第百七十五夜 がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻
一つ、ゲームの話でもしようか。
かつてのコナミの看板作品の一つに、「がんばれゴエモン」シリーズがあります。他機種に渡り多くのシリーズ作品を出した、コナミのアクションゲームの要の一つと言ってもいいシリーズでした。
しかしアクションゲームの主流が2Dアクションから3Dアクションに移っていくにつれ売上は低迷、遂には表舞台から姿を消してしまいます。一時期はアニメにまでなったのですが……。
ところでこのシリーズ、一部では設定の変遷が凄まじい事で有名だったりします。まず一度レギュラーメンバーエビス丸の設定仕切り直しが入り、その後も巨大ロボゴエモンインパクトを巡る設定がコロコロ変わったり、今度は全体を仕切り直したけど人気がイマイチだったので前の設定に戻した挙句、仕切り直した方はそっちでは偽者呼ばわりなどなど……。何かと制作者に振り回され続けた、悲運のシリーズであるとも言えます。
今回は、そんな「がんばれゴエモン」シリーズがまだ輝いていた頃のお話。スーパーファミコンにおけるシリーズ第一弾、「がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻」をテーマにお送り致します。
本作はスーパーファミコン初期、コナミよりスーパーファミコンにて発売されたアクションゲームです。各ステージは画面見下ろし型のマップと横スクロールマップの二部構成となっており、操作はほぼ共通ですがそれぞれ出来る事や進め方が異なってきます。
以下はストーリー。ここはお江戸のはぐれ町。その内の一軒の家の中では、天下の大泥棒ゴエモン様が羽を伸ばしてくつろいでいた。そこに駆け込んできたのは、いつの間にやらはぐれ町に住み着いた自称正義の忍者、エビス丸。エビス丸曰く、近頃はぐれ町にあるほろほろ寺に女幽霊が現れ、近付いた者を痛い目に遭わせているという。そいつはいっちょ懲らしめてやらなきゃなるめえと、エビス丸と共にほろほろ寺に向かうゴエモン。しかしこの幽霊騒動がお江戸のゆき姫様の失踪事件へと繋がっていくとは、この時の二人はまだ予想だにしていなかったのであった……。全国各地を駆け巡り、ゆき姫様を助け出す為頑張れ、ゴエモン! といった感じになっています。
本作には「がんばれゴエモン」のRPGシリーズが初出のキャラも何名か出てきますが、そちらと繋がりがあるのかどうかは作中ではぼかされています。ちなみにそのうちの一人ヤエちゃんは、その人気の高さから後にプレイヤーキャラへと出世していく事になります。そんなにくノ一も好きかお前ら。
前述の通り、本作のマップは画面見下ろし型の『町マップ』と横スクロールの『アクションマップ』に分かれています。ここではそれぞれのマップの特徴と操作方法にそれぞれ触れていきたいと思います。
町マップでは左右にスクロールするマップの中を移動していく事になります。上下に続く道や建物の中に入っていく事で画面は切り替わり、道の場合は別のマップに、建物の場合はアクションマップへの入口や何かの施設にそれぞれ移動します。
操作は十字キーで移動、Bボタンでジャンプ、AボタンかYボタンで攻撃。攻撃は上下左右どの方向にも放つ事が出来、なるべく敵と重ならない位置からの攻撃が求められます。
マップ上をうろついているキャラは基本的に全員敵で、倒すとお金やアイテムを落とします。但し女性キャラだけは例外で、触れるとお金が貰え逆に攻撃すると罰金を取られます。
敵を倒すとたまに出てくる招き猫を取ると、武器が二段階まで強化されます。但しゴエモンの最終段階だけは攻撃判定が先端のみになる為、却って使いにくくなるかも……。
