第百五十四夜 少年アシベ ゴマちゃんのゆうえんち大冒険
一つ、ゲームの話でもしようか。
タカラ製のキャラゲーと言えば、悲しいかな、今も昔もクソゲーとして有名な代物です。現在タカラトミーが推しているオモチャ、「新幹線変形ロボ シンカリオン」ももしタカラトミーがゲーム事業から撤退していなかったら今頃餌食になっていたりしたのでしょうか。
しかしそんなタカラ製キャラゲー。名作、良作とは言えなくても、思い出したようにたまに遊んでみたくなる……そんな一品も時にはあったりします。
今回は筆者にとってそんな存在である作品、「少年アシベ ゴマちゃんのゆうえんち大冒険」をテーマにお送りしたいと思います。本エッセイ二作目となる「少年アシベ」ゲー、果たしてどんなものなのでしょうか。
本作はスーパーファミコン初期、旧タカラ、現タカラトミー(但し現在はゲーム事業から撤退)よりスーパーファミコンにて発売された横スクロールアクションゲームです。アドベンチャーゲームから今度はアクションゲームになりました。
以下はストーリー。大会社社長のアシベのじいちゃんが建てた遊園地に友人達と共に招待されたアシベとゴマちゃん。じいちゃん曰くこの遊園地内には四つの宝石が隠されており、それを一番最初に揃えた人にはご褒美があるらしい。はてさてアシベとゴマちゃんは、見事一番最初に宝石を揃えてじいちゃんからのご褒美が貰えるのだろうか……? といった感じになっています。ぶっちゃけ大分短い。
ちなみにアシベとゴマちゃんは常に一緒に行動しますがステージに挑むのはゴマちゃんだけで、アシベは何もしません。前回ご紹介のアレといい人間主人公はそんなんばっかか!
本作の全体的な流れとしては、全体マップの至る所に点在するパビリオンをクリアし、「少年アシベ」の登場人物達が守る宝石をミニゲームをクリアして手に入れ、全て揃ったら最終パビリオンに挑んでクリアしたらエンディング……という形になっています。再開はパスワード方式で、ミニゲームクリア時などにパスワードも一緒に教えて貰う事が出来ます。
一度クリアしたパビリオンは、二回目以降は素通りする事が出来ます。但し行き先が二つあるパビリオンの場合、行きたい方に行くにはもう一度パビリオンを遊び、行きたい方に続くゴールに入るしかありません。
またパビリオンは全てクリアする必要はなく、中にはどこにも道が通じていないパビリオンなんかもあります。必要なパビリオンだけクリアして最短クリアを目指すか、敢えて完全制覇を目指すかはプレイヤー次第。
パビリオンでは、パビリオンごとに決められたアイテムを八つ全て集めてゴールする事が目的になります。アイテムはパビリオンのどこかに隠されており、ゴマちゃんのアクションに応じて出現する仕組みになっています。
アイテムの在処で一番多いのが、木や柱の陰に隠れているパターンです。そんなアイテム達を出現させる為にゴマちゃんが行うアクションが……何と頭突き。
ゴマちゃんが頭から木や柱に体当たりするとゴツン!といういかにも痛そうな音と共に、アイテムがある場合はアイテムが転がり出ます。ちょっとした動物虐待みたいで、やらせててちょっぴり罪悪感が沸いてきます。
この頭突きは他にも、ボールをヘディングしてゴールに入れるのにも使います。これがなかなか難しく、規定回数ゴールするまでにはかなりの時間がかかったりします。
但し本作にもアクションゲームである以上敵は出ますが、その敵に頭突きをしてはいけません。本作における敵は完全なお邪魔キャラであり、こちらのいかなる行動でも排除する事は出来ないのです。
その代わり敵に接触しても被害はアイテムを一つ落とすだけと、妨害の方も緩やかだったりします。……以下に挙げる二人を除いては……。
即死穴もなく、どれだけ高いところから落ちてもちょっとぐったりするだけ(但しこのぐったり感がまた罪悪感を誘う)と死亡判定がゆるゆるに緩い本作ですが、そんな中でも要注意人物が都合二人います。それがサカタの兄とゆみこちゃんです。
サカタの兄はご存知ゴマちゃんのストーカーで、現れるとゴマちゃんに向かって猛然とダッシュしてきます。そして触れてしまったが最後、それまで集めたアイテムが全部辺りに散らばってしまうのです。
それで死にこそしないものの、持っているアイテムが多い時はかなり遠くまでアイテムが吹っ飛んでいく為再回収には相当手間がかかります。更に近くに下に続く段差でもあった日には……。
しかしそれに輪をかけて凶悪なのがゆみこちゃん。ゆみこちゃんに触れるとゴマちゃんが捕まってしまい、こちらは一個ずつじわりじわりとアイテムを減らされていきます。
これだけだとサカタの兄とさして違いはないように見えるし、運が良ければ途中で解放もしてくれるのですが、解放して貰えなかった場合はそのままゴマちゃんが力尽き、残機が1減ります。一体どんな抱き締め方だ。
パビリオンで残機が減る要素はタイムアップか、このゆみこちゃんの鯖折り……じゃない抱き締めしかない上、本作で残機を増やすにはミニゲームで好成績を収める以外方法がないので、不要なミスは避けていきたいものです。しかしゆみこちゃんというとお父さんにビデオ撮られてた記憶しかないんですが、何でまたサカタの兄以上のこんな凶悪キャラに……。
さてパビリオンを潜り抜け、宝石を持っているキャラを見つけたら宝石を得る為のミニゲームが始まります。ここではゴマちゃんを操り左から右へと自動的に流され流木まで流れてくる川を上に渡っていき、時間内に相手の元まで辿り着けばゴールとなります。
但し挑む相手によっては川に更にゴマちゃんを吸い込み一定時間動きを止める渦巻きがあったり、相手が投げるボールを規定数集めてからゴールしなければいけない場合もあり一筋縄ではいきません。ぶっちゃけパビリオンよりこっちの方が難しいです。
更に言うとタイムアップになるだけではなくゴマちゃんが流木にぶつかって流されるなどして画面外に消えてしまってもミスなので、本作での残機は主にここで減らされていく事になります。前述通り早いタイムでクリアできれば1upのおまけが付いてくるとは言え、正直クリアにいっぱいいっぱいで最速クリアなんて目指してる余裕などありません。
相手がミニゲームクリア後はただパスワードを教えてくれるだけのキャラになるのは幸いなのか不幸なのか。まあただでさえミニゲーム以外ではまず残機が減らないゲームではありますが……。
死ににくいという意味では限りなく子供向け、しかしミニゲームの難易度だけが大人向け。でもちょっと暇な時、だらだらと時間潰しにやるにはもってこいかも?
とりあえず、今回はこれにて。