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第二百三夜 ゴッドメディスン

一つ、ゲームの話でもしようか。



選ばれし子供達が世界を救う――。このテンプレが生まれたのは、今から三十年近く前の話であります。

この手の話で最も有名なのは、アニメの「魔神英雄伝ワタル」でしょうか。どこにでもいる普通の小学生、戦部ワタルがある日異世界に召喚され、仲間達と共にその異世界を支配しようとする悪と戦うという王道冒険ファンタジーです。

そんなテンプレが人気を博した九十年代前半、ゲーム業界にもその波に乗ろうとするゲームが現れます。ハードはよりターゲットとなる年齢の子供達に身近なゲームボーイ。

タイトルは「ゴッドメディスン」。果たしてどんなゲームになったのでしょうか。


本作はゲームボーイ初期、コナミよりゲームボーイにて発売されたRPGです。ターゲットとなる子供達によりストーリーを身近に感じて貰う為か、現代の日本を舞台にしている当時としては珍しいRPGとなっています。

以下はストーリー。発売を間近に控えていた、注目度No.1のRPG『ファントム』。その開発会社に、ある日突然雷が落ちる。この落雷の影響で、『ファントム』の発売日は中止されてしまう事に。国分町に住んでいる小学五年生のナオトも、『ファントム』の発売を楽しみにしていた一人。ナオトは『ファントム』発売中止の発表と同じ頃に広まり始めた町でUFOを見たという噂を、いつも一緒に遊ぶ友達のケンスケとミキと共に確かめようとする。早速UFOの目撃地点である町外れの小屋に向かうと、小屋の中から誰かの話し声がする。気になったナオト達がそっと中を覗いてみると、そこには何と『ファントム』の主人公である勇者ミカ・アルダン一行と魔王グロヴァーがいた。ミカ・アルダン一行は果敢にグロヴァーに挑むものの、力及ばず敗れてしまう。グロヴァーが去った後ナオト達が小屋の中に入ると、虫の息のミカ・アルダン一行はナオト達三人に自らの意志を託し、勇者の魂を受け継がせる。そしてナオト達は勇者を助ける者と名乗るサンドマン一族の導きにより、開いたままの異世界の扉から『ファントム』の世界へ――。勇者となったナオト達は果たして、『ファントム』の世界を救う事が出来るのか――? といった感じになっています。

異世界がゲームの世界というのが、如何にもゲーム的でいい感じ。本来の勇者達が負けてしまうという衝撃的なオープニングもあって、掴みはバッチリです。


ナオト達三人が受け継いだのはそれぞれ勇者の力、僧侶の力、魔法使いの力。ここでは三人の簡単な特徴をご紹介します。

勇者の力を受け継いだナオトは、攻撃も回復もこなせるオールラウンダー。専用武器の関係で、最終的に攻撃力が最も高くなるキャラでもあります。魔封宝石によって与えられる能力はその全てがダメージアップ系。

僧侶の力を受け継いだケンスケは、素の攻撃力とHPが高いどちらかと言えば戦士系。それ故魔法の使用回数も一番少ないのですが、専用武器の関係で最終的な攻撃力はナオトに劣ってしまう事に……。魔封宝石によって与えられる能力はダメージアップとステータスアップをバランス良く。

魔法使いの力を受け継いだミキは、魔法なら何でも得意な賢者系。攻撃力はもっとも劣りますが、代わりに攻撃魔法を使いこなせるのはパーティーの中では彼女だけとなっております。魔封宝石によって与えられる能力はステータスアップ系が主。


この他にもミキがイベントで一時離脱した際にスポット参戦するキャラが一人、直接は戦わないものの確率でターン最初にパーティーを手助けしてくれるNPCが二人存在します。彼らの事もついでにご紹介。


和尚は現実世界の川田村という村にある寺の住職。敵にさらわれたミキ救出の手助けをする為、一時的にパーティーに加わります。ナオト達と違って勇者の魂を受け継いでいる訳ではない為魔法はある一つを除いて一切使えませんが、非常に攻撃力が高い頼れる人物。

スピーカース王子はファントム世界のシフグレイドという街の王子。出会ったばかりの頃は気弱で頼りない性格でしたがナオト達との出会いにより戦う勇気が芽生え、以降は要所要所でパーティーに同行し手助けをしてくれるようになります。戦闘中は得意の剣技で敵全体を攻撃してくれる、こちらも頼れる存在。ちなみにダメージはパーティーの平均レベル依存。

