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第百六十五夜 ガデュリン

一つ、ゲームの話でもしようか。



年が明けましたね。頭に何でも『初』が付く季節がやって参りました。

初詣、初日の出、初夢……。どれも何だかワクワクしてしまうのは筆者がまだ精神的に子供だからなんですかね。

そんな訳で今回は『初』繋がり。スーパーファミコン初のRPGをお届けします。

確認の為の資料は少なく、記憶もあやふや。そんな新年早々不安が残る状態での幕開けですが、今回のテーマ「ガデュリン」、いってみましょう。


本作はスーパーファミコン初期、セタよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。実は原作ものであり、原作小説を手掛けた羅門祐人氏が同じくシナリオを担当した「ミネルバトンサーガ」の世界設定と一部設定が共通した部分があったりします。

以下はストーリー。人類が宇宙へと進出し、惑星間の航行が盛んに行われるようになった時代。地球でサラリーマンをしているリュウは、仕事で惑星間を移動している最中、宇宙船のトラブルにより近くの惑星に不時着を起こしてしまう。幸いにも惑星には酸素があり、呼吸の心配をする事はなかったが、不時着の衝撃により宇宙船は完全に故障、飛び立てる状態ではなくなってしまった。しかしリュウにはある確信があった。――外から見たこの星の形状は、明らかに自然に出来たものではなかった。この星には必ず、高度な文明を持った生物が存在する――。宇宙船に積んであった非常用の装備に身を包み、地球に還る為リュウは未知の大地へと一歩を踏み出す。その先に、自分の運命を変える出会いが待っているとも知らずに――。といった感じになっています。

本作の世界観は基本的にファンタジー寄りなんですが、そんな中で主人公がサラリーマンというのも珍しい気がします。この辺は小説が原作ならではという感じがしますね。

あと今回は詳しいストーリーが掲載されたサイトが見当たらなかったので、完全に記憶任せです。どこか間違いがあったらすみません。


さて九十年代のRPGは、良くも悪くも独自色を多く出しているソフトが多いのが特徴です。その例に漏れず、本作も独自色を出す努力をしています。

本作で印象深いものと言えば、やはり戦闘です。本作の戦闘方式はターン制のコマンド入力式というオードソックスなものですが、取れる行動その他諸々が全然オードソックスじゃありません。

まず『ゆうげき』というコマンド。このコマンドを選ぶと敵が直接攻撃してきた際、反撃を試みるようになります。

必ず反撃に成功する訳ではありませんが、複数の敵に攻撃されてもその一匹一匹に反撃を試みる為運が良ければ一ターンに複数の敵を攻撃する事が出来ます。まだパーティーの人数が少ない序盤ほど、効果を発揮するコマンドと言えます。

しかし困り者なのがこのコマンド、運が悪いと数ターンに渡って行動不能になる『ふっとび』状態になってしまうのです。体感的には敵が強ければ強いほど吹っ飛ぶ確率が上がり、後半の遊撃は命取りになるだけだった気がします。

またこのふっとび状態は敵の攻撃でもなる事があり、さっき吹っ飛んだと思ったらまた吹っ飛ばされ……という半永久的なループ状態に陥る事もままあります。こちらが吹っ飛んでいる時は敵も同時に吹っ飛んでいる事が多いのが、救いと言えば救いでしょうか。

逃げる際も、何と本作では三種類のコマンドの中から逃げ方を選べるようになっています。以下に、簡単にそれらの違いを述べていきます。


『そっこう』はその名の通り、脇目も振らずに一目散に逃げ出します。単純な逃げ方の為か、成功率は一番低い気がします。

『くらまし』は物陰などに身を潜めながら、姿を眩まします。体感的にはこれが一番成功率が高い?

『ばらまき』は敵の前にお金をばら蒔き、それに気を取られている隙に逃走。唯一お金を消費する割に成功率は他と大差ないのはどういう事なのか……。


この説明からも解るように、三種類あるものの大体はくらましを選んでおけばとりあえず間違いないです。とは言っても本作はそもそもの逃走確率が大して高くないので、結局はどれもどっこいではあるんですが……。

後は敵を一時的に味方につけるという『そうだん』というコマンドもあるのですが……正直言ってプレイ中一度も使った事がないので、よく解らないのですよね。そもそも「女神転生」シリーズのように、モンスターを連れ歩くようなゲームじゃないし。

他に変わったところと言えば、各キャラにスタミナが設定されているところでしょうか。このスタミナは戦闘開始時は100から始まり、何か行動を取ったり敵から攻撃を受けると少しずつ減っていきます。

