第二十一夜 ちびまる子ちゃん おこづかい大作戦!
一つ、ゲームの話でもしようか。
「ちびまる子ちゃん」と言えば、昔からお茶の間に愛される国民的長寿アニメの一つです。作者・さくらももこ氏の幼少時をモデルにしたそのおかしくもどこか懐かしい雰囲気は、今も全国の視聴者の心を掴んでやみません。
そんな「ちびまる子ちゃん」、過去に何度かゲーム化された事もあります。面白さはピンキリで、実際に遊んでみるまでピンかキリか解らないというゲーム特有のギャンブル性を持っていました。
今回ご紹介するのはそのうちピン……ではなく、残念ながらキリの方に属するゲームの一つ。
ゲームボーイソフト「ちびまる子ちゃん おこづかい大作戦!」です。
本作は旧タカラ、現タカラトミー(ただし現在はゲーム事業からは撤退)から発売されたミニゲーム集です。プレイヤーは主人公のまる子を操り、お金を貯め、デパートで売られているまる子の欲しいオモチャを全てゲットする事が目的となります。
オモチャの値段は安いもので350円、高いものは何と4000円もし、初っぱなからハードルの高さを見せつけてくれます。対するまる子の最初の所持金は30円であり、『小学生が自分のお小遣いで高い買い物をする』という行為の厳しさを暗に示しています。
お金を稼ぐには、町中にある建物の中にいる「ちびまる子ちゃん」の登場人物達とミニゲームをする必要があります。しかしミニゲームには一回10円のお小遣いと気力というステータスが一つ必要で、その気力がゼロのゲーム開始直後はミニゲームをする事が出来ません。
ではどうやって気力を増やすのかと言うと、コマンドをよく見ると『じゃんけん』というものがあります。これを登場人物達に向かって選択すると、じゃんけんが始まるのです。
じゃんけんは二本先取で勝利となり、自分の勝った回数と相手の勝った回数に応じて気力の数値が上下します。ストレート負けしてしまうと逆に大幅に気力が下がってしまうので、それだけは避けたいところです。
またじゃんけんでストレート勝ちをすると、時々カードが手に入ります。大抵はプラス効果なのですが、中には貯金(詳しくは後述)を減らしてしまうマイナス効果のカードもあるのでカードが手に入ったからと言って安心は出来ません。ちなみにカードは四枚まで持て、使わずに捨てる事は不可能です。
気力を増やしたら、いよいよお小遣いを賭けたミニゲームの開始です。ミニゲームは大きく分けて四種類あり、何を遊ぶ事になるかは話しかける毎にランダムに決まるので自分が得意なミニゲームが出るまでキャンセルを繰り返して粘るのも手です。ただし例外としておじいちゃんと隠しキャラの静岡のおばあちゃんのミニゲームだけは固定の為、キャンセルで粘る手は使えません。
各ミニゲームは倍率固定のスロットと賞金固定のダイスゲーム以外、現在の気力とミニゲームの成績に応じて賞金の倍率が変わってくるのでなるべく気力を稼いでから挑んだ方が稼げる確率は増えます。とは言えやってみると解りますが気力を高く保つのは物凄くめんどくさい作業なので、手っ取り早くお金を稼ぎたい方は賞金が気力に左右されないスロットを狙うといいかもしれません。
また、ミニゲームで稼ぐ際注意しなければいけないのは、まる子は最大500円までしかお金を持ち歩けないということです。カードを使えば最大1000円まで限度額は増えますが、勿論これでは2000円以上のオモチャにはどうやったって手が届きません。
そこでまる子が行う事になるのが貯金です。自宅にあるまる子の部屋には貯金箱が置かれており、触れると30円より多くお金を持っている時には自動で手持ちが30円になるよう貯金をし、30円より少なくお金を持っている時には自動で手持ちが30円になるようお金を引き出します。手持ちが30円ジャストの時には、現在の貯金額を知らせるだけです。
こうしてじゃんけんで気力を増やし、ミニゲームに勝ってお小遣いを稼ぎ、稼いだお小遣いをこつこつと貯金するという本作の基本の流れが出来上がる訳ですが、ここである問題点が。実は本作、じゃんけんもミニゲームも挑めるのは一人につき一回きりなのです。
じゃんけんは外にいる登場人物達と会話する事でランダムに向こうから勝負を挑んでくるのですが、ミニゲームはそうはいきません。ではどうすればいいか。
じゃんけんで入手出来るカードの中に、『一度勝負を挑んだ相手全員にもう一度勝負を挑めるようになる』という効果のものがあります。それが手に入るまで、延々とじゃんけんをし続けるしかないのです。これは辛い。
前述の通りカードを得るにはまずじゃんけんをストレート勝ちしなければならず、更に手に入るカードは完全にランダムときています。もし運悪くマイナスカードばかり引いてしまったら、目も当てられません。
苦難はまだ続きます。自宅には一定確率でお母さんが出現し、会ってしまったが最後、手持ちの金を全額取り上げられてしまいます。実は筆者は運良くお母さんに遭遇した事は一度もないので現場は見ていないのですが、貯金からお金を引き出しているのを見られた場合、貯金まで全額没収になってしまうそうです。……まだ小学生の我が子が家族や友達から次々お金を巻き上げているのを知ったら、そうしたくなる気持ちも解らないではないです。
この悲劇を防ぐには、じゃんけんに勝つと(ストレート勝ちでなくてもいい)ランダムに手に入る福引券を使って福引きの景品を当てる必要があります。福引きが当たるかどうかは確率ではなく気力が一定値以上あるかどうかで決まるので、トライする前に気力を高めに保っておきましょう。また、一度お母さんを回避すると景品はなくなってしまう為、常に景品を確保しておくのを忘れずに。
これだけ書くとまるでいいところがないように思われる本作ですが、唯一、ミニゲームに使われるまる子達のアップ絵だけは当時のアニメに忠実でいい感じです。あくまでも当時基準なので今見ると大分違って見えますが、それぞれの登場人物の特徴を捉えたいい表情に描けているんじゃないかと個人的には思います。
まともにクリアしようと思うと、まずゲームボーイ本体の電池切れと戦わなくてはならない本作。筆者はとうとうクリア出来ずじまいでしたが、もしツールなしでクリア出来た人がいたら、その人は自分を褒め称えてもいいと思います。
とりあえず、今回はこれにて。