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番外編 スーパーゲームボーイ

一つ、ゲームの話でもしようか。



今回は久々の番外編。ゲームボーイの長い歴史の中で生まれた、周辺機器の話になります。

発売されたばかりの頃のゲームボーイは液晶の性能があまり良くなかった為、目にいいとは言いがたいものでした。またモノクロでもあった為、これはこれで面白いけどやっぱりカラーで遊びたい、という声も根強く存在しました。

しかし当時の技術で携帯機をカラー化しようとすれば、価格の大幅な高騰は避けられませんでした。事実、同時期にカラーで遊べる事を売りにしていたセガの携帯機ゲームギアは携帯機と呼ぶにはギリギリの大きさ、悪すぎる燃費、そしてゲームボーイよりも遥かに高価格とカラーで携帯機を出す事の難しさを如実に表していました。

結局求めやすい価格でハードを提供する事を優先した任天堂が、ゲームボーイのカラー化に踏み切る事は長らくありませんでした。漸く任天堂が納得するコストでの携帯機のカラー化の目処が立ち、後のゲームボーイアドバンスへと繋がるハード、ゲームボーイカラーが出たのはゲームボーイ発売から実に十年近くが経過してからの事になります。

しかしそこは任天堂。ある逆転の発想で、ゲームボーイソフトをカラーで遊ぶ事自体はそれより前に可能にしていたのです。


『携帯機でカラーが無理なら、据え置き機で遊んで貰えばいいじゃない』


最初にそう言ったのは、果たして誰だったのか。とにかくそのアイデアは実行される事となり、当時乗りに乗っていたスーパーファミコンの協力も得て、その周辺機器は完成したのです。

それが今回のテーマ。「スーパーゲームボーイ」です。


「スーパーゲームボーイ」が生まれたのは1994年。ゲーム市場をほぼ任天堂ハードが独占していた、その真っ只中になります。

周辺機器と言うだけあり、これだけではゲームを遊ぶ事は出来ません。最低限必要なものは以下の通り。


まずは遊びたいゲームボーイのソフト。次にスーパーファミコン本体。忘れちゃいけないスーパーファミコン用コントローラー。そしてスーパーファミコンを接続出来るテレビ。


要は、スーパーファミコンが遊べる環境さえあればこれが使えるという訳です。では次に、使い方をご紹介。


まず「スーパーゲームボーイ」の上の差し込み口に、ゲームボーイのソフトをセットします。この時普通にゲームボーイで遊ぶのと同じように、それ以上下に行かなくなるまでしっかりとセットする事。後は普通にスーパーファミコンのソフトを遊ぶように「スーパーゲームボーイ」をスーパーファミコンの差し込み口にセットし、スーパーファミコンの電源を入れればOKです。


これでゲームボーイソフトがカラーで遊べるようになります。次は「スーパーゲームボーイ」で主に出来る事をご紹介していきます。


まず最初にお伝えしておかなければならないのは、これを使ったからといっていきなりゲーム画面が豪華フルカラー!にはならないという事です。そりゃそうだ。ソフトそのものがそういう作りになっていませんもの。

「スーパーゲームボーイ」でフルカラー化するのは任天堂製ソフトと、あらかじめ「スーパーゲームボーイ」に対応するように作られた一部のソフトだけです。ではそうでないソフトはどうなるのかと言うと、ゲームボーイで表現される四つの色表示に自動で割り振られた色が付くという形でカラー表示されるのです。

つまり、総合的に見ればモノクロ時代とあんまり変わりません。表示されるのがテレビモニターなので、視認性は格段に向上していますが。

とはいえいつも同じ色パターンでは面白みがないと判断されたのか、表示に使用する色の組み合わせは多彩に用意されています。その組み合わせの数、何と32パターン。

更にそれだけに留まらず、自分で色の組み合わせを設定する事まで出来ます。一旦電源を切ると記録が失われてしまうのが残念ですが。


またゲームボーイとテレビでは、画面の縦横比がどうしても異なります。そこで「スーパーゲームボーイ」では、ゲーム画面の周囲にフレームを設置する事でそれに対応しています。

設定出来るフレームは全部で9種類。更に「スーパーゲームボーイ」対応ソフトなら、そのソフトのみで使える専用フレームがプラスされます。

それに加えて自分で自由に絵を描けるフレームも用意されており、自由度はなかなかに高め。但しこれでまともな絵を描くのはかなり難しいですが……。

ちなみに一部フレームは暫くボタンに一切触れずに放置しておくかある特定のコマンドを入力すると、フレームの画像に変化が現れます。電池切れを心配しなくていい、「スーパーゲームボーイ」ならではの要素だと思います。


それとゲームボーイとスーパーファミコン用コントローラーでは、ボタンの配置が違うしそもそもボタンの数自体が違います。これを解決する為に、「スーパーゲームボーイ」ではボタンの配置をどのように割り振るか選ぶ事が可能になっています。

設定出来る配置は二種類。スーパーファミコン用コントローラーのABボタンをそのままABボタンとする配置と、スーパーファミコン用コントローラーのYボタンをBボタン、BボタンをAボタンとする配置です。

前者はボタンの名前に沿った配置、後者はスーパーファミコンソフトによくある配置となっています。実際に使ってみて、遊びやすい方を設定すればいいでしょう。


ちなみにこれらの設定は、プレイ中にLRボタンを同時押しする事で呼び出せるメニューから設定出来ます。メニューを開いている間もゲーム内の時間が止まる事はないので、開くならポーズをかけてから。


発売されて以来ゲームボーイとスーパーファミコンの橋渡しをしてきた「スーパーゲームボーイ」でしたが、次世代機への世代交代によるスーパーファミコン市場の衰退、そして何よりゲームボーイカラーの発売により、静かにその役目を終える事になります。ゲームボーイカラー対応ソフトのカラーは「スーパーゲームボーイ」では表示されず、ゲームボーイカラー専用ソフトに至っては起動そのものが不可能になっています。

そして携帯機がやがてゲームボーイアドバンス、そしてニンテンドーDSへと進化していく事は皆様もよくご存知の通り。しかし「スーパーゲームボーイ」の系譜は、今も脈々と続いていると筆者は思うのです。

現在大人気を誇るハード、NintendoSwitch。テレビに繋げて遊ぶ事も外に持ち歩いて遊ぶ事も出来る、据え置き機と携帯機が融合したハードです。

「スーパーゲームボーイ」が最終的に目指していたものは、まさにこれだったのではないでしょうか。じっくり遊ぶ事も、気軽に遊ぶ事も出来るハードとしての究極系。

だとすれば「スーパーゲームボーイ」は時代の徒花などではなく、未来のハードを生み出す為の試金石の一つだった……。そう考えると、何だかかっこよくありませんか。

そんな「スーパーゲームボーイ」の持つ一つの可能性に思いを馳せながら、今回は締めさせて頂きます。



とりあえず、今回はこれにて。

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