第二十夜 ファミコンジャンプ 英雄列伝
一つ、ゲームの話でもしようか。
筆者の幼少時、週刊少年ジャンプはまさに黄金期を迎えていました。ドラゴンボールを始めとした人気漫画が数多く集い、その勢いたるや飛ぶ鳥を落とすほどのものであったと推測されます。
そんな週刊少年ジャンプとゲームとの関わりは深く、現在に至るまで多数のジャンプ漫画がゲーム化し、発売されました。ドラゴンクエストシリーズの産みの親である堀井雄二氏が雑誌内にコーナーを持っていた時期もあり、週刊少年ジャンプは積極的にゲーム業界に関わり、その発展に貢献してきたのです。
ファミコン黎明期、週刊少年ジャンプもまた創刊二十周年という大きな節目の年を迎えていました。そこで当時の編集部は、当時同じくノリに乗っていたファミコンとの大掛かりなコラボを企画します。
それが、今回ご紹介する「ファミコンジャンプ 英雄列伝」です。
本作は旧バンダイ、現バンダイナムコエンテーテインメントより発売されたマップ探索型のアクションゲームです。プレイヤーは週刊少年ジャンプをこよなく愛する一人の少年となり、己の拳と貰ったロケットパンチを武器にして、各地に散らばる新旧ジャンプ漫画(当時基準)の主人公達を集めてジャンプ世界の支配を目論むピッコロ大魔王の野望を阻止する為の旅に出る事になります。
以上のストーリーや詳細は後述しますが復活アイテムのドラゴンボール、移動手段の金斗雲からも解るように、本作のベースは「ドラゴンボール」の世界になっています。当時の「ドラゴンボール」の人気ぶりが窺えるエピソードです。
エリアは大きく分けて五つ存在しており更にそれぞれが過去と現在に分かれ、その各エリアでは一人か二人のジャンプ漫画の主人公達を仲間にする事が出来ます。各主人公達はライフや熟練度(これも後述)が個別に管理されており、ライフがゼロになるとその主人公は死んでしまい、使用する事が出来なくなります。
なお、主人公達が何人残っていてもプレイヤーの少年が死んでしまえばゲームオーバーになってしまいますので、戦いはなるべく主人公達に任せた方がいいでしょう。漫画が好きなだけのただの少年と、修羅場を潜ってきた主人公達との違いなのかもしれませんね。
さて死んでしまった主人公達ですが、復活手段はちゃんとあります。それが前述した、ドラゴンボールです。
ドラゴンボールは現代の全エリア内のどこかに原作よろしく全部で七つ散らばっておりまして、七つ全て集める事で正式に復活アイテムとなり死んだ主人公達を生き返らせる事が出来るようになります。原作とは違い一度死んだ主人公でも何度でも復活が可能なので、そこはご安心を。なお金斗雲を使わないと行けないエリアには、金斗雲を手に入れるまでドラゴンボールは落ちない親切設計になっています。
落ちているドラゴンボールは、普通には見えません。そこで利用する事になるのが、ドラゴンレーダーです。
ドラゴンレーダーを使うと近くにドラゴンボールはあるのか、あるなら自分から見てどっちの方にあるのかが大まかに示されます。これを頼りに、ドラゴンボールを探していく訳です。
基本的には主人公達に頼ればいい本作ですが、そう言ってばかりもいられません。各エリアの主人公達は自分の担当エリアから移動する事が出来ず、新エリアを訪れる際は必ずプレイヤーの少年の一人旅から始まるのです。
それぞれの主人公達の加入も一筋縄ではいかず、必ず何らかの条件を満たさないと仲間にならないようになっています。中には高難度のミニゲームのクリアを要求される場合もあり、主人公達を仲間にするだけで何時間、なんて事も……。
また各エリアを支配するボス達は、基本的に主人公達しか相手にしてくれません。いかに雑魚を避け、全員の体力を温存出来るかも攻略の上で重要なポイントになります。
主人公達の何人かは、それぞれパワーアップイベントも用意されています。これも高難度のミニゲームのクリアを要求されたりしますが、後で必ず役立つのでやっておいて損はないです。
さて全ての主人公達を仲間にし、ピッコロ大魔王を倒してもまだゲームは終わりません。寧ろここからが本番と言えます。
ピッコロ大魔王を打倒し訪れるラストダンジョン、そこでは驚愕の展開が待っています。何と総勢十三人の歴代ジャンプ漫画の敵役達との、コマンド選択式の勝ち抜きバトルが始まるのです。
ここで重要になってくるのが、前述した熟練度。この熟練度は雑魚を倒す事やパワーアップイベントをこなす事で増えるのですが、ここに辿り着くまでに増やした熟練度がそのままここでのバトルにおける攻撃力に直結するのです。
つまり熟練度を事前に増やしておけばおくほど、ここでの戦いが楽になるという訳です。ただしキャラ同士には相性もある為、一概にこうしておけば勝てる!とも言えないのですが。
前述の通り、主人公達と敵役達とではそれぞれに相性があります。相性がいいと相手に大ダメージを与える事が可能となり、相性が悪いとそもそもバトルが発生しない事もあります。
意外なキャラ同士の相性がいい場合もある為、原作再現の組み合わせにこだわらず色んなカードを試してみると良いと思います。それがお祭りゲーでもある本作の醍醐味でもあるのですから。
お世辞にもゲームバランスがいいとは言えませんが、その分当時の『ジャンプらしさ』が詰まった本作。もし手に取る機会があれば、一度プレイしてみるのもいいかもしれません。当時の筆者が感じたわくわくを、もしかしたら少しは感じられるかもしれませんよ。
とりあえず、今回はこれにて。