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第百六十四夜 モンスターメーカーキッズ 王様になりたい

一つ、ゲームの話でもしようか。



ボードゲーム、皆様はお好きですか。筆者は割と好きな方です。

ボードゲームと言えばプレイヤー同士の駆け引きとか蹴落とし合いが醍醐味ですが、筆者はそういう事は一切せずに一人二役で駒を操りながらのんびり遊ぶのを好みます。こんな遊び方をしているのは、恐らく筆者だけでしょうが。

とはいえボードゲームはパーティーゲームとして遊ぶのに最適という需要があるからか、なかなか中古市場には出回らなかったりします。今回はそんな中で偶然手にしたボードゲームのお話。

実はこのゲームとの初めての出会いは、友人宅だったりします。そこで遊んだものをある日中古屋で見つけ、値段も安かったので自分でも購入してみたという訳です。

その名は「モンスターメーカーキッズ 王様になりたい」。果たしてどのようなゲームなのでしょうか。


本作はスーパーファミコン黎明期、ソフエルよりスーパーファミコンにて発売されたボードゲームです。その名の通り、当時漫画にゲームにとマルチメディア展開を繰り広げていたTCG(トレーディングカードゲーム)兼TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)、「モンスターメーカー」のキャラを使ったボードゲームになっています。

ストーリーは特になく、プレイヤーは総勢12名のプレイヤーキャラから駒となるメインキャラを一人ずつ+選ばなかったキャラに8名のサブ専用キャラをプラスした中からサブキャラを一人ずつ、計二人ずつの使用キャラを選んでそれぞれが駒に選んだメインキャラを王様にするべく競い合うというものになっています。各キャラはそれぞれ能力や王様になった際のエンディング、サブに選んだ際に起こる専用イベントなどが異なり、単なる駒の枠に収まらないバラエティの豊かさを持っています。ちなみに他プレイヤーが先に選んだキャラは後から選ぶ事は出来なくなるので、同キャラ対戦は完全に不可能となっております。

遊べるモードは全部で三種類。全ての領地がプレイヤー所持状態になるまで競うモード、あらかじめ決めておいた年数の中で領地を取り合い、期限が来ればプレイヤー未所持の領地があっても終わるが逆に期限が来てないなら全ての領地がプレイヤー所持状態になっても終らないモード、最初から全ての領地がプレイヤー所持の状態で始まり、やはりあらかじめ決めておいた年数の中で領地を奪い合うモードとそれぞれ分かれています。

また本作は進行状態の一時保存も出来、長い年数を設定したプレイの際も安心となっております。但しバッテリーバックアップの電池が切れていれば役には立ちませんが……。


遊ぶモードを決めたら、次は遊ぶプレイヤーのうち何人を人間の手によるマニュアル操作にするか選びます。本作では必ずプレイヤーが四人いなければならず、二人だけのタイマンバトルなどは出来ないのです。

ちなみにプレイ中マニュアル操作をオプションでコンピューター操作に切り替える事も出来ますが、一度コンピューター操作にしてしまうとその駒では二度とオプションが開けない為、再度マニュアル操作に切り替える事は出来なくなります。プレイヤーを全員コンピューター操作にするなんて芸当も出来ますが……見てるだけって楽しい?

全員の操作をマニュアルとコンピューターどちらにするか決めたら、最初にダイスを振って目が大きい順にダイスを振り移動を開始します。本作は四月から始まって一ターンにつき一ヶ月が経過し、年数を設定している場合は最終年の三月がラストのターンとなります。


さて本作のプレイ目標はどのモードであれ、自分の領地を手に入れる事です。領地を手に入れる方法には、以下のものがあります。


最も基本となるオーソドックスな方法は、進行役のガンダウルフから課せられるクエストをクリアする事です。まだプレイヤー未所持の領地がある場合はそのうち一つがクエストをクリアしたプレイヤーのものとなり、全ての領地がプレイヤー所持状態の時はまず横取りしたい領地を選択し、次のクエストも連続でクリアする事で初めて選んだ領地の支配権がクエストをクリアしたプレイヤーに移るようになっています。

