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第百九十四夜 鬼忍降魔録ONI

一つ、ゲームの話でもしようか。



少し前、「ONI」シリーズの一つ、「鬼神降臨伝ONI」をご紹介致しました。しかしこのシリーズ、元はゲームボーイのシリーズであります。

ゲームボーイで出たシリーズ作は全五作。ゲームボーイのRPGとしては、異例の長寿シリーズです。

今回はそんな「ONI」シリーズの処女作。「鬼忍降魔録ONI」をテーマにお送りしようと思います。


本作はゲームボーイ初期、バンプレストよりゲームボーイにて発売されたRPGです。開発はパンドラボックスですが、パンドラボックスのゲームではお馴染みの飯島多紀哉(当時は飯島健男)氏はプレイステーションにプラットフォームが移るまで本シリーズには直接関わっていません。

以下はストーリー。妖怪退治を生業とする地張の隠れ里に住む少年天地(名前変更可)は落ちこぼれと呼ばれ、親代わりの頭領詠輪斎にも叱られてばかりの毎日。そんな天地を見かねた兄貴分の飛龍の彩蔵は、自分の手柄を天地に譲ってやる事にする。それを天地の手柄と信じ、漸く天地も一人前になったと見なした詠輪斎は天地に密書を託し、近隣の神明村に使いに出す。しかし村に辿り着く直前突然所属不明の忍が現れ、天地から密書を奪うと逃げ去ってしまった。密書を渡す筈だった長老に諭され失意のうちに隠れ里に戻る天地だったが、戻った隠れ里は何者かの手によって既に壊滅した後であった。唯一虫の息だった詠輪斎から受け取った石板を手に、旅立つ天地。その行く手には、果たして何が待ち受けているのか――。といった感じになっています。

後のシリーズでは『天地丸』表記になる主人公天地ですが、この頃はまだ『丸』がついていませんでした。また主人公の名前が変えられるのは本作のみで、次作からは全員名前が固定となります。

それにしても彩蔵の兄貴、兄貴のした事って単なる甘やかしな気がするんですが。案の定大事な任務失敗してるし……。


本作は終始天地の一人旅となっており、戦闘も常に一対一。戦闘時は、天地と敵がサイドビューで向かい合って戦います。

天地と敵、どちらが先に行動するかは完全にランダムのようです。かなり強さに差があっても先手を取られたりするので……。

レベルアップによって、天地は術を習得していきます。攻撃と回復をバランス良く覚えていきますが、完全回復を覚えた辺りからだんだんそれしか使わなくなっていくのはお約束。

シリーズの目玉である『転身』システムも勿論本作からあり、本作では序盤の終わりにイベントを経る事で転身可能となります。転身は移動中、戦闘中どちらでも可能で、戦闘中の転身はターンを消費しません。

転身するとグラフィックが変わるだけでなく、通常時では使えない能力を行使する事が可能になります。移動中の能力はどちらも一度はイベントで使う必要がありますが、使う機会がそこしかないのでぶっちゃけイベント用の能力と言っても差し支えありません。

また転身中は術が使えないのもこの頃からなので、術を使いたい時は転身を解く必要があります。本作は特に一人旅なので、この使い分けは重要。

なお術や能力以外での二つの姿の特徴は、通常時は攻撃力が高い、転身時は耐久力が高いとなっております。どちらを重視するかで、メインの姿をどちらにするかが変わってくると思います。ちなみに筆者は攻撃力重視。


さて後の人気シリーズの処女作となる本作なのですが、その実、ゲームとしての完成度はあまり高くありません。と言うのも、時代を加味しても明らかに表現のバリエーションに乏しいのです。

敵グラフィックは専用のものがあるのはライバル的存在の茨木童子(ゲーム中の表記は『いばら』)のみ。ラスボスですら雑魚の流用です。

BGMはフィールド、町、ダンジョン、戦闘、全て一種類だけ。ラストダンジョンやラスボスですら変更なし。更に言えば本作の町のBGMはかの「星をみるひと」並に町の音楽に聞こえないので、町にいても全然安らげない。

イベント処理も割と雑で、前述のあらすじ通り主人公の故郷である隠れ里はスタート直後に壊滅し人がいなくなるのですが、そんな中でもよろず屋と宿屋は普通に営業。すぐ近くに村があってそこにも店があるのに、残しておく必要本当にあったか?

トドメは転身時の天地の姿はまさに異形で、実際ストーリー中で転身する瞬間を見た近くの村人に妖怪ではないかと疑われるイベントまで存在するのに、そのイベント後は転身状態で話しかけようが全員ノータッチで普通に会話してくる。全員同じ反応とかでもいいから転身前後で違う反応に出来なかったのか……。

この時代のゲームボーイソフトに無茶言うなという声もあるかもしれませんが、忘れてはならないのが、これより前に発売された「魔界塔士Sa・Ga」がキャラ別の反応以外は全てクリアしていたという点です。まあ元々の資本が違うあちらと比べるのは酷かもしれませんが……。


ゲームとしての出来は決していいとは言えなかったものの和風RPGというそれまでのゲームボーイRPGになかった世界観や変身ヒーローさながらの転身システムは一定の人気を獲得し、この後本作はシリーズ化を果たす事になります。……飯島氏に弄くり回されなければ今でも生きてたのかなあ、このシリーズ……。



とりあえず、今回はこれにて。

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