第二百二十三夜 大合奏!バンドブラザーズDX
一つ、ゲームの話でもしようか。
音ゲーとは、その性質上基本は一人用のゲームです。二人対戦が出来る場合もありますが、独立したプレイを同時にするだけで互いに干渉し合う事はありません。
例外なのがコナミの「GITADORA」で、こちらはギターパートとドラムパートの二人セッションで音楽を演奏します。勿論一人プレイにも対応しており、幅広い遊び方が可能になっています。
しかし実はそれ以上の、大人数でのセッションが可能なゲームがある事を皆様ご存知でしょうか。それが任天堂が発売した「大合奏!バンドブラザーズ」シリーズです。
今回はそのシリーズ二作目となる、「大合奏!バンドブラザーズDX」をテーマにお送りしたいと思います。任天堂と音ゲー。その親和性とは一体?
本作はニンテンドーDS中期、任天堂よりニンテンドーDSにて発売された音楽ゲームです。演奏だけではなく、作曲にも対応しているのが他の音ゲーとの大きな違い。
ストーリーは特になく、プレイヤーは女性オーナーのバーバラ・バットが経営するという設定の楽器店『GBミュージック』で気ままに演奏や作曲などを行う事になります。プレイする上での目標なども特にないので、本当に遊び方は自由。
初めてゲームを開始すると、まずプレイヤー名と利き手、タッチペンを使ったサインをそれぞれ入力する事になります。利き手設定は任天堂のDSソフトではお馴染みですが、直筆サインは珍しいかも。
これらの情報は、『設定』メニューの『個人設定』でいつでも変更する事が出来ます。ちょっとサイン失敗したな……なんて時も安心。
本作のメインモードは大まかに分けて三つ。『演奏』『歌う』『作曲』となっております。
『演奏』は率直に言えば、音ゲーを遊ぶモード。このモードで出来る事は以下の通り。
『気ままに演奏』は一人用モード。ですがこの時点で普通の音ゲーとはちょっと違っています。
まず始めに、演奏そのものの難易度を選択します。難易度は簡単な方から『ビギナー』『アマ』『プロ』『マスター』となっており、難易度が高くなるほどプレイに使用するボタンが増えるなどの変化があります。
難易度を決めたら今度は遊ぶ曲と、その曲に使われているどの楽器を演奏するかを選びます。曲はLRボタンで切り替えられる他、メロディや曲名で検索する事も出来ます。
遊べる曲はソフトに最初から収録されている曲の他、『作曲』で作った曲やダウンロード楽曲も含みます。ダウンロード楽曲はともかく自作した曲で遊べる音ゲーというのは、今のところ公式のものでは本シリーズしか知りません。
そして選んだ楽器によって、同じ曲でも遊べる譜面は全く異なったものになります。この為本作で遊べる譜面は、デフォルトでも見た目の収録曲数より遥かに多いものとなっています。
プレイ方法について。バーとキーが重なった瞬間に対応ボタンを押す、という音ゲーの基本ルールは踏襲している本作ですが、その中で本作独自の味を出す工夫がなされています。
まず通常音ゲーのキーと言うと、重なった瞬間のみ短く押すものです。近年ではボタン長押しの操作がある音ゲーも増えてきましたが、それはあくまで操作の一つに過ぎません。
しかし本作では、全てのキーがボタン長押しです。本作の演奏評価は、どこまで正確なタイミングでボタンを長押し出来たかで判定されるのです。
実際やってみれば解りますが、これがなかなか難しい。まず押し始めるタイミングを掴むのが難しいし、離す時もなかなか長さがピッタリにならない。
更に難易度プロ以上だとバーも消える為、難易度アマ以下でボタンを押すタイミングをよく覚えておかないとボロボロの演奏になる事に……。この事から、本作の音ゲーとしての難易度はかなり高いです。
また演奏する楽器がギター系の場合は少し操作が変わり、ボタン長押しにタッチペンを使ったスライドも加わります。やり方は、キーに合わせて対応ボタンを押しながら下画面に表示されている弦をスライドで弾く、でOK。
幸いなのは練習が可能な点と、成績不良による途中終了、専門用語でいう『閉店』が存在しない事。どんな成績でも自主的にリタイアしない限りは最後まで演奏が続くので、幾らでも通しプレイをする事が出来ます。
演奏後はプレイの総合評価が100点満点で表示され、ハイスコアはそのまま記録されます。更に一部曲の全使用楽器を難易度マスターで90点以上にすると……?