こちらも敵を倒すとたまに出てくる巻物は、後述の術を使用するのに使います。とりあえずこの町マップでは使い道がないです。
攻撃方法はRボタンで切り替える事も出来、通常攻撃の他にお金を消費して投げる小判と手裏剣、お金はかからないが持っている数だけしか投げられないかんしゃく玉へと切り替えられます。それぞれ使用中にお金やストックが切れると自動的に通常攻撃に戻り、補充がされるまでその攻撃は出来なくなります。
町マップには実に様々な施設があり、中には存在するステージが限定されている施設なんかもあります。この際なので、それらも纏めて一気に紹介してしまいます。
よろず屋では攻略に役立つ様々なアイテムを売っています。アイテムは一度買ったら店頭から消えるので同じアイテムが複数欲しければ一度店を出て入り直すしかありませんが、買えば買うほどアイテムの値段はつり上がっていくので無駄遣いは厳禁。
うまいもん屋では食べ物を売っており、買うとその場でライフが回復します。買った食べ物の値段により回復量は変わり、高い食べ物の方が基本的に回復量が多くなります。
おふろ屋はライフを大幅に回復してくれます。過去作のように二人プレイで入ると片方のライフしか回復しない……という事はないので安心。
宿屋はライフを全快にしてくれます。ライフが残り少ない状態でここに入ると地獄に仏。
秘密の迷路はアイテム大量獲得のチャンス。3D迷路の中に隠されているアイテムをゲットしましょう。迷った場合はギブアップも出来ますが、当然アイテムは獲得出来ません。
道場はお金とライフを消費する事で、アクションマップでのみ使用可能な術を使えるようになります。術の種類と効果は以下の通り。
一撃必殺の術は、画面上にいる全ての敵にダメージを与えます。効果時間が一瞬な唯一の術で、強力ですが使うタイミングはよく考える必要があります。
お助けキャラの術は、ゴエモンは張り子の虎、エビス丸は赤べこに乗って一定時間無敵状態で進みます。但し敵と接触したりダメージゾーンに触れる度に、術の効果時間は短くなっていきます。
空中飛行の術は、その名の通り一定時間空を跳ぶ事が出来ます。但し攻撃は出来なくなる上ダメージを受けると即効果が切れるので注意。
無敵変化の術は、変身して一定時間無敵になります。こちらは敵と接触しても効果時間が短くなりませんが、習得にかかるお金もライフもあまりに多い……。
気を付けなければならないのは、習得した術を使えるのはそのステージ限りだという事。なおお金があってもライフが足りない場合は、術を習得出来ません。
旅の日記屋ではパスワードを聞く事が出来ます。お金やアイテムなどを丸ごとセーブしておけるのはここでのパスワードだけなので、マメにメモしておくといいでしょう。
宝くじ屋では十枚一組の宝くじを買ってルーレットで抽選します。一等が当たればでかいが大抵はしょっぱい当たりなのは現実もゲームも一緒。
賭博屋ではサイコロを三つ振って出た目の合計が大きいか小さいかを当てます。掛け金は自分で決められるので、大きく張るか小さく地道に賭けていくかはプレイヤー次第。
アルバイト屋ではミニゲームでお金を稼ぐ事が出来ます。選べるミニゲームは以下の通り。
もぐら退治は、早い話がもぐら叩き。制限時間内に叩いたもぐらの種類と数で、最終的な報酬の額が決まります。やるのに一番お金を取られる代わりに、一番安定してお金を稼げるミニゲーム。
ペンキ塗りは、自動的に進んでいくローラーの方向を変えながらフィールドにペンキを塗っていきます。壁にぶつかるか既にペンキを塗った部分を塗ってしまうとアウトで、そこまでに塗ったペンキの範囲で報酬が計算されます。ローラーのスピードはだんだん早くなっていくので後半の制御は至難の業ですが、やろうと思えばもぐら退治より稼げる……かも?