もっと手っ取り早く領地を横取りしたい時は、所持しているモンスターカードを横取りしたい領地の領主に送り付ける事になります。モンスターが勝てばその領地はモンスターを送り込んだプレイヤーのものとなりますが、負ければ無駄にターンを消費するだけです。

強力なモンスターカードがなかなか手に入らないような時は、盗賊ギルドマスで裏切り工作を行うのも手です。運が良ければ領主がその場で寝返ってその領地が裏切り工作を行ったプレイヤーのものになり、そうでなくても領主の忠誠度は必ず下がるという強力な妨害工作ですが、相応の額の依頼料を要求されます。

そして極稀にですが、イベントマスのイベントで領地が貰える事があります。確率は低いですが、もし遭遇したらラッキーと思っておきましょう。


領地が手に入ると、毎ターンの最初に所持している領地に応じた収入が入ってくるようになります。また月イベントによって臨時収入を得られたり、何かのカードを入手したりする事も出来ます。

勿論プラスイベントばかりではなく、領地でトラブルが起こった為に所持金を引かれるというマイナスイベントが起こる事もあります。なるべくマイナスイベントが起こる領地は取るのを避けたいところですが、勝つ為にはそうも言ってられないのが悩みどころ……。

また領地を一つ手に入れるたびに、その領地を治める領主を任命する事になります。有能な領主ほど高い賃金がかかるので、まだ所持金に乏しい序盤のうちは賃金0のオークチーフやボスコボルトで我慢するしかありません。

一度任命した領主は後から変更する事は出来ないので、序盤に領地を得たプレイヤーは常に領地を奪われる危険に怯える事になります。最も例え最高額の領主を任命したとしても、モンスターに負ける時は負けるし裏切る時は裏切るのですが。


本作のマスは三色の基本マスと領地内にある建物マスがあり、それぞれ止まった際の効果が異なります。ここではそんなマスの効果を一つずつご紹介していきます。


青いマスはアイテムマスで、止まるとアイテムカード、魔法カード、妨害カードのうちどれか一枚が入手出来ます。特に妨害カードはこのマスでしか入手出来ない為、止まれるなら積極的に止まっていきたいマスです。

赤いマスはエネミーマスで、止まるとモンスターとの戦闘になります。出現するモンスターの種類は地域によって変わりますが、時々モンスター出現の代わりにトラップが発動し、メインサブ共に無条件に一定ダメージを喰らう事があります。

緑のマスはイベントマスで、止まると何らかのイベントがランダムで発生します。割合としてはプラスイベントが多めですが、当然マイナスイベントが起こる事もあるので止まるのは結構賭け。

よろず屋マスでは、様々な種類のアイテムカードを買う事が出来ます。品揃えは店によって違うので、辿り着いたよろず屋マスに欲しいアイテムカードがない場合もあります。

魔法屋マスでは、様々な種類の魔法カードを買う事が出来ます。魔法カードは割高な代わりに強力なものが多く、戦闘を楽にしてくれます。

盗賊ギルドマスでは、他プレイヤーに対し様々な妨害工作を仕掛ける事が出来ます。どの妨害工作もかなりの額の依頼料を要求され、しかもものによっては必ず成功するとは限らない為、やるなら所持金に余裕のある時に。

港マスは基本何も起こらないハズレマス。しかし極稀に、サブキャラの専用イベントが起こる事も……。

洞窟マスは通常のエネミーマスより強力なモンスターが出現します。代わりに戦闘に勝利するとアイテムマスでは手に入らないような希少なカードをゲット出来るので、ハイリスクハイリターンなマスだと言えます。

寺院マスは止まるとまずメインサブ両方のHPを全回復し、それから寄付を行うか選択する事になります。寄付に応じるとその金額によって名声が増え、逆に断ると名声が少しだけ下がります。

