる正解かを考える必要も出てきます。これら逆ワープゾーンの大半にはご丁寧に『ワープしたくないから手っ取り早くミスしてそのステージをやり直す為の自殺用の穴』まで用意されておりまして、正しいルートを見つけられるものなら見つけてみろという開発者の挑戦的な姿勢が見て取れます。
勿論ただ厳しくなったばかりではなく、本作では至る所で無限増殖が可能になっています。多少腕は必要になりますが、早ければ一面のスーパーキノコのある場所でもう行う事が出来ます。
逆に言えば無限増殖で残機をしこたま増やしている事前提の難易度という訳で、自重しない逆ワープゾーンの数々もそれを裏付けていると言えます。まさに死んで覚えろを地でいっています。
そんな難関なステージ群に、プレイヤーはマリオとルイージの二人のうちどちらを操作するか決めてから挑む事になります。これにより2Pプレイは撤廃され、本作は「スーパーマリオ」シリーズの中で初めてルイージが1P側でプレイ出来るソフトとなったのです。
マリオは前作と全く同じ性能ですが、ルイージの方はマリオより高くジャンプ出来る代わりに滑りやすいというピーキーな性能となっています。慣れればジャンプ力の高いルイージの方が有利に進める場合が多い事もあり、上級者ほどルイージを好んで使う傾向があるようです。
ディスクシステムと言えばセーブ機能ですが、本作にもセーブ機能は搭載されています。ただし現在のプレイ状況をセーブするのではなく、ゲームクリアの通算回数を記録する仕組みとなっている為結局は一度に最後までクリアしなければなりません。
そして規定回数ゲームをクリアする事で、全四ステージで構成されたエクストラステージが解放されるのです。エクストラステージは通常の面よりも更に難しく、クリアが困難になっています。
その他にも、ワープを一度も使う事なく(逆ワープも対象)全ステージを制覇すると……? ここから先は、ご自身の目でお確かめ下さい。
総じて、前作をクリアしたプレイヤーへの挑戦状的意味合いの強い本作。しかし実は本作が発売されたのは日本のみで、海外プレイヤーは長らく本作を遊ぶ事が叶いませんでした。
というのも、海外ではディスクシステムが発売されていなかったからです。後にカセットで発売されたソフトも幾つかありますが、ディスクシステムの特別な処理を必要とする本作が同じようにカセットで出る事はありませんでした。
代わりに海外における「スーパーマリオブラザーズ2」として発売されたのが、日本で「スーパーマリオUSA」の名で発売されたソフトです。この辺の詳しい話は、当該作品をテーマにした回でまたするとしましょう。
そんなこんなで、今なおシリーズ最難の候補に挙げられる事もある本作。まだ時代がゲームというものに試行錯誤していたからこそ、生まれたソフトであるのかもしれません。
とりあえず、今回はこれにて。