鬼退治は、簡単に言うと的当て。画面奥にいる鬼の頭に玉を当てればいいのですが、これが全然照準が合わない。一番やるお金が少ないからといって選ぶと、大体痛い目を見ます。
ゲームセンターもミニゲームを遊ぶ事が出来ますが、こちらはお金を稼げない純粋なミニゲームです。遊べるミニゲームは以下の通り。
かべくずしは一人用専用ゲームです。そのものズバリ、ブロック崩しが楽しめます。三回ミスをすると終了。
ホッケーは二人用専用ゲームです。エアホッケーの要領で、相手のゴールにパックを入れて五点先取した方が勝ち。一セット終われば終了。
グラディウスは一人でも二人でも遊べるゲームです。初代「グラディウス」の一面の簡易版を遊ぶ事が出来ます。簡易版なのでオプションは二つまで。ボスを倒すか、ミスをすると終了。
占い屋はお金を払う事で占いをしてくれます。占いの結果によって、占い屋の周りに敵が大量に沸いたり女の子が大量に出たりします。
見世物小屋はステージ3とステージ6にのみある施設です。お金を払う事で、ちょっとしたショーを見る事が出来ます。ショーの内容はステージ3とステージ6で異なります。
絵合わせはステージ3とステージ6にのみある施設です。いわゆる神経衰弱で、合わせたパネルに応じて賞金が加算され、全てのパネルを合わせると更にボーナス。お手つきは一回までで、二回間違えると終了。そこまでに合わせたパネルの総額の賞金が支払われます。
旅行代理店はステージ1にのみある施設です。ここで三種類あるコースの中から一つを選んで旅立てばステージ1はクリア。選んだコースによってライフの回復量が変わり、高いコースほど回復量が多くなります。
ハンバーガーショップはステージ3にのみある施設です。内容は普通のうまいもん屋と大体一緒ですが、うまいもん屋と違ってハンバーガーをテイクアウトする事も可能です。
競馬はステージ3にのみある施設です。好きな組み合わせに賭けて、当たれば掛け金と配当から計算された賞金が支払われます。と言ってもこの手のゲーム、まず当たらないのが常なんですが……。
なぞなぞ小屋はステージ3にのみある施設です。複数参加の早押しの三択クイズで、正解すると解答席が一段上昇、間違えると逆に一段下降します。他の解答者より先に頂上に到達すると優勝、賞金を獲得出来ます。他の解答者は問題途中だろうが容赦なく解答ボタンを押して答えを言ってくるので、正解率は高くないとはいえそう簡単には優勝させて貰えません。
町マップでは様々なアイテムを手に入れ、アクションマップに備える事になります。町マップで手に入るアイテムには、以下の種類があります。
かんしゃく玉はかんしゃく玉で攻撃する為に必要なアイテムです。手に入るのは大体三個か五個単位。
わらじは移動スピードとジャンプの飛距離をそれぞれ上昇させます。上昇は二段階までですがダメージを受けると折角買ったわらじが一つなくなる為、移動スピード低下を防ぐ為にもそれ以上のストックを常に持っておくのをお勧め。
頭用防具は主に空中からの攻撃から身を守ってくれます。回数制で、一定回数攻撃を防ぐと壊れてしまいます。種類は効果の低い順に笠、鉄カブト、金のカブト。
体用防具は敵の体当たりや飛び道具など、幅広い攻撃から身を守ってくれます。こちらも回数制で、一定回数攻撃を防ぐと壊れてしまいます。種類は効果の低い順にみの、鎖かたびら、よろい。
食べ物はライフがなくなった時、自動的に一定値回復してくれます。非常時の強い味方ですが、これを盗んでいく敵もいるので注意。種類は効果の低い順にハンバーガー、おにぎり、梅入りおにぎり。
砂時計は残り時間をその場で回復してくれます。本作の制限時間はかなり多めに見積もられているとはいえ、油断は禁物。
大入り袋は1up。滅多に出ないけど取れたらラッキー。
通行手形はステージ6にのみ登場するアイテムです。これがないと、アクションマップに行く事が出来ません。
辞書はステージ8にのみ登場するアイテムです。町マップにいる異人達から情報を聞き出すのに必要となります。
