第二十三夜 不思議のダンジョン2 風来のシレン
一つ、ゲームの話でもしようか。
前回は日本におけるローグライクゲームの元祖、「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」についてお話をしました。ローグライクゲームというものを初心者向けに解りやすくし、取っ付きやすいようにドラクエのキャラクターを使って作られたこの作品は大ヒットを記録し、やがて続編が作られる事になりました。
今回はその続編となる作品、スーパーファミコンソフト「不思議のダンジョン2 風来のシレン」をご紹介しようと思います。前置きはここまでにして、早速本題に移るとしましょう。
前作にて、ローグライクゲームに心奪われた筆者。その続編決定と聞いて、放って置く訳がありません。
幸運にも発売日が丁度クリスマス近かった為、親を説得し無事クリスマスプレゼントとして本作をゲットする事が出来ました。これは余談ですが、この時同時購入した「ドラゴンクエスト6 幻の大地」と本作が筆者が親に買って貰った最後のゲームソフトとなります。
以降は全て中古で自腹購入。中学生になるんだから、後は自分でどうにかしろという事だったみたいです……。
早速話がずれたところで閑話休題。本作は前作と同じ旧エニックス、現スクウェアエニックスから発売され不思議のダンジョンの名も冠していますが、おおまかなシステム以外に前作との繋がりはありません。キャラクターは全て本作オリジナルのものに変わり、ストーリーも独立しています。
この本作独自の設定が人気を博す一方『ドラクエキャラはそのままで遊びたかった』と前作の設定を惜しむ声もあり、以降不思議のダンジョンシリーズはエニックス名義のものがトルネコシリーズ、開発元のチュンソフト名義のものがシレンシリーズと住み分けられて制作されていく事になります。それだけローグライクゲームというジャンルが人気があったという事ですね。
本作の主人公を務めるのは人の言葉を喋れる語りイタチのコッパを相棒とした三度傘がトレードマークの若き風来人、シレン。そのシレンが黄金郷と、そこに住むと言われる『黄金のコンドル』の伝説を求めて舞台であるこばみ谷に辿り着いたところから物語は始まります。
前作では拠点は村にあるトルネコの店だけでしたが、本作では拠点となる町が複数あります。死亡した場合のリスタート地点は最初に訪れる『渓谷の宿場』で固定されていますが、各拠点にはそれぞれ冒険の役に立つ施設やイベントが存在しておりシレンの長い冒険を手厚くサポートしてくれます。
代わりと言っては何ですが、本作には前作にあったリレミトの巻物のようなアイテムやギタン(本作の通貨)を持ったまま拠点に帰れるアイテムは一切存在しません。そこは自分の店を持つ商人のトルネコと、住処を持たない根無し草の風来人のシレンとの違いなのかもしれませんね。
設定も一新されたなら、登場するアイテムも一新されました。続投はごく一部のアイテムのみで、それも物によっては世界観に合わせて名前が変更されていたりします。
と言っても基本的には前作のアイテムをより使いやすくした効果の物が多く、前作をやっていればそれほど戸惑う事はなく慣れていけると思います。それで楽になっているのかと言えば、そうではないのが辛いところですが。
設定一新に際して新しく産み出されたモンスター達は、序盤から一癖も二癖もある奴らばかり。落ちているアイテムを片っ端から何の効果もない雑草に変えていく『畠荒らし』やこちらの2ターン経過につき一回だけ動く鈍足状態である代わりに射程距離も威力も半端ない大砲の弾をドッカンドッカンぶっ放してくる『オヤジ戦車』、シレンを催眠術で操りランダムにアイテムを一回使わせ1ターンを消費させてくる相手にすると言葉にするよりずっと厄介な『スーパーゲイズ』などなど、便利になったアイテム達を使ってもまだ足りないような強敵達が最初から最後まで次から次へと出てきます。
これら強敵達を途中にある拠点の施設を上手く活用しながら切り抜け、こばみ谷の奧にそびえる『テーブルマウンテン』を制覇する事が本作の目標となります。前作よりもモンスターが手強くなっている分、それを切り抜けて遂に『テーブルマウンテン』山頂へと辿り着いた時の感動は今でも忘れられません。
さて前回は文章量の都合上触れられなかったのですが、メインダンジョンを制覇しエンディングを見たからと言ってそれで終わりではないのがこの不思議のダンジョンシリーズです。実はエンディング後、更に難易度の上がった新ダンジョンが解放されるのが当シリーズのお約束であり、醍醐味でもあるのです。
本作のエンディング後開放ダンジョンは全部で三つ。まずシレンが拠点で起こしたイベントによって二つが解放され、その二つを更にクリア&特定の条件を満たす事で最後の一つが開放される仕組みとなっています。
最後のダンジョンに至っては何と、矢と食料以外のアイテムが草などの種類以外全部何の効果か解らないという鬼畜っぷり。幸いにして一度何の効果か解ったアイテムはその冒険中に限ってはその後も効果が判明した状態で出てきてくれるのですが、初っぱなから自分が不利になるアイテムなんて使ってしまった日には……。
最終ダンジョンは全部で地下99階まであります。果たして何人の風来人が、最下層まで辿り着く事が出来たのでしょうか? 最終的に途中でギブアップしてしまった筆者には、測り知る事が出来ません。
ローグライクゲームのブームも過ぎ、現在では他社シリーズを主軸にした番外編が細々作られるのみとなった不思議のダンジョンシリーズ。それでも時々遊びたくなるのは、何回遊んでも尽きる事のなかったあの頃のわくわくを心が求めているからなのかもしれません。
とりあえず、今回はこれにて。