表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/239

第百八十九夜 弁慶外伝 沙の章

一つ、ゲームの話でもしようか。



またもネタがないので、空き家に整地が入った話の続きでも。最初は整地だけだと思ってたんですが、見てるとどうも様子がおかしい。

そう思っていた矢先、屋根瓦をポイポイ外し始めた。そこでやっと気付きました。ああ、あの家も解体してしまうんだな、と。

そして今、家のあった場所は完全な更地になりました。周囲のブロック塀も取り壊されました。そこに家があった事を示すものは、何もかもなくなってしまいました。

形のあるものが形を失う様とは、何故こうもあっという間なのでしょう。時間をかけて作り、思い出で溢れ、そんなものでも壊れるのはほんの短い間で終わってしまいます。

人が生きてきた証も、いつかはこうして完全に失われるのか……。そんな事を考え、何だかちょっぴり切なくなる今日この頃です。

そんな訳で、今回のテーマはまたも鎌倉時代を題材にしたRPG。「弁慶外伝 沙の章」です。


本作はスーパーファミコン初期、サン電子よりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。同じくサン電子よりPCエンジンにて発売されたRPG「弁慶外伝」の続編に当たります。

以下はストーリー。鎌倉に幕府が置かれて八十年余りの時が流れた頃、日本を最大の国難が襲った。蒙古襲来。中国大陸統一を目論む大国『元』が、日本にも手を伸ばしてきたのである。蒙古軍は瞬く間に九州博多を制圧したが、突然吹いてきた暴風に壊滅的打撃を受け、撤退を余儀無くされた。この暴風は日本が強力な古代の呪法を使い故意に吹かせたものだと見抜いた元の皇帝フビライ・ハンは配下である四界将が一人、呪魂を日本へと差し向ける。時の将軍北条時宗はこれを知ると、呪魂率いる呪界衆に対抗すべく日本に存在する法力者達を動かしこれを迎え撃とうとした。しかし呪界衆の力は遥かに強く、法力者達は次々と呪界衆の前に倒れていった――。四国、修門砦。ここに一人の若者がいた。名は不動。幼き頃より修門砦の長才蔵の元で修行を重ねてきた、才気ある若者である。ある日帝の使者、天道のハヤテが現れ、帝からの命を伝える。『時、ここに至れり』これを聞いた才蔵は不動を連れ、京の都へと向かおうとするが、呪界衆の魔の手は修門砦にも迫っていた――。果たして不動の行く手に待ち受けるものとは――? といった感じになっています。

主人公不動は性別を選ぶ事が出来、これによるストーリーやステータスの変化はありませんがエンディングが男女で異なるようになっています。つまりどっちも見たいなら二周は必要。


さてキャラの名前を自由に付け替えられるRPGは結構ありますが、本作がそれらと一線を画しているところは、名前に使う文字を自分で自作出来るところです。というか、ぶっちゃけ絵とかでもOK。

文字を自作するときは、表示されたパレットの上を塗り潰していく事になります。ただ実際にやってみると解りますが、これで綺麗な文字を作るのは正直至難の業。本職ドッターじゃないと無理なんじゃないかってくらい。

自信のない人、奇をてらったプレイを好まない人は大人しく用意された漢字の中から名前を組み合わせた方が賢明。但しこれも意図的に名前を真ん中に寄せるようにしないと、表記がおかしな事になりますが。


本作では戦闘の経過を、アニメーションにするか文字にするか選ぶ事が出来ます。アニメーションにすると画面下に不動達の姿が表示されて攻撃の度動き、敵画面に攻撃のエフェクトがかかります。

画面下に表示された不動達は、こちらに向かって正面に立っています。通常キャラの姿が見えている戦闘画面というのは敵と向かい合ってこちらには背を向けている事が多いので、こういう構成は珍しいと思います。

また装備している武器によって、表示された不動達の得物が変わるのも面白い構成。こういう細かい変化があるRPGって、当時は珍しかった気がします。

コマンド類では、全員で纏めて一体の敵を攻撃する『一斉』が変わっているでしょうか。コマンド入力の手間は省けますが、法術(本作の魔法)などが使えないのが難点か。

また防御コマンドが一部キャラのみ他キャラを庇うという『守護』に置き換わっており、普通の防御が出来ないのも少々面倒臭い点。キャラ的にも率先して味方を庇いそうなキャラではあるんですが、せめて普通の防御と使い分けられたら……。

なお不動ともう一人のみ、『式符』というアイテムを使う事でも攻撃出来ます。式符はレベルが上がる毎に一度に使用出来る枚数が増え、一度に使った枚数が多い程より強力な攻撃が出来るようになっています。

また移動中にも式符を使う事が出来、その場合は戦闘突入直後に自動的に先制攻撃をします。この時どの強さの攻撃になるかはランダムなので、上手くいけば式符一枚で数枚分の攻撃をする事も可能です。


パーティーメンバーは全部で四人。スポット参戦の一人を加えると、全部で五人がパーティーインする事になります。

この他に二人、同行はしますがメインメンバーとしては戦わないキャラがいます。彼らはターン開始時、確率で敵一体に攻撃を行います。

片方は攻撃する確率は高いですが、ダメージは微々たるものです。もう片方はダメージは高いものの、攻撃してくれる確率はあまり高くありません。

どちらも加わるのは中盤以降なので、それまではパーティーメンバーだけでの戦いとなります。まあ加わったところで攻撃してくれれば儲けもの、ぐらいの扱いなんですが。


本作は大まかに分けて前半の日本編、後半の中国編となっており、BGM、出てくる敵、更には一部を除いた消費アイテムや通貨まで全て異なるものとなっています。途中で舞台が変わるRPGは数あれど、ここまで思い切った構成はなかなかないと思います。

更に日本編から中国編に移る際、装備品の類は全て取り上げられ換金されてしまいます。武装したまま渡航は出来ないというのが、地味にリアルです。

中国編で手に入る消費アイテムは基本的には日本編の上位互換ですが、法力(本作のMP)回復アイテムだけは注意。日本編で手に入るものが『一人の法力を完全回復』であるのに対し、中国編で手に入るものは『全員の法力をある程度回復』であるからです。

一見中国編のものの方が便利に思えますが、こちらは完全回復しないというのがネック。どちらも手に入る個数には限りのあるアイテムには違いないのですが、この種類に関してだけはどちらも無駄遣いしないように……。


ストーリー展開はなかなかにハード。不動の故郷である修門砦は最初のイベント後即壊滅しますし、その後も道中で次々と人が死んでいきます。

まだ年若い少年だろうが容赦なく死ぬので、そういうのが苦手な人にはきついかも……。もっとも何人かは後で生き返りますが。

あと和風RPGという事もあってか漢字がかなり多めで、ふりがなも少ないのが低年齢層には辛いか。特に後半の装備品の名前なんかは中二感満載。


余談ですが、本作には当時のサン電子のマスコットキャラ『へべれけ』がゲスト出演しています。へべれけは特定の場所で敵として現れ、倒すと大量の経験値を獲得出来ます。

しかしこの笑いどころの一切ないシリアスハードな世界観に、自社のマスコットキャラとはいえ今で言うゆるキャラ的なキャラを敵として出すのはどうなのか。何も知らずに出会ったプレイヤーの、脱力する様が目に浮かびます……。


独自の要素も目に付きますが、総合して思うのはやはり、地味なRPGだなあと。ハードなストーリーのRPGが好きな方ならアリ、かな?



とりあえず、今回はこれにて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