ヒラヤマさんはゲームのファントムの制作スタッフの一人。会社への落雷の際に行方不明になっていましたが、実はグロヴァーに洗脳され配下の一人になっており、ナオト達の手によって洗脳が解けた後は共に戦ってくれるようになります。戦闘中は洗脳時にグロヴァーに与えられた力なのか、回復魔法を使いパーティー全体を回復してくれます。回復量はスピーカース王子同様、パーティーの平均レベル依存。


ストーリーが進むと、ナオト達は勇者の武器『魔封武器』を手に入れます。本来の勇者であるミカ・アルダン一行が敗れたのは、この魔封武器を手に入れないままグロヴァーに挑んだからだと言われています。

全部で三つの魔封武器にはそれぞれ『魔封宝石』と呼ばれる石を一つだけセットする事が出来、セットした魔封宝石の種類によって様々な力を発揮させる事が出来ます。また同じ魔封宝石でもセットした魔封武器によって発揮される力は異なり、誰にどの魔封宝石をセットするのがいいかは大いに悩まされる事になります。

魔封宝石の効果は主にターンをかけて力を溜め、力が一杯になったらそれを解放し敵に大ダメージを与えるダメージアップ系と、セットしているだけで装備者のステータスを底上げしてくれるステータスアップ系に分かれます。効果が解りやすいダメージアップ系をついつい重視してしまいたくなりますが、ステータスアップ系の上昇幅も結構馬鹿になりません。

ダメージアップ系をセットすると、顔グラフィックの横にゲージが設置されます。ゲージの総量は魔封宝石によって異なり、戦闘で装備者にターンが回ってくる度にゲージの量が一つずつ増加していきます。

そしてゲージがフルになった時に通常攻撃を行うと自動的に力が解放され、敵に大ダメージを与える事が出来ます。中には攻撃が全体攻撃化したり敵が弱いものに変化するなど、単純にダメージを与えるだけに留まらないものもあります。

また手に入る魔封宝石の種類は全部で六種類ですが、もう一つ『ピンクのカエル』というアイテムも何故か魔封武器にセット出来ます。このアイテムを魔封武器にセットしゲージを溜めると、その魔封武器で使う事の出来るダメージアップ系の力がランダムに発動します。

運が良ければ発動に時間のかかる力を短いターンで使用出来ますが、逆に本来短いターンで済む力が長くかかってしまう場合もありギャンブル性が強いアイテムとなっております。例外的にミキだけはピンクのカエルよりゲージが短い魔封宝石がないので、とりあえず損はしない形です。

ちなみにゲージの増加量は戦闘を跨いで継続され、力を解放するか途中で魔封宝石を付け替えない限りはリセットされません。その代わり通常攻撃を行わない事しかゲージをフルにしたままに出来る手段がないので、若干融通は効きにくいと言えます。


本作の魔法は大きく分けて攻撃魔法に相当するアタク魔法、回復魔法に相当するヒール魔法、補助魔法に相当するマイン魔法の三系統。全部のアタク魔法と一部のヒール魔法はイベントで、それ以外の魔法はアイテムの魔法の書を使って習得します。

本作にMPの概念はなく、使用は回数制になっています。回数は系統毎に分かれ、一つの系統の中のどの魔法を使ってもその系統の魔法を使える残り回数が1減る形となります。

またアタク魔法の一部は、イベントやミキのレベルアップでグレードアップし威力が上昇していきます。更に単体魔法も、時々クリティカルという形で範囲が全体化する事もあります。

惜しむらくは、そもそもの魔法の種類があまり存在しない事か。まあ時代を考えれば仕方ないのかも……。


筆者が個人的に凄く気になるキャラが、NPCのヒラヤマさん。元々ただのゲームの制作スタッフの一人だったのに、グロヴァーに目を付けられて操られてしまった可哀想な女性です。

このヒラヤマさん、物語の中盤辺りから敵幹部の一人として度々出てくるようになるんですが、その時の格好というのが如何にもファンタジーの悪の女幹部という出で立ちに怪しげな仮面。ヒラヤマさんの年齢が作中で明らかになる事はありませんが、いい年した大人にこれは相当な羞恥プレイです。

正気に戻った時、自分の格好を見てヒラヤマさんは内心何を思ったのか……。それでも表向きは動揺を見せずにその格好のままついてきてくれるヒラヤマさんマジ勇者。


子供の頃に還って、胸躍るような冒険をしてみたい……。メインターゲットの子供だけでなく、そんな大人にもお勧めの本作。

バランスに粗のある事が多かった当時のコナミ製のRPGにしてはバランスも悪くないので、RPGをあまりやった事がない人も安心してプレイ出来ると思います。……問題は今から手に入るかどうかですけども。



とりあえず、今回はこれにて。

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