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第三十五夜 ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島

一つ、ゲームの話でもしようか。



前回までは、任天堂よりディスクシステムにて発売されたアドベンチャーゲーム「ファミコン探偵倶楽部」シリーズの話をさせて頂きました。しかし、この「ファミコン探偵倶楽部」シリーズと同時期に開発されたもう一つの任天堂のディスクシステムアドベンチャーゲームシリーズの話を、皆様は覚えておいででしょうか?

その名は「ふぁみこんむかし話」シリーズ。あの世界的に有名な国民的ゲームキャラ、マリオの産みの親、宮本茂氏によって手掛けられたシリーズです。

この両シリーズは同じ任天堂で作られたにもかかわらず、開発チームの違いもあり、全く趣の違うゲームに仕上がっています。今回は両シリーズの違いに触れつつ、作品をご紹介していきたいと思います。

そんな訳で今回のテーマは、「ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島」です。


本作は「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者」とほぼ同時期、ディスクシステム最盛期の頃に発売されました。構造は「ファミコン探偵倶楽部」シリーズと同じく前後編の二部構成、前編発売から後編発売までの間にかかった期間も同じく約二ヶ月となっております。

ストーリーは現代を舞台にした「ファミコン探偵倶楽部」シリーズとはうってかわって、昔話の時代の日本が舞台となっています。川上から流れてきたカップ麺の中から産まれてきた男の子、どんべと光る竹の中から産まれてきた女の子、ひかり(どちらも名前変更可)。二人はおじいさんとおばあさんと共に長櫛ながくし村で暮らしていましたが、二人が七歳の誕生日を迎えたある日の夜、村を鬼の軍団が襲いおじいさんとおばあさんは鬼に魂を吸い取られてしまいます。鬼の襲撃の際、偶然家にいなかった事からからくも難を逃れた二人は、おじいさんとおばあさんの魂を鬼達から取り戻す為に長櫛村より遥か西、鬼達を統べる邪悪な龍がいるという鬼ヶ島を目指して旅をする事になります……というあらすじになっております。

以上のあらすじとタイトルにもあるように、本作は桃太郎の物語をベースにしつつ様々な昔話をミックスさせた世界観が特徴です。この世界観を意識してか、本作の文章はアドベンチャーゲームのみならずゲーム全体の中でも珍しい縦書きで統一されており、またカタカナ言葉も全てひらがなでの表記となっています。


システムはやはり「ファミコン探偵倶楽部」シリーズと同じくオーソドックスなコマンド選択式ではありますが、よく見ると、『ひとかえる』という見慣れないコマンドが存在しています。本作には簡単なザッピングシステムが搭載されており、この『ひとかえる』コマンドでどんべ視点とひかり視点を交互に切り替える事が出来るのです。

どんべ視点とひかり視点では同じコマンドでも反応が異なる場合が多く、この二つの視点を上手く使い分ける事が本作の攻略の鍵となります。とは言えシーンによっては操作出来るのがどんべのみになる場合もある為、全ての攻略にザッピングが関わる訳ではありませんが。

またバッドエンドがなく完全な一本道だった「ファミコン探偵倶楽部」シリーズと異なり、本作には幾つものバッドエンドルートが存在します。バッドエンドとなる選択肢にはいかにもな解りやすいものから何度も何度も同じ選択を繰り返さなければならないという手の込んだものまであり、どうすればバッドエンドになるのか見つけるという本筋からはちょっと外れた遊び方も可能となっています。

これらのシステムの違いからも解るように、本作はそのほのぼのとした雰囲気に反して「ファミコン探偵倶楽部」シリーズと比べると大分難易度が高くなっています。これは「ファミコン探偵倶楽部」シリーズが読み物としての完成度を高めたのとは対照的にあくまでもゲームとしての完成度を高めた結果であり、それが両シリーズの大きな差別点となっているのです。

無論、本作が読み物としての部分に力を入れていないかと言えばそうではなく、要所要所に山場を挟む少年漫画的展開はプレイヤーの心をワクワクさせてくれるものであります。どちらのストーリーがより優れているかは個人の好みになるので何とも言えませんが、筆者個人としては本作のストーリーの方がより好みかなあ、と思います。


そのシステムの完成度と独特な雰囲気から「ファミコン探偵倶楽部」シリーズとはまた違う形で好意的に迎えられ、多くの人々の支持を得た本作。しかし、本シリーズの続編が出るには「ファミコン探偵倶楽部」シリーズよりも少々長い期間を必要とする事となります。



とりあえず、今回はこれにて。

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