そして0になるとそれ以上行動出来なくなるという代物なのですが……毎ターン頭に必ず少量回復するようになっているので、実際のところスタミナ不足で一切行動出来なくなるというような事はそう起きなかったりします。唯一遊撃時のみは反撃の都度スタミナを消費する為、スタミナ不足で反撃不能になる事は有り得ますが……。

なお本作では敵を全滅させた後ではなく敵にダメージを与えるごとに経験値が入り、レベルが上がる数値になればその場でレベルアップします。レベルアップするとHPやMP、スタミナが全快するので、一発逆転の要素も持っています。


さてこれに関しては、別枠を設けて説明させて頂きます。本作をやった事のある人の間では、本作、物凄く死にやすい事で有名です。

そう、本作、かなーり戦闘バランスが不安定なのです。その原因は、本作のクリティカルが強力すぎる事にあります。

本作のクリティカルには二種類あります。『げきれつヒット』(敵の場合は『つうれつヒット』)と『きわめのいちげき』(敵の場合は『なみだのいちげき』)です。

げきれつヒットは、通常攻撃と同じダメージを計四回与えます。これだけでもそこいらのゲームのクリティカルよりも大分性能がいいんですが、こっちはまだマシな方。

問題はきわめのいちげきの方で、その倍率は何と通常攻撃の約十二倍。こんなのを喰らえば勿論敵はまず消し飛びますし、逆にこちらが喰らえばHPがフルだろうが一撃で逝きます。

筆者も初めてこれを喰らった時は思わず呆然となり、その場でスーファミの電源をオフにして暫くの間本作を封印しました。それぐらいショックだったんですよ……。

出る確率は決して高くないとはいえ、出てしまうとそこで勝敗が決するレベルの威力なので、プレイ中は自分が出すよりも敵から喰らう可能性の方に怯えて過ごす事になります。何せ防ぐ手立てが一切なく、完全な運任せなので……。

ちなみに筆者は仲間のヒロインファナの魔法『しゃくねつ』で敵を放心させ、行動不能にしてから叩くという手をよく使ってました。直接攻撃さえさせなければ、とりあえずクリティカルを喰らう事はないので……。


そういえば本作は、仲間のシステムもちょっとだけ変わってました。本作は四人パーティー制で、そのうち主人公リュウとヒロインのファナは枠が固定されています。但しファナは序盤から中盤は敵に連れ去られてパーティーから抜けますが。

そして残りの二枠はそれぞれ魔法使い枠と戦士枠に分かれ、それぞれに該当するキャラが入れ替わり立ち替わりするようになってるんですが、これらの仲間、枠だけでなく使える魔法や装備可能な品まで完全一致。それも古い仲間の離脱と新しい仲間の加入は同時に行われるので、いちいち仲間を入れ替える意味があんまりないように思えてしまいます。

しかしそこはやはり別々の仲間という事で、古い仲間と新しい仲間は交替時のレベルだけは一致しないようになっています。ここで問題になるのが、そこまでに古い仲間のレベルを上げすぎてしまった場合。

新しい仲間が加入する際のレベルはこちらのレベルにかかわらず固定なので、古い仲間の方がレベルが高くなってしまう事も有り得ます。そうなると交替によって、仲間が弱体化する現象が起こってしまう訳です。

そしてそれが鳴り物入りで加入した人物だった場合、どう考えても強さがそこまでに伝え聞いた評判に合わずとんだ期待外れとなる事も……。あなたの事ですよタオ・ホーさん。

ただこのパーティー、全員揃った状態でのパーティー間のバランス自体は上手く取れていたりします。……クリティカルさえ出なければですが。


ストーリー後半、リュウ達はラスボスを倒す為の力を得る為『ディガンの魔石』というアイテムを集める事になります。このディガンの魔石は、本作と世界観を同じくするパソコンのRPGのタイトルにもなっています。

ですがこの回収作業が、もんのすごおおおく面倒臭いのです。その理由は、ディガンの魔石が見つかる場所にあります。

ディガンの魔石は、今までに訪れたダンジョンの、それまで開けられなかった扉の向こうに隠されているのです。そして本作では、何かイベントが起こる度に結構頻繁にダンジョンに向かう事になります。

つまり、今までに訪れた、幾つも幾つもあるダンジョンを全て回り直さなければならないのです。それらダンジョンのどこに扉があったかなど当然普通は覚えていないので、探す際は隅から隅までしらみ潰しです。

これに本作のもっさりとした移動速度が加わった様は、まさに苦行。クリティカル被弾時に続き、本作を投げ出したくなった瞬間です……。


小説原作だけあってストーリーそのものはRPGの中ではいい方に入るし、意欲的な試みも多数見受けられるのですが、プレイヤーのやる気を削ぐような要素がどうにも多い。とはいえマイナーな会社から出たRPGとしては、とりあえず及第点であるとはおもいますが。



とりあえず、今回はこれにて。

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