表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/239

第百九十二夜 テイルズオブファンタジア

一つ、ゲームの話でもしようか。



さて、長らく続いて参りましたスーパーファミコン編もいよいよ千秋楽。と言いつつ、忘れてたゲームが出てくる可能性がまだまだありますけどね……。

今回はトリに相応しいソフトを持って参りました。現在も脈々と続く、日本三大RPGの一つとも言われるあのシリーズの処女作です。

解る方はもうお解りですね? そう、今回のテーマは「テイルズオブファンタジア」です。


本作はスーパーファミコン全盛期、旧ナムコ、現バンダイナムコエンターテインメントよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。新規タイトルでありながら発売があの「ドラゴンクエスト6」と同月という超悪条件の中において、口コミで徐々に評判が広まり人気を獲得していったという経緯を持ちます。

以下はストーリー。トーティスの村に両親と暮らす少年クレスは、その日親友のチェスターと近くの森に狩りに来ていた。順調に狩りを進めていたその時、森の中に村の警鐘が響き渡る。急ぎ村に戻った二人が見たものは、無惨に殺された村人達の姿。その中には、チェスターの唯一の肉親である妹のアミィも含まれていた。辛うじて虫の息であったクレスの両親から村を襲った者達の狙いがクレスの受け継いだペンダントである事を聞かされた二人は、家族の、そして村の住人達の仇を取る事を誓い合う。村の住人達の埋葬をするというチェスターと一旦別れ、クレスは父の遺言に従い叔父のオルソンに会う為北のユークリッドへ向かう。しかしここにも既にペンダントを狙う者の手は回っており、脅しに屈したオルソンの裏切りによってクレスは村を襲った黒騎士マルスにペンダントを奪われ、装備も全て取り上げられて地下牢へと閉じ込められたのだった。窮地に陥ったクレスの耳に、優しげな声が響く。その声に従いイヤリングを受け取ると壁が崩れ、隣の牢に繋がったが、そこにいた女性はとうに事切れていた。女性の体に突き刺さっていたロングソードを利用し牢を出たクレスは、女性の最期の言葉に従い女性の娘ミントを救出、二人で地下牢を脱出する。しかしその直後、突如現れた魔物にクレスは毒を受け、倒れてしまう――。次にクレスが目覚めた時、そこはモリスンという人物の屋敷だった。そこにはチェスターもおり、彼もまたモリスンに助けられていたのだった。クレスの両親、そしてミントの母親の知人だというモリスンはクレスの、そしてミントの母親もまた同じように持っていたペンダントが両方奪われた事を知ると単身地下墓地へと向かう。クレス達もその後を追うが一足遅く、二つのペンダントをマルスが捧げた事により地下墓地に封じられていた魔王ダオスが蘇ってしまう。そこでダオスの口から語られる、衝撃の事実。一連の事件を起こしたマルスはダオスに操られていただけであり、ダオスこそが全ての黒幕だったのだ。ダオスは用済みとなったマルス達を殺し、クレス達をも消そうとする。しかしチェスターが決死の特攻をかけた隙にモリスンが時空転移の術を使い、クレスとミントの二人だけは過去に逃れる事が出来た。二人はモリスンが最期に残した言葉、ダオスに唯一通用する現代では失われていた力『魔術』を求め、過去の世界を旅をする――。果たして二人はダオスを倒し、死んでいった人々の無念を晴らす事が出来るのか――? といった感じになっています。

序盤のイベント全部入れてしまいましたが、ダオスが出てこない事には話が始まらないから仕方ない。ダオスが出てきてからが、本作の本番なので……。


本作を語る上で外せないのは、何と言ってもスーパーファミコンソフトでありながら主題歌が収録されている事。カセットであるが故に音に関してはCDにどうしても劣り、歌の収録など出来ないと言われていたスーパーファミコンにおいて、これは実に画期的な事でありました。

更にキャラクターデザインは後にシリーズでお馴染みになる人気漫画家、藤島康介氏。キャラの戦闘ボイスには数々の人気声優を起用など、CD媒体のソフトが一般的になって初めて当たり前になった事を全てスーパーファミコンでやってのけたのです。

