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番外編 ディスクシステム

一つ、ゲームの話でもしようか。



人気を博し、売り上げも次第に伸びてきたファミコン。その一方で、ファミコンを開発した任天堂はある二つの問題に直面していました。

一つは、ソフトの高騰。複雑な動きが可能なゲームが増えるにつれその開発費もうなぎ登りになり、ソフトの価格を吊り上げなければ採算が取れなくなってきたのです。

もう一つは、容量の限界。当時のファミコンの容量はとても少なく、次々と進化を遂げるゲームの内容についていけなくなるのでは?という懸念の声が上がっていました。

任天堂は、この二つの問題を同時に解決する為にファミコンの周辺機器を開発します。それが今回のテーマ、「ディスクシステム」です。


ディスクシステムは、1986年に産声を上げたファミコンの周辺機器です。遊ぶにはファミコンのコンセントとは別にあるディスクシステムのコンセントを一緒に繋ぎ、ファミコンのソフトを入れる部分に専用のプラグをセットする。これで準備は万端です。

ソフトはDVDの普及した今となっては懐かしいフロッピーディスク形式になっており、更にゲーム屋の店頭にディスクの中味を破格の値段で書き換え出来るサービスを設置する事でソフトの大幅なコストダウンが図られています。また、フロッピーディスク形式という事で当時のファミコンソフトでは出来なかったセーブを可能にし、増えた容量も相まって長時間遊べるゲームを作る役にも立っています。

ファミコンの次なる一手としてディスクシステムに力を注いでいた当時の任天堂は、ファミコンとの違いを見せつけるような大作ゲームを次々と世に送り出していきました。今では有名な「ゼルダの伝説」「メトロイド」が出たのも、ディスクシステムが最初です。他にもファミコンの人気ソフトを、ディスクシステムに移植する試みなども行われていました。


では、ディスクシステムはファミコンの次世代を担う存在となり得たのか? ……そうではない事は、このエッセイを読んでいる皆様が一番よくご存知かと思われます。

そう、結局ディスクシステムが世に広く普及する事はありませんでした。いくらソフトが安価だと言っても、ディスクシステム本体の値段はファミコン本体に並ぶほどのとても高価なものです。そう易々と手が出るものではありません。

フロッピーディスクや本体の脆さも、それに拍車をかけます。フロッピーディスクは精密な部分が剥き出しになっているような代物で壊れやすく、物を壊しやすい子供のオモチャには不向きでした。また本体も中の部品が劣化しやすく、今でも動かせるものが数多く存在するファミコン本体と比べて現存するものできちんと動くものが果たして何台あるかという状態です。

それに加え、ファミコンの問題の一つであった容量問題が後に解消されてしまったのも大きな痛手です。各社にしてみれば普及台数の少ないディスクシステムでゲームを出すよりも多少高くついてもよく売れているファミコンでゲームを出す方が魅力的に映り、それによってディスクシステムで出るゲームもどんどん本数を減らしていく事になります。

結果、ファミコンの救世主として期待を受けて生まれてきたディスクシステムはひっそりと歴史の表舞台から姿を消していきました。ゲームソフトの主流がカセットからディスクに移るには、ディスクシステム誕生から約十年後、CDディスクをROMとしたセガサターンとプレイステーションの発売まで待つ事となります。


華々しいデビューを飾り、しかし、儚く散っていったディスクシステム。けれど前述した名作や、光るものがある良作も数多く出ていたのも事実です。

次回からは、そんなディスクシステムのソフト達との思い出を中心に語らせて頂こうかと思います。



とりあえず、今回はこれにて。

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