第二百六夜 カエルの為に鐘は鳴る
一つ、ゲームの話でもしようか。
さて早いもので、ゲームボーイ編は一旦これで最後となります。基本的にRPGやアドベンチャーゲーム専なので、それらのジャンルのソフトが少ないゲームボーイのソフトはあまり持ってないんですよ……。
ゲームボーイ編最後を飾りますのは、個人的に凄く好きなこのゲーム。タイトルを聞いて同意してくれる諸氏も多いと思います。「カエルの為に鐘は鳴る」です。
今なおコアなファンが多いこのゲーム。今回はその魅力を、出来る限りお伝え出来るように頑張ります。
本作はゲームボーイ初期、任天堂よりゲームボーイにて発売されたアクションRPGです。タイトルはヘミングウェイの文学小説のパロディですが、内容は勿論何にも関係はありません。
以下はストーリー。カスタード王国のリチャード王子とサブレ王国の王子(デフォルト名なし)は幼馴染みのライバル同士。ルックス、スタイル、おつむの出来はほぼ同じの二人だったが、剣術の腕だけはサブレ王国の王子はどうしてもリチャード王子に敵わない。そんな二人は今日も剣術の試合を行うが、結果は今回もリチャード王子の勝利。しかし試合を終えた二人の耳に、カスタード王国とサブレ王国二つの国の友好国であるミルフィーユ王国が謎の軍団『ゲロニアン』に占拠されたという情報が入る。ミルフィーユ王国を治めるティラミス姫と言えば、絶世の美女と名高い二人の憧れの女性。ティラミス姫を救い出すのは自分だと、早速二人は先を争うようにミルフィーユ王国へと向かう。果たしてサブレ王国の王子はリチャード王子より先に、ティラミス姫を救出する事が出来るのか? ミルフィーユ王国を舞台に、今冒険の幕が上がる――。といった感じになっています。
あらすじだけ見れば王道ファンタジーものと言った体ですが、実際はオープニングからかっ飛ばしています。実は主人公の王子(以下サブレ王子)の国は経済大国で超金持ちという設定であり、ゲーム開始時点で何と所持金はカンスト。
そしてそんな生まれからかサブレ王子自身も金に糸目を全く付けない性格であり、何か困った事があったらすぐに金で何とかしようとします。金で解決ぶぁいやいやい。このネタが解る人も相当いい年ですが。
ただ大地震で壊滅的な被害を受けた街の復興の為にポンと金を出すなど、鼻持ちならない金持ちという訳では決してないのは好感ポイント。ただ金銭感覚が大分人よりずれているだけで、基本的には善人です。というかそうでなきゃ主人公なんて務まりません。
アクションRPGとは言うものの、本作での敵との戦闘は全てオートで行われます。本作の敵は基本動かず通路を塞いでおり、それにサブレ王子が触れる事で戦闘状態へと移行します。
戦闘中は互いの攻撃が全てオートで行われ、プレイヤーは途中でアイテムを使わせたり戦闘を中断させ逃亡させるくらいしか関与出来ません。勝敗はその時点でのサブレ王子のステータスとコンディションで決まり、攻撃の回避やクリティカルといった運要素は一切存在しません。
この為本作の敵は敵と言うより、ライフを支払ってどかす障害物に近い扱いになっています。とはいえ倒せばお金や様々なアイテムを落とす為、完全に障害物とも言い切れません。
なおサブレ王子が敵よりもかなり強くなると戦闘そのものが発生せず、敵を弾き飛ばすのみとなります。但しこの場合は、お金やアイテムは一切落としません。
ダンジョンに入ると、視点がトップビューからサイドビューに切り替わります。この時サブレ王子のアクションにはジャンプが加わり、ジャンプやストーリーが進むにつれて増えていくアクションの数々を駆使して道を切り開くアクションパズル要素も加わります。
ダンジョン内には、幾つかの宝箱が点在しています。その中にはセイントストーンと呼ばれる、サブレ王子のステータスをアップしてくれるアイテムが入っている事があります。
セイントストーンにはライフストーン、パワーストーン、スピードストーンの三種類があり、それぞれサブレ王子のライフ、攻撃力、攻撃回数を上げてくれます。ボスクラスの敵はその時点で手に入るセイントストーンを全て集め尚且つライフがフルの状態でギリギリ勝てるような強さに設定されており、先に進む為にはダンジョンの入念な探索が必須となります。
なおフィールドやダンジョンには『イケイケだま』という丸い物体がある事があり、触れるとサブレ王子のライフが全回復するようになっています。見つけたら、これがある場所を拠点として探索を進めていくといいでしょう。
ストーリーが進むと、サブレ王子はカエルやヘビの姿に変身出来るようになります。それぞれの姿の特徴は以下の通り。
人間形態は最も基本の姿で、この姿をベースに物語は進んでいきます。育った攻撃力を最大限に発揮出来るのはこの姿のみで、この姿でないとまず敵は倒せません。
なる方法は他形態の時に『しあわせの果実』というアイテムを食べるか、敵との戦いでライフを0にする事。ジャンプで上がれる段差は二段まで。
カエル形態は同じカエルと話が出来るようになり、水中を自在に移動出来ます。サブレ王子はカナヅチという設定なので、この能力の有無は結構重要。虫を食べてライフを回復出来るようになるものの攻撃力は皆無で、敵と戦ってもまず負けます。
なる方法は他形態の時に水の中に入る事。ジャンプで上がれる段差は四段まで。
ヘビ形態は同じヘビと話が出来るようになります。攻撃力は落ちますがカエルよりは戦闘が出来、またこちらがかなり強い場合は敵を吹き飛ばさずにブロックに変えてしまいます。
なる方法は他形態の時に『温泉タマゴ』というアイテムを食べる事。この時ライフも僅かに回復します。ジャンプは出来ませんが、辛うじて床に接地している段差を一段だけ這い上がる事は可能。
以上三形態を使い分け、ダンジョンを攻略していく事になります。カエル形態以外は変身にアイテムを必要とする為、敵からも時々手に入るとは言え変身アイテムは切らさないようにしておきましょう。
パロディ満載、ギャグ満載の本作ですが、根底に流れるのは『真の友情とは何か』を問い掛ける熱い展開。サブレ王子とリチャード王子の友情の在り方を軸に、ストーリーは進んでいきます。
中盤の初め、サブレ王子はある誤解がきっかけとなってこちらはカエルの姿から元に戻れなくなってしまったリチャード王子に絶交されてしまいます。それでもサブレ王子はリチャード王子の為(と言ってもそれだけが理由ではありませんが)、リチャード王子もまた人間の姿に戻れるようミルフィーユ王国内を駆けずり回ります。
そしてクライマックスには……。ここでは多くは語りません。二人の友情がどうなるのか、是非自身の目で確かめて下さい。
近年は「スマブラ」のアシストフィギュアにも選出されるなど、地味にですが存在感を放ち続ける本作。もっと知名度が上がれば、もしかしたらリメイクも夢じゃない……かも?
とりあえず、今回はこれにて。
 




