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第三十六回 ふぁみこんむかし話 遊遊記

一つ、ゲームの話でもしようか。



発売後ヒットを飛ばし、当然のように続編が望まれた「ふぁみこんむかし話」シリーズでしたが同じくヒット作となった「ファミコン探偵倶楽部」シリーズがすぐに続編を出したのに比べると、本シリーズの続編が出るまでの期間は「ファミコン探偵倶楽部」シリーズのそれより長いものとなってしまいました。その僅かな間にディスクシステムの時代は急速に斜陽を迎え、市場の衰退も著しいものとなっていきます。

今回のテーマである「ふぁみこんむかし話 遊遊記」が出たのは、ディスクシステムで出るソフトも大分数を減らしたそんな時でした。あらゆる面で前作の正当進化と言えた本作でしたが、時代の流れには勝てず、結局は知る人ぞ知るマイナーなソフトという位置付けに留まる事となってしまいます。

今回は、そんな本作の隠れた魅力を皆様にお伝え出来ればいいなと筆者、思っております。それでは本題にいってみましょう。


本作は前作「ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島」と同じく任天堂から発売された、コマンド選択式の前後編二部作で構成されたアドベンチャーゲームです。前作が桃太郎を中心とした日本のおとぎ話をモチーフにしたストーリーであったのに対し、本作は中国の西遊記をベースに世界中を股にかけた大冒険を繰り広げるストーリーとなっております。

中国のとある村で一人暮らしをしていた女の子、ちゃおはある日、村の外れに落ちてきた隕石の中から生まれた猿、ごくう(両者共に名前は変更化)を拾い、一緒に暮らす事になります。穏やかに暮らしていた二人でしたが、実はごくうはお釈迦様に逆らって天界から追放された大罪人だったのです。天界からの追っ手により、村から遠く離れた砂漠にある五行山に封じられる事となったごくう。ちゃおはお釈迦様の導きによりごくうのひねくれた性格を直す事の出来るという『光の小槌』を探す旅に出る事になりますが、一方その頃、天竺目指して旅をする僧、さんぞうが記憶の戻ったごくうを封印から解き放ってしまい……?とあらすじはこうなっており、プレイヤーがメインで操るのはごくうの方となります。

『ひとかえる』コマンドによるザッピングシステムは本作でも健在で、今回はごくうとちゃおの他、総勢六人のキャラの視点を操る事となります。中には意外な人物を操るシーンも……?

本作で操る事になるキャラクターはどれも個性的。僧侶の癖に煩悩まみれで楽をする事が大好き、ちょっぴり気弱なさんぞう。さんぞう以上の煩悩の塊でお金と女の子に目がない、関西弁を操るずる賢い豚の妖怪はっかい。素朴な性格で若干影が薄いものの、人の心が読める術を持つ河童の妖怪ごじょう。彼らと時に行動を共にし、時に敵対する事もありながらもごくうの旅は続いていきます。


バッドエンドルートが存在する作りは相変わらずですが本作ではバッドエンドの数が前作と比べると大分抑えられており、またバッドエンドに入る条件も解りやすいものばかりとなっています。そういう意味では、前作より難易度が下がったと言ってもいいでしょう。

しかし本作では途中で文字入力を求められるシーンがあり、そこは前作より難易度が上がった部分です。これら文字入力は正確な正解が事前に知らされない場合が殆どですが、自分の思う感情のままに言葉を入力すればきっと道は開けると思います。重要なのは、ごくうの気持ちになって考える事、と言っておきましょう。


さて本作、前作「新・鬼ヶ島」が様々な形で別機種に移植されているのに対し今日まで別機種に移植された事は一度もありません。一説には作中で歌われている実際にある歌が問題になっているのではないかと言われていますが、真相は闇の中です。

かと言って任天堂にとって黒歴史なのかと言うとそうでもなく、「星のカービィ」シリーズにごくうとちゃおが共に客演を果たしていたりします。我々には計り知れない、何か移植の出来ない深い理由があるのかもしれません。


前作に負けないクオリティを誇りながらも、時代が悪く、マイナーなソフトとして終わってしまった本作。しかし旅を通じて描かれるごくうの成長とちゃおとの関係は、本作を遊んだ筆者をとても夢中にさせてくれたものでした。

願わくば、いつの日にか移植がなされ、もっと多くの方々が本作を遊ぶ機会を得られるようになります事を。



とりあえず、今回はこれにて。

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