第百八十夜 ロックマンX
一つ、ゲームの話でもしようか。
前回が「ロックマン」シリーズのお話だったので、今回は「ロックマンX」シリーズのお話。前回お話した通り、新しく始動したこの「ロックマンX」シリーズは人気を博し、一時期は元祖「ロックマン」シリーズに変わって全「ロックマン」シリーズの柱となっていた程でした。
しかし時代が2Dアクション冷遇の時代に差し掛かると、そんな「ロックマンX」シリーズにも暗雲が垂れ籠めます。人気声優やアニメーションを投入しても思うように伸びない売上に、シリーズは次第に迷走を始めていく事になります。
そうして迷走とテコ入れを繰り返した挙句、「ロックマンX」シリーズは完結を見ないまま凍結されてしまう事となったのでした。とは言っても全「ロックマン」シリーズの中でまともに完結したのなんて、「ロックマンエグゼ」シリーズと「ロックマンゼロ」シリーズだけなんですけども……。
ともかく、今回のテーマはそんな「ロックマンX」シリーズ第一作。「ロックマンX」です。
本作はスーパーファミコン黎明期、カプコンよりスーパーファミコンにて発売された横スクロールアクションゲームです。主人公は新主人公エックスとなり、登場人物も「ロックマン」シリーズから一新されています。
以下はストーリー。21XX年、人類はより人に近い思考回路を持つロボット『レプリロイド』と共存しながら暮らしていた。しかし人に近くなったレプリロイドの中からは自らの意思で人に危害を加える者『イレギュラー』が現れるようになり、戦闘用レプリロイドにより結成された『イレギュラーハンター』がこれを討伐する事で治安を守っていた。しかしある時、このイレギュラーハンターの中で最強と呼ばれたレプリロイド『シグマ』が突如人類へ反乱を起こす。シグマは人類のいないレプリロイドだけの世界の建設を理想に掲げ、ある者はその理想に賛同し、またある者はシグマに敗れ軍門に下り、シグマ率いる反乱軍の規模は徐々に膨れ上がっていった。残されたハンター達も次々に倒れていき、シグマを止められる者はもう誰もいないと思われていた――。しかし希望はまだ残されていた。それは未だシグマに抵抗を続ける、二人のイレギュラーハンター。かつてシグマの率いていた第17精鋭部隊に所属するB級イレギュラーハンター、エックス。その先輩にして無二の親友、特A級イレギュラーハンター、ゼロ。人類の未来は今、この二人に託された――。といった感じになっています。
ちなみに主人公は前述通りエックスなんですが、いざ蓋を開けたらその親友であるゼロの方に人気が集中。その人気が高じて一時操作可能キャラ、W主人公の片割れと扱いがどんどんレベルアップしていき、遂には彼が単独主役のスピンオフシリーズ「ロックマンゼロ」が作られる事になったという出世ぶり。
クールな性格もさる事ながら、今までのシリーズにはなかったその容姿が人気の的になったようで……。女だけでなく、男も金髪美形だと人気が出るらしい。
システムとしては、八つのステージを順番にクリアしてボスから特殊武器を得るなどの基本の流れは元祖「ロックマン」シリーズから継承しています。しかしその中で、本作から取り入れられた要素も幾つか存在します。
まずオープニングステージの導入。基本操作を覚える為に追加されたこのステージは、後に元祖「ロックマン」シリーズにも逆輸入されました。
次にストーリー面の強化。全てのキャラに台詞らしい台詞が殆どなかった元祖「ロックマン」シリーズと比べ、本作では短めとは言え各主要キャラに台詞が用意されストーリーの流れが解りやすくなっています。
更に新たなアクションの追加。追加されたアクション『壁蹴り』は、垂直な壁を自力で登っていき更にそこから対岸にジャンプ出来るという見た目にも映える優れもの。
そして最大の変更点、成長要素の大幅強化。特殊武器を得るくらいしか成長要素のなかった元祖「ロックマン」シリーズと違い、本作ではステージ探索によってエックスの性能が徐々に強化されていく仕組みになっています。
ゲーム開始直後のエックスは、とても貧弱な状態です。出来るのは溜め撃ちと壁蹴りが精々で、ライフ量もボスに劣っています。
しかし各ステージには、そんなエックスを強化してくれるアイテムやパーツが隠されています。それらを入手する事でエックスは強くなり、更なる敵に立ち向かえるようになっていきます。
ここではそんなアイテムやパーツの数々をご紹介していきます。皆様プレイ時は是非集めて下さい。
アイテムは主にエックスのライフ方面を強化してくれます。種類は以下の二つ。
ライフアップは各ステージに一つずつ、全部で八つあり、エックスの最大ライフを増やしてくれます。中にはパーツや、特定の特殊武器がないと手に入らないものも存在します。
サブタンクは全部で四つ存在し、入手した状態でエックスのライフが満タンの時にライフ回復アイテムを取ると、その回復分がサブタンク内にチャージされるようになります。チャージされたライフはいつでも現ライフにプラスする事が可能で、言わば何度でもリサイクル可能になったE缶のようなものだと思って下さい。
パーツは主にエックスの身体能力を強化してくれます。種類は以下の四つ。
ヘッドパーツは装備すると頭突きで特定のブロックが壊せるようになります。使用出来る場所が割と限定的な為、若干地味なパーツ。
ボディパーツは装備すると受けるダメージが半減されるようになります。後半シグマステージは、これがないとなかなかきつい。
アームパーツは装備すると溜め撃ちのチャージ段階が一つ上がり、更に強力なショットを放てるようになります。特殊武器の溜め撃ちも可能になり、通常版とは異なる様々な効果をもたらします。
フットパーツは装備するとダッシュが可能になり、更に壁蹴りで特定のブロックを壊せるようになります。裏技を使わない限りは、一番最初に入手するパーツとなります。
各パーツ入手時にはホログラフのDr.ライトが現れ、パーツの効果の解説をしてくれます。元祖「ロックマン」シリーズとの繋がりを示す、数少ないシーンでもあります。
また、ある条件を満たすと例のコマンド入力で波動拳も撃てるようになります。大抵のボスを一撃で葬る威力を持っていますが、パスワード保存が出来ないのと弾速が遅いのがネック。
ちなみに元祖「ロックマン」ではモチーフに特に統一性はなかった8ボス達ですが、本シリーズでは全員が何らかの生き物をモチーフとしています。デザインも元の生き物の特徴を上手く残した洗練されたものとなり、一部のユーザーにはこちらも人気の元になったようです。
後に不幸な結末を辿る事になったとは言えその人気は本物で、未だにシリーズ復活を願うユーザーも少なくありません。去年出た「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」でゼロがアシストフィギュアで出演してたりしてるし、全く芽がない訳ではない……か?
とりあえず、今回はこれにて。