但しスーパーファミコン版の時点では台詞が少ないキャラなんかは兼任されている事が多く、チェスターはクレス役の草尾毅氏兼任。オープニングのモリスンはクラース役の井上和彦氏が兼任となっています。彼らに個別の声優がつくのは、プレイステーション版からの事になります。

またスーパーファミコン版の時点ではミントにこおろぎさとみ氏、アーチェにかないみか氏と混ぜると声の区別がつかない声優筆頭の二人が使われていましたが、流石に区別がつかなすぎたのか、プレイステーション版以降はミントの声は岩男潤子氏に変更されています。これに伴い、ミントの性格の方もスーパーファミコン版とプレイステーション版以降とでは若干の差異が見られるようになっています。

なおキャラデザは前述通り藤島氏の担当なのですが、氏にお声がかかったのは開発が大分進んでからだったらしく、イラストと実際に動かすチビキャラとではデザインが多少異なっています。特にクラースなんかは完全に別人で、『誰だお前』状態。こちらもプレイステーション版以降は、イラスト通りのチビキャラになっています。


本作のパーティーキャラは最大五人。戦闘に出るのはそのうち四人までで、残り一人は待機となります。

本作の戦闘はサイドビューでのアクションとなっており、プレイヤーは主人公クレスを操作し敵と戦っていく事になります。他のキャラはAI操作となり、術や弓でクレスのサポートをしてくれます。

本作ではプレイヤーが操作出来るのがクレスだけとは言え、前列一人に後の四人が全員後列というのも随分尖った構成です。しかも物理攻撃系キャラは四人のうちチェスターだけっていうね……。

以下は本作のパーティーキャラの紹介です。いずれも役割分担がハッキリしたキャラ揃いとなっております。


クレスは唯一プレイヤーが操作可能なキャラで、前衛担当。本職は剣士ですが、槍や斧なども扱う事が出来ます。

アルベイン流という剣術を使いこなし、レベルアップやイベントで数々の特技を身に付けていきます。また各地にある奥義書で奥義を会得する事で、それらの特技を連続して使う事も可能になります。

ミントは法術師で、パーティーの中で唯一回復術を使用出来ます。また、敵に状態異常を与える術も扱う事が可能です。

レベルアップをすれば自然と術を習得していくので、レベルが強さに繋がりやすいキャラクター。攻撃性能がほぼないに等しいのは、まあ、ヒロインなので……。

チェスターはクレス以外では唯一の物理攻撃系キャラ。弓を使い、離れた場所から敵を攻撃します。

唯一特技や術の類が使えず離脱期間も長いので合流後は使わず終わってしまうプレイヤーも多いですが、レベルを上げていい弓を持たせてやればなかなかに強い。しかしラスボス戦では攻撃術が使えない為結局外されてしまうのは悲しき宿命か。

クラースは召喚術を使い敵を攻撃します。また術者系キャラの割には、物理攻撃力もそう低くはありません。

召喚術は精霊との契約を経て使用可能になるという性質上ストーリー内で必ず習得する頻度が高く、全く寄り道をしなくてもどんどん強い術を覚えていきます。寄り道をして必須精霊以外と契約したい場合は、対応する契約の指輪を持っていなければならない点に注意。

アーチェはハーフエルフで、エルフの血を引く者にしか使えない魔術を行使します。また戦闘中は常に浮いているので、地上からの攻撃を完全に無効化出来るという特性を持っています。

魔術は一部を除いて各地にある魔術書から覚えるしかなく、探索の頻度が強さに直結するキャラと言えます。その分最終的な魔法攻撃力はクラースよりも上。


行動は基本敵味方共にリアルタイムで行われますが、上級の術になると詠唱が終わったところで一時的に時間が止まり、必ず発動するようになります。しかし下位の術の発動中や詠唱中に攻撃を受けると、術が途中でキャンセルされます。

もっともそれは敵にも同じ事が言え、クレスを操作して詠唱中の敵にダメージを与え、大技をキャンセルさせるというテクニックも時には必要になります。ただダオスなどの大ボスクラスの中には、一瞬で詠唱を完了させてくるものもいますが……。


クレスの攻撃パターンは通常攻撃だけでも複数あり、斬り、突き、ジャンプしての斬り、ジャンプしての突きの四パターンに分かれています。空中の敵には当然ジャンプしないと攻撃は届きません。