なおその楽器でプレイするのが初めてだった場合は、バーバラからその楽器のうんちくを聞く事が出来ます。一度聞いたうんちくは、『演奏』メニューの『楽器辞典』でいつでも見る事が可能になります。
『集まって合奏』は多人数セッション用モードです。一人でも本作のソフトを持っていれば、ダウンロードプレイで八人まで参加可能になります。
まずはソフトを持っているプレイヤーの中から、リーダーを一人決めます。リーダーは持ち回り制で、一度演奏が終わると他のソフトを持っているプレイヤーの中からランダムで次のリーダーが決まります。
リーダー以外のソフトを持っているプレイヤー、またはソフトを持っていないプレイヤーはメンバーとして参加する事になります。メンバーは最大七人まで参加する事が出来、リーダーがメンバー募集を締め切ったところで難易度選択に移ります。
難易度は統一する必要はなく、一人一人好きな難易度を選べます。これにより初心者と上級者という組み合わせでも、問題なくセッションを楽しむ事が出来ます。
難易度を選択したら、曲と楽器パートの選択です。曲の決定権はリーダーにあり、リーダーが選んだ曲を送信すると全員で楽器パート選択となります。
パート選択は早い者勝ちで、他のプレイヤーが先に選んだパートを後から選ぶ事は出来ません。パートの数が参加人数より少ない場合は、余った参加者のパートは自動決定されます。
プレイ方法は基本的に一人用と変わりませんが、『メロディ』のパートを選んだプレイヤーだけ演奏での参加か歌での参加か選ぶ事が出来ます。但しソフトを持っていないプレイヤーは、自動的に演奏での参加になります。
演奏後は自分の評価点と参加者全員の平均点が表示され、それに応じてバーバラがバンド名を付けてくれます。その後リーダーが演奏を続けるかどうかを決め、続ける場合はリーダーを変更してまた難易度選択から開始する事になります。
『ムゲン合奏』も多人数セッション用モードですが、違いは参加人数が無制限だという点。但し『集まって合奏』と違って、参加者は必ずソフトを持っている必要があります。
後の設定は概ね『集まって合奏』と同じですが、こちらでは自分のパート以外のパートの音は自分のDSからは鳴らなくなります。まさに大合奏といった体ですが、問題はプレイの敷居が高すぎる事か。
『フリー演奏』は譜面なしで、自由きままに楽器を掻き鳴らす事が出来ます。演奏タイプはギター演奏、鍵盤演奏、ボタン演奏から選べますが、その性質上複数パートを同時に鳴らす事は出来ません。
友達数人集まって、パートを決めて好き勝手に鳴らせばいい感じ。いればですが。
後はWiiを利用した『Wiiで合奏』もありますが……対応するWiiウェアが必要な為、Wiiのインターネットサービスが終了した現在では新規に始める事は不可能。よって紹介は省かせて頂きます。
『歌う』はいわゆるカラオケモード。このモードで出来る事は以下の通り。
『歌声タイプ診断』は自分に合っているのはどんなジャンルの曲か、実際の歌声から判定してくれるというモード。ゲームにこういう機能が付いているというのも、そうそうない気がします。
診断をするには、まずソフトに保存されている歌詞付きの曲の中から一曲を選んでカラオケで歌います。ある程度まで歌って中断するか最後まで歌い切ると、終了後に診断結果が発表され歌った曲との相性も表示されます。
診断は行う度に結果が記録され、三回目以降は現在の総合的な歌声タイプが曲選択時に表示されるようになります。なかなか面白い機能には違いないのですが、一つ問題があるとしたら家の中で全力で歌うという羞恥プレイを要求される事か。『歌う』モード全般に言える事だけど。
『歌トレーニング』はそのまんまカラオケ。キーの上げ下げにも対応してます。
採点だけでなくビブラートやこぶしの有無など結構細かい部分まで判定してくれるので、近所迷惑にならない環境ならカラオケの練習にまさに最適。収録曲が全てフルバージョンでない事だけが欠点か。
『作曲』は本作で遊ぶ用の譜面を自作する事が出来るモード。このモードで出来る事は以下の通り。
『演奏そのまま』はお手軽に作曲したい人の為のモード。鼻歌や鍵盤でメインのメロディを入力するだけで、それっぽい曲が作れるというモードです。