各アイテムを持てる数には制限があり、それ以上を買う事は出来ません。今持っているアイテムの個数はセレクトボタンでいつでも見る事が出来るので、まめに確認しておきましょう。
またステージによっては、町マップのどこかに隠された入口がある事も……。中はアイテムで一杯なので、余裕があれば探してみるのもいいかも。
アクションマップでは上下左右にスクロールする中を奥にいるボス目指して進んでいく事になります。一度入ったらミスしない限り町マップには戻れないので、万全の準備を整えてから突入しましょう。
操作は十字キーの左右で移動、上下でハシゴの昇降。下は伏せるのにも使い、伏せたままでの移動も可能です。
Bボタンでジャンプ、AボタンかYボタンで攻撃。上下の移動が自由な段差にいる場合、十字キーの下を押しながらジャンプで下段に降ります。また十字キーの上を押しながら攻撃で、上方向にも攻撃を出す事が出来ます。
Xボタンで術の使用。複数術を使える状態の時は、スタートボタンでポーズをかけている最中に十字キーの左右でセットする術を選ぶ事が出来ます。
また二人プレイの時限定で、おんぶプレイをする事が出来ます。やり方は片方が伏せている時に、もう片方がジャンプでその上に乗ればOK。おんぶ中は上にいる方が攻撃担当、下にいる方が移動担当となります。これによりアクションが苦手なプレイヤーは、相方にアクションを任せ自分は攻撃に専念する事も可能。
アクションマップ内には至る所に壺が置かれており、攻撃を当てて壊すとお金や様々なアイテムが出現します。以下に記すのは、アクションマップでのみ登場するアイテムです。
ハートは取ったその場でライフを全快します。二人プレイだとこれの取り合いになる事必至。
金の招き猫はライフの最大値を2増やしてくれます。当然効果があるのは取ったプレイヤーだけなので、一緒に遊ぶ相手次第ではこれも取り合いに……。
これぞうくんはいわゆる中間セーブアイテム。一人プレイ時、ミスをすると通常は入口に戻されますが、これを取っていると入口から再開するか取った場所から再開するか選べるようになります。複数取っている場合は、その全ての箇所から再開場所を選べます。
ステージによってはアクションマップがなくすぐにボス戦になったり、そもそもボスがいないステージなんかも存在します。どちらにせよ本作の時点ではゴエモンとエビス丸の性能の差は通常攻撃の強化の最終段階の使い勝手が僅かに違うのみでどちらも同じような感じなので、二人プレイでよくあるキャラの取り合いは起きにくいかと思います。
本作はパスワードコンティニュー制なのですが、そのパスワードには二通りが存在します。一つは前述の旅の日記屋で得られるパスワード、もう一つはゲームオーバー時にコンティニューしない事によって表示されるパスワードです。
前者は長いですが、お金やアイテムなどが完璧に保存された状態で再開します。後者は短いですが、何も持っていない初期状態で再開します。
理想はやはり旅の日記屋のパスワードでの再開ですが、緊急時の為にゲームオーバー時のパスワードもメモしておくといいかも。ゲームオーバー時しか表示されないというのが難点ですが……。
本作での一番の思い出と言えばステージ3、からくり遊園地です。ここでは作中で出てくる全てのミニゲームで遊ぶ事が出来、先に進もうという意欲を根こそぎもぎ取ってくれます。
特に絵合わせなんかは配置パターンが少なめなので、その気になればここで荒稼ぎも可能です。本作は何かとお金がかかるゲームですので……。
ここで制限時間一杯まで遊んでから先に進むのが、筆者のいつもの遊び方。ハッキリ言って敵の思う壺ですが後悔はしていない。
スーパーファミコン初期のアクションゲームにしてはボリュームは満点で、長く遊べる出来だと思われる本作。難易度もコナミらしくなかなか歯応えがあるので、見かけたら是非遊んでみて下さい。
とりあえず、今回はこれにて。