クレスの装備出来る武器にはそれぞれ斬りの攻撃力と突きの攻撃力が設定されており、剣はバランス重視、槍は突き偏重、斧は斬り偏重の傾向が強いです。更に特技の中にも斬りの攻撃力が使われるものと突きの攻撃力が使われるものがあり、この辺りの構造をきちんと把握していないと効果的なダメージは与えにくくなっています。

特技は近くの敵を攻撃するSレンジの技を二つ、遠くの敵を攻撃するLレンジの技を二つ、それぞれ設定出来ます。Sレンジだけ、またはLレンジだけしか設定していない場合は、一旦そのレンジに対応する位置まで移動してから技を出します。

また奥義の場合は、最初に名前がある方の特技のレンジが適用されます。とは言っても大体がLレンジ→SレンジかSレンジ→Sレンジで、後半がLレンジという奥義は記憶にある限りはないです。

特技を使用していくと、熟練度が徐々に溜まっていきます。この熟練度が最大に達するとその特技の消費TP(本作のMP)が減少し、更に対応する二つの特技の熟練度を最大にする事で初めて奥義が使用可能になります。

ちなみに後半あるアクセサリを入手する事で格ゲーよろしくコマンド入力で技が出せるようにもなりますが……。初期技以外はどれもかなりコマンドが複雑なので、格ゲー慣れしている人でも厳しいかも。

なお前述通りクレス以外のキャラの行動はオートですが、大まかな行動方針を決めたり、事前に使って欲しくない術を使わないよう設定しておく事は出来ます。これをちゃんと設定しておかないと、ミントが状態異常の術を連発してTPがごりごり減っていくので……。


後のシリーズやプレイステーション版以降には受け継がれなかった面白いシステムに、フードサックがあります。クレス達はゲーム開始直後から、フードサックというアイテムを持っています。

道中、豚肉や鶏肉などの食料系アイテムが手に入る事があります。それらを使用すると、使ったアイテムの種類に応じてフードサックにポイントが加算されます。

すると戦闘で減ったHPが、フードサックのポイントを消費して歩いているうちに自動的に回復するようになります。HPが満タンになるとフードサックのポイント減少もそこで止まり、無駄には減らないようになっています。

フードサックには容量があり、その容量以上のポイントを貯める事は出来ません。最初は少しのポイントしか貯められませんが、ストーリーが進むにつれてフードサックの容量も大きくなり、より多くのポイントが貯められるようになります。

なお食い出のある食料の方が加算されるポイントは多めで、最高は味噌おでんの9999となっております。誰の趣味だろう、これ。


本編には関係のない、やり込み要素やお遊び要素も幾つかあります。例えばこれ、称号。

中盤以降、クレスに称号を授けてくれる人物が現れます。授けて貰える称号はクレスのレベルや行動によって増え、その中から好きな称号を名乗る事が出来ます。

この称号、プレイステーション版以降はクレス以外にもつけられるようになり、誰に何を名乗らせるかという楽しみが増えました。カッコいい称号もあれば、ちょっとクスッとくるようなギャグ称号も……。

次に闘技場。ここではクレス一人だけで、計八連戦をこなしていく事になります。

使えるアイテムは、闘技場側から与えられた限定された数のものだけ。負けてもゲームオーバーにはなりませんが、八戦全てを勝ち抜くにはレベルも腕前も高くないと難しいでしょう。

こちらもプレイステーション版以降は、クレス以外のキャラでも挑めるようになりました。もっとも全員後方支援系の都合上、勝ち抜くのはクレス以上に困難でしょうが……。

そしてRPGのやり込みの基本と言えばやはりこれ、超階層ダンジョン。本作では地下百階からなるダンジョンを、一気に攻略していく事になります。

攻略必須のダンジョンではないので勿論無視してもいいんですが、ここでしか手に入らない貴重品も数多くありコレクター魂をくすぐられます。勿論敵も相応に強いので、しっかりと準備をしておかないと最下層までは辿り着けないでしょう。

