第二百十一夜 星のカービィ 鏡の大迷宮
一つ、ゲームの話でもしようか。
今回もまた懲りずにカービィの話です。いい加減懲りろよ。
ゲームボーイアドバンス隆盛の頃、任天堂は通信を利用した四人同時プレイを推していました。当時は通信ケーブルがコードレス化したばかりで、全員が通信ケーブルを本体にセットすると一度に最大四人までと通信出来るという形でした。
このコードレスの通信ケーブル、安価な事もあり売上は結構良かったみたいです。当時のゲームボーイアドバンスのゲームは、他のプレイヤーと通信して遊ぶのが当たり前みたいなところもありましたし。
さて今回ご紹介するのも、そんな四人同時プレイを前面に押し出したゲームの一つです。前回ご紹介した「星のカービィ 夢の泉デラックス」も四人同時プレイ対応だったんですが、今回のテーマはそれを更に発展させた形です。
題して「星のカービィ 鏡の大迷宮」。果たしてどんなゲームになったのでしょうか。
本作はゲームボーイアドバンス中期、任天堂よりゲームボーイアドバンスにて発売された横スクロールアクションゲームです。カービィの産みの親である桜井政博氏は、本作を最後に開発元のHAL研究所を退社。氏が直接開発に関わった、最後のシリーズ作品となりました。
以下はストーリー。カービィ達が住むお馴染みプププランドの空の上に、『鏡の国』という国がありました。この鏡の国には『ディメンションミラー』という宝物があり、ディメンションミラーに映し出された願い事は何でも叶うと言われていました。しかし……。そのディメンションミラーはある日突然大暴走。鏡の国は、悪い心だけを映し出す邪悪な世界へと変わってしまいます。鏡の国の異変をいち早く察知したメタナイトは、異変を解決する為一人鏡の国へと向かいますが……。所変わってここは平和なプププランド。カービィがのんびりお散歩をしていると、突然メタナイトが現れカービィに斬りかかります。そしてメタナイトに斬られたカービィは、何と四人に分裂してしまったのです。四人のカービィ達はどこからともなく現れたワープスターに乗り、そのまま逃げ出した、いつもより何だか黒い気がするメタナイトを鏡の国まで追いかけます。鏡の国で、一体何が起こったのか? 四人に分かれたカービィ達の、新たな冒険が今始まります――。といった感じになっています。
剣で斬られても生きてるどころか逆に四人に増えてパワーアップするカービィ凄いですね。任天堂キャラの中ではワリオと並ぶ不死身っぷり。
ステージ構成はいつものカービィとは少し違っていて、広大な一つのマップの中を探索していくマップ探索型の要素の入ったものとなっています。全部で九つのエリアに分かれているマップはどこから攻略してもよく、自由度はかなり高めとなっております。
全体マップは最初から確認する事が出来、一度通ったルートは暗い表示から明るい表示になります。ルート移動の扉同士が相互か一方通行かはあらかじめ見れるものの、扉が複数ある場合どの扉がどのルートに通じているかまでは参照する事が出来ません。
マップ中央には『セントラルサークル』という安全地帯があり、ここを中心に探索を進めていく事となります。プレイを途中で中断した場合の再開場所になるのも、このセントラルサークルになります。
またルート途中にあるスイッチを入れると、セントラルサークル直通の扉が開通します。次回以降はこの扉を利用すれば、エリア間の移動が楽になります。
各ルートは基本的には最奥のボスの元へ繋がるようになっていますが、時にはゴールと称して強制的にセントラルサークルに戻されるものも。とはいえクリア達成率は上がるので、完全に無駄という訳でもありません。
ちなみにマップはエリア毎に分かれて表示されますが、どのルートからどのエリアに移動出来るかもあらかじめ確認出来ます。中には殆どのエリアから移動出来るという変わったエリアも……。
ついでに豆知識。一度通った事のある扉とまだ通った事のない扉とでは、上の星の輝きが微妙に異なります。道に迷った時は、扉の上の星を確認するといいかも。
本作のコピー能力は全部で26種類。うち本作が初登場の能力は6種類となっております。
従来の能力でもソードやハンマーのように出来る事が増えている場合もあり、操作感は微妙に異なったものとなっています。というか「スマブラ」要素の逆輸入?