城マスはメインサブ両方のHPを一定量回復するだけのラッキーマス。誰の領地かは全く関係なく、全てのプレイヤーに効果があります。


なお止まったマスにクエストの討伐対象がいる、または止まったマスがクエストの目的地になっている場合は、本来のマスの効果ではなくクエストが優先されます。但しクエストクリアの条件を満たしていない場合は、本来のマスの効果が優先されます。


戦闘の流れについて。本作での戦闘は、二対一のターン制で行われます。

戦闘はまずメインキャラと、サブキャラの行動をマニュアル操作にしている場合はサブキャラの分もコマンドを入力し、ランダムに決められた行動順でメインサブ、そしてモンスターが順番に行動を起こして全員の行動が終わったらまたコマンド入力……の手順を繰り返して、モンスターのHPが0になればこちらの勝利、逆にこちらのHPがメインサブ共に0になればこちらの敗北となります。見事勝利すると倒したモンスターに応じた額のお金と名声が手に入り、運が良ければアイテムカード、魔法カード、モンスターカードのうちどれか一枚が手に入りますが、敗北すると最寄りの寺院に強制移動させられ、所持金の半額と所持カードをランダムで一枚失った上次のターンは一回休みにさせられてしまいます。

メインキャラは必ず自分で行動を決める必要がありますが、サブキャラは前述の通りマニュアル操作かコンピューターにお任せかどちらかを選択する事になります。マニュアル操作なら自分の思い通りにサブキャラを動かす事が出来ますが、お任せにすると例えばこちらが攻撃を受けたのと同じターンに即回復効果のあるカードを使ってくれたりしますし、何よりキャラが持っている特殊攻撃はお任せ時でないと出す事が出来ませんので一長一短と言ったところです。

各キャラはそれぞれ攻撃タイプが設定されており、それに沿った攻撃を行います。攻撃タイプは以下の通り。


ダイス二個で攻撃するタイプは最もポピュラーで、対象キャラ数が多いタイプです。最大ダメージはダイス三個に劣りますがその分クリティカルしやすく、安定したダメージを叩き出す事が出来ます。

ダイス三個は戦士系のキャラに多いタイプ。最大ダメージは最も高くなりますがダイスが多い分クリティカルしにくく、ダメージ自体にもばらつきがあります。

ダメージ固定は魔法使い系のキャラが全員これに当て嵌まります。常に安定したダメージを与えられますがクリティカルしないので総合ダメージはダイス使用のタイプに劣り、また打たれ弱いので死にやすいといった欠点も同時に抱えています。


ダイス使用のタイプの場合、振ったダイスの目が全て同じだとクリティカルとなりもう一度ダイスを振る事が出来ます。クリティカル分も合わせた全てのダイス目を合わせた数がダメージの基本値となり、そこからモンスターの防御力を引いた分が実ダメージとなります。

モンスター側の攻撃も同じくダイスで行われ、各モンスターに設定された数のダイスを振り、その総合値で攻撃してきます。また殆どのモンスターはそれぞれ特殊攻撃を持っており、振るダイスの量が増えたり、ダイスの数は一緒でもダメージ量が増えたりします。

特殊攻撃を持っているのはモンスターだけではなく、キャラも各三つずつ特殊攻撃を持っています。但し特殊攻撃を行うにはそのキャラがサブで、尚且つ操作をお任せにしなければなりません。

モンスターを倒した際与ダメージがモンスターの残りHPを大きく上回るとオーバーキルとなり、手に入るお金と名声にボーナスが付きます。上回った数値が大きいほど多くのボーナスが手に入るので、出たらラッキーと思っておきましょう。

なおモンスターを倒して手に入るモンスターカードは、倒したモンスターと同じものとなります。強力な敵がそのまま強力な手駒に変わるので、是非ゲットしたいものです。

ちなみに領主にモンスターを送り付けた場合、領主側の行動は完全にコンピューター任せになります。領主は振れるダイスの数が多い代わりに特殊攻撃を持たず、アイテムも使えないので防衛側は領主の勝利を、攻撃側は敗北をそれぞれ祈りましょう。