ちなみにこの手のダンジョンにありがちなクリア後解禁という事は本作はなく、クリア前から挑む事が出来ます。というかクリア後の追加要素自体が本作にはない。

この他にもお遊び要素は色々ありますが、そこは実際プレイして確かめて頂けたらと。プレイステーション版以降から追加された要素も多いですしね。


さて本作、ストーリー面はこのスーパーファミコン版の時点でほぼ完成され、『主人公サイドとは別の正義を持った敵』を明確に描いたシナリオが当時から高評価だった訳ですが……一方で戦闘バランスの方はというと、スーパーファミコン版の時点ではかなり粗削りでした。その原因の一つに、被ダメージの全体的な高さがあります。

本作の被ダメージは、序盤の時点で既にかなり高いです。操作に慣れないうちは、あらすじにあるユークリッドまで辿り着く事すらなくゲームオーバーになる事も珍しくありません。

それに輪をかけて凶悪だったのが、石化の追加効果のある通常攻撃を仕掛けてくる敵。数ある状態異常の中でも石化は行動不能になる上自然回復しない、戦闘不能の次に重い状態異常で、全員が石化すると当然ゲームオーバーになります。

ストーリー中盤に行く事になるユミルの森というダンジョンには、この石化の追加効果を持つリザードマンという敵が大量に湧いてくるのです。しかもご丁寧に、地上攻撃を無効化してくれるアーチェはパーティーから外れている状態で。

一応使った戦闘中は石化しなくなる、リキュールボトルというアイテムは存在します。しかしこれが、代わりに攻撃力が低下するという厄介な代物。

同じく使った戦闘中は攻撃力がUPするフレアボトルと併用しなければ戦いにならなくなるので、ユミルの森に行く前にこの二つを大量購入する事になります。逃げたくても本作で逃げるには画面端で数秒待たねばならず、その上リザードマンは必ず挟み撃ちしてくるので……。

そして二つをフルで持っていったとしても本作で持てる一つのアイテム上限は二十個まで。そしてリザードマンは結構頻繁に出てくるので、ストックが余裕で溶けていく……。

これは流石にキツすぎたと判断されたのか、プレイステーション版以降はリザードマンの存在自体が削除される事になりました。まあ攻撃力と一度に出てくる数もヤバかったしな……。

スーパーファミコン版にだけ出てくる敵と言えば、後はランドアーチン。元は同じくナムコのアーケードゲーム「イシターの復活」に出てきた敵で、絶対に倒せない無敵キャラという扱いでした。

厄介なのがその無敵キャラという特性を本作でも受け継いでいる点で、一切の攻撃は効かず触れると即死亡。初見で意気揚々と斬りかかって返り討ちに遭ったプレイヤーも少なくないと思います。

救いは逃げやすい点と空中への攻撃手段がないのでアーチェがいれば全滅は免れる点、前述の地下百階ダンジョン限定の敵という点でしょうか。というかこんなのが必ず行くダンジョンにいたらたまったもんじゃない。

なおこのランドアーチンもプレイステーション版以降は削除され、結果的にプレイステーション版の本作は全機種の中で最も高い完成度を誇る事になりました。プレイステーション版より後の移植は余分なものが多すぎるんですよね……。


余談ですが、術攻撃しか効かないという触れ込みのダオス。実は物理攻撃でも、しっかりとダメージは出ます。

しかしその場合は直後に受けたダメージと同じ量のHP回復が入り、実質ダメージは0という事になります。物理攻撃はダオスを怯ませられますが、ダメージにはならないという事です。

但し術攻撃でダメージを蓄積させていくとやがて回復量は受けたダメージの半分になり、最終的には全く回復しなくなり物理攻撃でもダメージが通るようになります。この辺の演出、ダオスが弱っていく様が伝わるようで個人的には好きだったりします。

もっともこれはスーパーファミコン版の話であり、プレイステーション版以降は最初から普通に物理攻撃が通るようになっていたり。楽になったのは確かですが、それもそれでどうなのか。


スーパーファミコン時代から始まったシリーズが、ファミコン時代から作品を出し続けているシリーズを最も近い位置で追いかけているというのは何気に凄い事だと思います。最も最近は、何かあったらすぐ一番人気の「テイルズオブヴェスペリア」に頼ろうという傾向が強いですが……。



とりあえず、今回はこれにて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