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第百七十夜 す~ぱ~ぷよぷよ

一つ、ゲームの話でもしようか。



現在もシリーズが出続けている対戦パズルゲームの雄、「ぷよぷよ」が初めて世に出たのは1991年の事。しかし当時は「テトリス」のようにだんだん難易度が上がっていく中どこまで遊べるかといった遊び方がメインで、対戦モードは搭載されてはいるものの対人戦限定のおまけのような扱いでした。

しかしアーケード版開発の際、コンピューターとの対戦をメインに押し出したところこれが大ヒットを記録。「ぷよぷよ」は一躍、パズルゲーム界のメジャータイトルへと躍り出る事になるのです。

その後「ぷよぷよ」は、パソコン家庭用機問わず様々な種類の機種に移植される事となります。今回は、そのスーパーファミコン版のお話。

タイトルは「す~ぱ~ぷよぷよ」。対戦パズルゲームとしての第一歩を踏み出した頃の「ぷよぷよ」とは、一体どんなゲームだったのでしょうか。


本作はスーパーファミコン初期、バンプレストよりスーパーファミコンにて発売されたパズルゲームです。開発元のコンパイルは当時は自社で開発したゲームを当時の主力パソコンであったPC-98シリーズ以外では自社展開せず、他社に委託して販売するという形を取っていました。

以下は一応存在するストーリー。遥か昔に封印されし呪文、『オワニモ』。如何なる魔物でも時空の彼方に消し飛ばす事が出来るという恐ろしい呪文であったが、その実、あまりにも役に立たない為封印されたのであった。というのもこの呪文、全く同じ形、全く同じ色の魔物が四匹以上並んでいないと発動しないのだ。しかしある時、一人の魔導師の卵の少女がその封印を解いてしまった。その少女の名はアルル・ナジャ。アルルは封印から解き放たれた『オワニモ』を武器に、果てしない『ぷよぷよ地獄』へと挑む。果たして『ぷよぷよ地獄』の先で、アルルを待ち受けるものとは――!? といった感じになっています。

普通はパズルゲームにストーリーもクソもないんですが、「ぷよぷよ」シリーズには(一応)あるんです。まあ大体しょうもないストーリーなんですけども。


基本ルールを説明します。まず、上から緑・赤・青・黄・紫の五色のうち二色、または一色のスライムの形をしたブロック(以下ぷよ)が二つ繋がった状態で落ちてきます。ぷよは一番下まで落ちると停止し、ぷよが停止するとまた次のぷよが降ってくるようになっています。

ぷよは最初縦に二つ繋がった状態で降ってきますが、回転させる事で横にしたり、色の位置を入れ替えたり出来ます。もし段差がある場所にぷよを横に置いた場合、ぷよは千切れてそれぞれの段差の一番下まで落ちて行きます。

同じ色のぷよを隣同士に置くと、そのぷよはくっつきます。くっつけ方は縦でも横でも、真っ直ぐでも折れ曲がっていてもOKですが斜めにはくっつきません。

そして同じ色のぷよが四つ以上繋がると、そのぷよは消滅します。消滅したぷよの上に別の色のぷよがあった場合は、ぷよの消滅した後の一番下まで落下していきます。

この時落下したぷよと下にあったぷよが繋がって、更に消える事を『連鎖』と言います。この連鎖を如何に一度に多く起こすかが、本作の鍵となる部分です。

なお次に降ってくるぷよの色の組み合わせは、『NEXT』と書かれたスペースに表示されます。これを参照する事で、ある程度なら狙って連鎖を出す事も可能となります。

後述する『とことんぷよぷよ』以外のモードの時、ぷよを消す度に相手のフィールドに透明な『おじゃまぷよ』を送り込む事が出来ます。おじゃまぷよはそれのみを何個隣合わせても消える事はなく、隣接したぷよを消す事によってのみ同時に消し去る事が出来ます。

おじゃまぷよを送り込める数は一度に消したぷよが多いほど、そして連鎖を沢山するほど増えていきます。相手フィールドに一度に送り込めるおじゃまぷよの数は三十個までですが、落ち切らなかった分のおじゃまぷよは次のターンにまた降る事になります。

自分が、そして相手が今どれだけのおじゃまぷよを送り込んでいるかはフィールド上部に『予告ぷよ』として表れます。予告ぷよの形はおじゃまぷよが多くなる度変化し、前述のおじゃまぷよ三十個分は岩のような形をした予告ぷよ、通称『岩ぷよ』一個分となっております。

こうして相手がぷよを消せずに詰まるなり大量のおじゃまぷよで相手のフィールドを埋め尽くすなりして、相手が左から三番目の縦の列の一番上までぷよを詰まらせ窒息すればこちらの勝利。逆にこちらが同じ列の一番上までぷよを詰まらせ窒息すればこちらの敗北となります。

基本ルールの説明は以上です。以下からは、本作の各モードを解説させて頂きます。


本作のモードは全部で三つ。それぞれ『ひとりでぷよぷよ』、『ふたりでぷよぷよ』、『とことんぷよぷよ』となっております。


『ひとりでぷよぷよ』はコンピューターとの対戦モードで、本作のメインモードです。このモードを選ぶと更に三つに分かれた難易度の中から一つを選び、それを遊ぶ事になります。

このうち『やさしい』は練習用ステージとなっており、三人を勝ち抜けばデモが流れて終了となります。ぷよの色も三色までとなっており一見簡単そうですが、色が少ないという事は敵もそれだけ連鎖をしやすいという事であり、一番簡単な難易度だからと気を抜くと痛い目に遭います。

