第百六十八夜 SUPERヴァリス 赤き月の乙女
一つ、ゲームの話でもしようか。
以前ご紹介した日本テレネットのアクションゲーム、「夢幻戦士ヴァリス」。初代がファミコンに移植された後、家庭用機では長らくPCエンジンを主戦場にしてきたこのシリーズでしたが、スーパーファミコンの発売に伴い、初代以来久々に任天堂機でも発売される事となりました。
しかも内容はPCエンジンにて発表されたばかりの新作。シリーズものなのにいきなり新作で大丈夫なの?とお思いでしょうが、そこは前作までとのストーリーの繋がりを薄くした新章として展開するなど上手い事やっています。
その名は「SUPERヴァリス 赤き月の乙女」。「ヴァリス」シリーズ新作は、タイトル通りスーパーな出来になり得たのでしょうか?
本作はスーパーファミコン初期、サンソフトよりスーパーファミコンにて発売された横スクロールアクションゲームです。ナンバリングはされていませんが「ヴァリス」シリーズとしては四作目に当たり、世界観の繋がった正統な続編となっております。
以下はストーリー。ヴァリスの女神となった優子の元、平和と秩序を取り戻した夢幻界。しかし空に赤き月が昇ったその時、赤き月に封じられていた魔幻衆が復活を果たす。再びの夢幻界の危機に優子はレナという少女を呼び寄せ、大いなるヴァリスの力が宿る神の剣『ヴァリスソード』を授け新たなるヴァリスの戦士に任命する。果たしてヴァリスの戦士となったレナは魔幻衆の王ガルギアの率いる軍勢を打ち倒し、夢幻界に平和を取り戻す事が出来るのだろうか――? といった感じになっています。
ファミコン版の初代しかやった事のないプレイヤーは、いきなり女神になっている優子に驚いたと思います。この辺の経緯はPCエンジンで出た前作「ヴァリスIII」にて描かれているのですが、それを知る為にPCエンジン本体を買うようなプレイヤーはまずいなかったと思われ……。
ちなみにこの新主人公レナですが、前主人公優子の人気は超えられなかったのか主人公を務めたのは本作のみで、また「ヴァリス」シリーズ自体も本作を最後に正式なナンバリングは途絶えてしまう事になります。どこのシリーズでも、人気の高い主人公の後を引き継ぐのは楽ではない事が窺えます。
なお今回のあらすじですが、正確なストーリーが書かれたサイトが見当たらなかった為朧気な記憶と断片的な情報のみで構成されています。どこかに間違いがあったらすみません。
操作方法はBボタンでジャンプ、Yボタンで攻撃のオーソドックススタイル。レナの武器は剣ですが、攻撃範囲を表す斬撃エフェクトは割と広めで思ったよりは遠くまで攻撃が届きます。
各ステージ内には様々なアイテムが置かれており、取ると取ったアイテムに応じて様々な特殊攻撃が出来るようになります。各アイテムはそれぞれ使用出来る回数が限られており、使い切ると自動的に消滅するようになっています。
アイテムは最大六個までストックしておく事が出来、ストックの中からLRボタンで装備したいアイテムを選択し、Xボタンを押す事で正式に装備されます。まだ今装備しているアイテムの使用回数が残っている状態で新しいアイテムを装備すると、前のアイテムはそのまま破棄されてしまいます。
アイテムを装備したら、十字キーの上を押しながらYボタンでアイテム使用。但し中には、装備するだけで効果を発揮するアイテムもあります。
注意事項としては、ゲームオーバーとなりコンティニューをするとアイテムを全部没収された状態でのリスタートとなる事。大事にしすぎて無駄にしないよう、アイテムは惜しまずガンガン使ってしまいましょう。
本作は挑む難易度をオプションで選ぶ事が出来るので、アクションゲーム苦手な人でも安心……と思いきゃこれがイージーでもえれえ難しい。イージーだろうが敵の数も攻撃も容赦なく、おまけに難しいゲームによくあるダメージを受けると後ろに吹き飛ぶノックバック方式が採用されている為、狭い足場の上でダメージを貰った日には……。
幸いコンティニューは無限なので繰り返しプレイしていればいつかはクリア出来る(と言うかした)のですが、本作はクリア後に優子によるプレイ評価がなされ、アイテムを使えば使うほど、コンティニューをすればするほど評価が下がってしまう事に……。プレイ評価はエンディング後に出されるので、エンディング内容には影響しないのが救いですが……。
ちなみに本作、これでもPCエンジン版よりは簡単になった方なんだそう。一体PCエンジン版はどれほどの超絶難易度だったというのか……。
さて「ヴァリス」シリーズと言えば、美麗なビジュアルシーンを売りにしていたシリーズでもあります。その例に漏れず、本作のビジュアルシーンもスーパーファミコン初期のものとしてはかなりクオリティが高く仕上がっています。
しかしそこは悲しいかなスーパーファミコンの限界、ビジュアルシーンは全て静止画で進み枚数自体も少ないです。ストーリーが解るようなビジュアルシーンに至ってはタイトルデモ、ラスボス戦直前、そしてエンディングの三ヶ所しかありません。
PCエンジン版はどうだったのか解りませんが、これでは新主人公レナの存在をアピール出来なくても無理はないかも……。何せ本作でレナが喋るのは、ラスボス戦直前のワンシーンのみなのですから。
ビジュアルシーンで売ってた作品を、ビジュアル苦手なスーパーファミコンで出すには無理があった。最大の売りを奪われた本作は、ただ難しいだけのアクションゲームとなったのでした……。
とりあえず、今回はこれにて。