まず鼻歌でメロディを入力するか鍵盤でメロディを入力するか好きな方を選び、選んだ方法で好きなメロディを作り上げます。入力が終わったら『ストップ』を選び、その後出てくるメニューの中から『伴奏自動生成』を選びます。
後はジャンルと曲調を選択すれば、それに合った伴奏の出来上がり。後は曲を保存すれば、あっという間に一曲完成です。
作った譜面は後述の『本格的作曲』と合わせて、100曲まで保存しておけます。かなり余裕があるので、割と気軽に作ってしまってもOK。
『本格的作曲』は自分で使用楽器などの細かい設定を行い、楽譜に直接音符を打ち込みます。ある程度音楽の心得がある人向けのモード。
細かい説明は専門用語だらけになる為省きますが、結構微細なところまで設定する事が出来ます。作曲する上で必要な基本的な機能は、大体そろっていると思っていい。
勿論新規作曲だけでなく、保存した譜面の手直しも可能。『そのまま作曲』で作った譜面も弄れるので、まずはこのアレンジから始めるのもいいかも。
『楽譜を交換する』は他プレイヤーの作った譜面を貰ったり、逆に自分の作った譜面をあげたり出来ます。受け取った譜面はそのまま遊ぶも良し、コピーしてアレンジするも良し。
譜面の交換を行っても、元々譜面を持っていたプレイヤーのソフトからデータそのものが消える訳ではないのでご安心を。ちなみに交換出来るのは『作曲』モードで作った譜面だけで、ダウンロード楽曲のやり取りは出来ません。
『楽譜リスト』は保存した譜面のコピーや削除が出来ます。またここで譜面の状態を『完成』にしておかないと、他モードで保存した譜面を使う事が出来ません。
他にも『楽譜を投稿する』で作った譜面を投稿(但し出来るのは続編と違ってJASRAC管理曲のみ)出来るサービスも行っていましたが、ニンテンドーDSのWi-Fiコネクションのサービスが終了した今となっては無用の長物。よって説明は差し控えさせて頂きます。
その他のモードについて。本作には上に挙げた以外にも、まだまだ様々なモードが存在します。
『今日のライブ』では、日替わりで様々な曲に挑む事になります。モードを選択するとまず自分の現在の演奏レベルと、ライブに参加するかの表示が出ます。
参加を選ぶとその日の課題曲と対象楽器、難易度が表示されます。これを見てからキャンセルする事も可能。
またこの時、課題曲が表示される代わりに歌で参加するかどうか決められる事もあります。歌うを選ぶと自分で歌う曲を選ぶ事となり、歌わないを選ぶと通常通り課題曲が表示されます。
演奏が終わると、演奏の成績によって演奏レベルが変化します。良い成績だと少しずつ演奏レベルが上がり、悪い成績だったり演奏を途中でリタイアしたりすると逆に下がります。
更に演奏レベルが一定値に達するとご褒美が……? 但しレベルが上がるごとに課題曲も難しくなっていくので注意。
『バーバラのセクシーミュージックアワー』ではソフト内に内蔵されている曲を好きなだけ聞く事が出来ます。『作曲』モードで作った曲、ダウンロード楽曲も対象です。
DJの有無は切り替える事が出来、オンにしているとDJバーバラが曲の合間に色々とお喋りします。曲の再生順とアレンジジャンルはランダム固定。
DJをオフにすると、曲順を全曲ランダムにするか再生リストの順にするか選べるようになります。再生リストは下画面の『再生リストを作成する』で作る事が出来ます。
再生リストの順に設定した場合、曲目も再生リストのものしか流れないようになります。全曲ランダムと再生リストは、いつでも切り替えが可能です。
またDJがオフの時は、曲を好きなジャンルにアレンジする事が出来ます。アレンジはジャンルを設定すると、その場で自動的に行われます。
プレイ中に聞き慣れたあの曲も、アレンジする事で新鮮に? ちなみに曲とアレンジジャンルの組み合わせ次第では、ちょっぴり変なメロディになるのはご愛嬌。
その他のモードは全て今は終了したWi-Fiコネクションを使うものなので、割愛。ちなみに注意点。もし中古で本作を購入した場合、ダウンロード楽曲はデータを初期化しようが絶対に消える事はありません。
現在の音ゲーと昔の音楽ゲームのいいとこ取りだったり、音ゲーなのに大人数でワイワイ遊べるシステムは流石の任天堂と言ったところ。最近は本作の時代に蔓延してた友達が付随しないバグも直ってきているみたいだし、いい傾向です。
とりあえず、今回はこれにて。