請け負うクエストの内容は大半がどこかの領地に発生したモンスターを討伐するというもので、プレイヤーはそのモンスターを一番最初に倒す事を目指す事になります。討伐対象となるモンスターは年数を経るごとに強力になっていき、中には年数に関係なくクエストが発生した領地限定の討伐モンスターなんかもいます。

討伐モンスターはターンごとに、プレイヤーと同じように1~6マスをランダムに移動します。移動先にプレイヤーがいた場合はそのまま戦闘に突入するので、そのターンに討伐モンスターのいるマスに止まれなかったとしても諦めない事。

それ以外のクエストでは、指定されたアイテムカードを持って目的地に行くタイプが多いです。当然対象となるアイテムカードを持っていなければ目的地に辿り着いてもクエストクリアとはならない為、プレイヤーは対象のアイテムカードを手に入れる事だけでなくそれを目的地に辿り着くまでに失わないよう最新の注意を払う必要があります。

逆に言えばこれほど妨害がやりやすいクエストもなく、モンスターカードは他プレイヤーにも送り付けられるのを利用して、ここぞとばかりに強力なモンスターを送り込んでわざと対象のアイテムカードを消費せざるを得ない状況に持っていかせる事なんかも出来ます。これを目的地に辿り着く寸前にやられた日には……。

他に変わったものでは、一定ターン内に誰よりも多く名声を稼ぐなんていうクエストもあります。最終結果の際所持する領地数が同じプレイヤーが二人以上いた場合、より名声の多いキャラが王様になれるようになっているので場合によってはこのクエストの結果がそのまま最終結果に直結する事にもなります。


さて本作にもお邪魔キャラがいくらか存在します。まずはエネミーマスに止まると時々現れるゲロスライム。

ゲロスライムはまんま「桃太郎電鉄」シリーズの貧乏神のようなキャラで、勝手に所持金を減らしたりゲロを吐いて全体ダメージを与えてきたりします。キングボンビーにならない限りたまにはこちらにプラスになる事もする貧乏神と違って、規模は小さいとはいえこちらは迷惑行為しか働きません。

なおなすりつけ方も貧乏神同様、他プレイヤーに重なってそのまま追い抜く事。ただ一度出現したら二度と消えない貧乏神と違ってこちらは一定ターンが経てば自然消滅するので、そこら辺は有情?

そしてある意味こちらの方が厄介、イベントモンスター。イベントモンスターとは月イベントによって現れ、マップを塞ぐモンスターの事です。

イベントモンスターにはクラーケンとドラゴンの二種類がおり、クラーケンは発生した場所から動きませんがドラゴンは一定地域内を毎ターン1~6マスの範囲で動き回ります。どちらも居座っているマスは素通り出来なくなり、通ろうとすると強制的に戦闘に突入します。

どちらも最強クラスのモンスターなので、もし挑むなら万全の準備をした上で挑みましょう。見事撃破すると洞窟マスで手に入るものよりも更に希少なカードが手に入るので、挑む価値はあると言えます。

ちなみにこちらも、一定ターンが経てば勝手にいなくなってくれます。クエストの起こった領地とイベントモンスターの出現範囲が被らないと、勝手に出てきて勝手に消える姿を見るだけになる事も多いかも……。


本作の魅力はとにかくキャラが可愛い、これに尽きます。メインキャラはエンディング以外あまり出番がないのが残念ですが、サブキャラの方は個性的な専用イベントでプレイヤーを楽しませてくれます。

またコンピューター操作のプレイヤーが王様になったとしてもそのメインキャラのエンディングは流れるので、エンディングを見たいキャラを全員のメインキャラに据えて誰が勝っても好きなエンディングが見られるようにするという楽しみ方も……。エンディング内容も原作でそのキャラの人となりを知っていると成る程、と納得させられます。


原作ファンは勿論、原作を知らなくてもそれなりに楽しめる本作。但し対人戦で妨害をやり過ぎると漏れなく友情破壊の憂き目に遭うので、勝利に執着し過ぎるのも程々に。



とりあえず、今回はこれにて。

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