『ふつう』『むずい』では本格的にコンピューター相手に勝ち抜く事になり、『ふつう』は十三人、『むずい』は十人を相手にする事になります。『ふつう』と『むずい』ではスタート地点が異なるだけであり、『むずい』にしたからといってコンピューターの思考パターンが強化される訳ではないようです。

各キャラとの対戦前には必ずコミカルなやり取りがデモとして流れるようになっており、通称『漫才デモ』と呼ばれ人気を博しました。次作「ぷよぷよ通」のアーケード版で漫才デモが一度なくなった時には、『漫才デモを復活させて欲しい』という要望が多数寄せられたくらいです。

対戦する事になるキャラ達にはそれぞれ固有の思考パターンがあり、大連鎖を狙ってくる者、二、三連鎖を手堅く連発してくる者、最初に決まった積み方をしてそれからぷよを消しにかかる者とそのパターンは様々です。それらのパターンが漫才デモと合わせてそのキャラの個性を確立するに至っており、数々の人気キャラを生み出す切欠となりました。

ちなみにコンティニューに制限はなく、スコアが0になる以外のペナルティもありません。勝負は時の運とも言いますので、勝てなくても諦めない事が肝心。


『ふたりでぷよぷよ』は対人戦モードとなっており、一緒に遊ぶ相手がいればこちらの方がメイン足り得ます。ルールはコンピューター戦と変わりないのですが、対人戦ならではの要素もあります。

このモードではまず、お互いがどの難易度でプレイするか決める事になります。難易度には激甘、甘口、中辛、辛口、激辛の五つがあり、それぞれぷよの落下スピードや最初に降ってくるおじゃまぷよの数が異なっています。

これによりハンデを付けて対戦する事が可能であり、同じくらいの腕前なら同じ難易度で遊べばいいし、腕前に差があるなら上手い方は激辛、そうでない方は激甘でそれぞれ遊ぶなど、幅広い相手と楽しく遊べるようになっています。当時対戦要素があるゲームで、こういった作りはまだ珍しいものでした。

対戦中はお互いの通算勝利数が記録され、どちらがより多く勝ったか解りやすくなっています。例え負け越しても、不貞腐れないように。


『とことんぷよぷよ』はアーケード版以前にメインだったモードで、窒息するまで延々とぷよを消し続けスコアを競うのが目的です。一人用と二人用どちらでも遊べますが、二人用にしても他モードのような対戦要素はなく互いに独立したプレイになります。

プレイ前にまずそれぞれ、激甘、中辛、激辛の三つの難易度の中から遊ぶ難易度を選びます。これら難易度はそれぞれ開始時のスコアとぷよのスピード、それと出てくるお助けキャラの種類が異なっています。

このモードでは例え二人用でも、相手におじゃまぷよを送り込まれる事はありません。ゆっくりじっくり、ぷよを消す事に集中出来る訳です。

またこのモードのみ現れるお助けキャラもいます。それが『カーバンクル』と『びっぐぷよ』です。

『カーバンクル』は通常画面中央下のスペースで踊っている黄色い小さな生き物で、ぷよの上に置くと積まれたぷよの中をランダムに下に向かって動き回り、通った後のぷよの色を最初に置かれたぷよの色と同じにしてしまうという超強力なキャラです。ぷよが積み上がってピンチな時ほど、特にその効果を発揮します。

『びっぐぷよ』は置かれた横二列の下にあるぷよを、纏めて押し潰して消してしまいます。カーバンクルと違い、びっぐぷよで消したぷよはスコアに加算されません。

こちらもピンチな時ほど効果的なんですが二列にしか効果がない上スコアも増えないので、カーバンクルと比べるとちょっぴり残念なお助けキャラになっています。


さて「ぷよぷよ」シリーズの土台はこの初代で既に完成している訳なんですが、そこは初代、まだまだ粗がありました。具体的に言うと、逆転要素に乏しいのです。

「ぷよぷよ」シリーズは初代の時点では、とにかく先に連鎖を組んだ方がまず勝利するという大味なゲームバランスでした。この為上級者同士の戦いだと、どちらがより早く連鎖を組み上げるかのスピード勝負になりがちでした。

この欠点を改善する為、コンパイルは逆転要素を搭載した新たな「ぷよぷよ」の開発に取り組みます。その結果は……また次回にてお話ししましょう。


ところでこの「ぷよぷよ」シリーズのキャラクター、元は同じコンパイル開発の「魔導物語」というパソコンのRPGに登場するキャラ達だったりします。ぷよも元々は、同作の雑魚モンスターでした。

ところが「ぷよぷよ」がメジャータイトルにのし上がった事で、「魔導物語」は知らないけど「ぷよぷよ」は知っているというユーザーを大量に生み出す事になってしまいました。この辺りの関係は、ハドソンの「桃太郎伝説」と「桃太郎電鉄」の関係に似ていますね。

コンパイルが倒産した現在、「ぷよぷよ」シリーズ及び「ぷよぷよ」シリーズに登場経験のある「魔導物語」キャラの版権はセガに、「魔導物語」と「ぷよぷよ」シリーズに出ていない「魔導物語」キャラの版権はD4エンタープライズにあるという複雑な事になっています。つまり、「魔導物語」に「ぷよぷよ」シリーズに出たキャラは出られないし、「ぷよぷよ」シリーズにもコンパイル時代に登場経験がない「魔導物語」キャラは出られない訳です。

元は共通した世界だったのに、二つが一緒になる事は版権が一ヶ所に纏まらない限りもう叶わない……。何だかちょっぴり悲哀を感じます。


パズルゲームでありながら対戦をメインに打ち立てた本作は、まさに「テトリス」に続くパズルゲーム界の革命児となりました。そして次作「ぷよぷよ通」にて、シリーズの基本ルールは完全に確立される事となるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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