中にはそのものズバリ『スマブラ』と名のついたコピー能力もあり、コピーすると攻撃が完全に「スマブラ」のカービィと一緒になります。即ちハンマーとソードとストーンが全部使える。これが強くない訳がない。
ちなみに桜井氏自身は、本作に「スマブラ」要素を入れる事には否定的だったそう。あくまで「スマブラ」のカービィはシリーズ本編のカービィとは違うという事なのでしょうかね。
ルート途中には、時々宝箱が置かれている事があります。この中にはアイテムや、本編の進行には関係のない『コレクション』が入っています。
コレクションはセーブデータのロード画面で確認出来、手に入れるとプレイ中のカービィのカラーを変えたりゲーム中で使われているBGMを聞いたりする事が出来るようになります。どうでもいいけど体色変えるのに使うものがスプレーってカービィの体にとっても悪そうですね。
コレクションの収集はクリア達成率にも関わるので、100%を目指すなら頑張って集めましょう。そうでなくてもいつもと違うカラーのカービィを操れるのはちょっと楽しい気分。
さて冒頭で四人プレイについて触れましたが、本作では四人のプレイヤーがマップの思い思いの場所を探索する事が出来ます。皆で一つのルートを一緒に進むも、完全にバラバラになって互いに手分けするのも全部自由。
しかし無意味に四人同時プレイ可能にした訳ではありません。ルート途中には、皆で協力しないと通れない道というのも存在しているのです。
本作で追加されたアクションに、『がんばり吸い込み』というものがあります。これは本来吸い込めないものを頑張って吸い込む事により飲み込んだり、カービィのいる方に対象物を動かしたり出来るというアクションです。
しかし中には大きすぎて、がんばり吸い込みでも動かせないものもあります。そんな時は他プレイヤー達の出番。皆でがんばり吸い込みを行えば、大きいものだって動かせます。
またスイッチを押せば開くけど通ろうとするとスイッチが元に戻って閉じてしまう、そんな通路を通りたい時も他プレイヤー達の出番。他プレイヤーにスイッチを押して貰い、その間に通り抜けましょう。
とはいえいつも一緒に冒険は自由がない! その気持ち解ります。そこで使う事になるのがこれ、携帯通信機。
携帯通信機は、全てのカービィがデフォルトで持っているアイテムです。これを使って助けを呼ぶと、他プレイヤー達が助けを呼んだプレイヤーのいるエリアまで一瞬で移動出来ます。
勿論呼ばれたからといって必ず行く必要はなく、行くかどうかは各プレイヤーに委ねられています。でもあんまり無視していると、リアルの人間関係に響くかも……?
ちなみに助けを呼べるのは携帯通信機の電池がある時だけ。携帯通信機の電池は助けを呼ぶ度に消費され、マップ上の至る所にある電池を取ると回復します。
もう一つ、携帯通信機を使う事でいつでもセントラルサークルに戻る事が出来ます。こちらは何回使っても電池を消費せず、また他プレイヤーを呼べない時でも利用出来ます。ハマり防止という奴ですね。
なおソロプレイの時でもコンピューターの操る三人のカービィが別々に冒険しているという体になってまして、携帯通信機を使えば助けに来て貰う事が出来ます。時にはどこで見つけてきたのか、レアなコピー能力を引っ提げて参上する事も……。
本作のミニゲームは本編とは完全に独立した形となっており、本編中で遊ぶ機会はありません。その為歴代のミニゲームと比べて、ちょっぴり地味な存在になっています。
遊べるミニゲームは全部で四つ。最初から遊べる『波乗りスターライド』『ギガトンパンチ』『刹那のつまみ食い』、そしてクリア達成率を100%にする事で解禁される毎度お馴染み『勝ち抜きボスバトル』となっております。
しかし筆者、本作に関してはミニゲーム、全然やってません。唯一まともにやったのは、こちらも恒例ボタン早押しを競う『刹那のつまみ食い』だけ。後はどうも難しいのが多くて、やらなくなっちゃったんですね。
そもそも筆者の場合、本編中でご褒美が貰える場合しかミニゲームってあんまりやり込まない。あ、ミニゲームそのものが本編のミニゲーム集は別。
これもクリア達成率に関わるなら、もしかしたらやり込んだかもしれない……。でもそうすると気軽なミニゲームとは言えなくなるか。
一人で遊んでも、大勢で遊んでも楽しめる。この辺りのバランス取りの上手さは流石だなあという、個人の感想でした。
とりあえず、今回はこれにて。
 




