第百四十三夜 ロックマン5 ブルースの罠!?
一つ、ゲームの話でもしようか。
いよいよファミコン部門、締めの一本がやって参りました。後からひょっこりソフトが発掘される可能性はあるけど気にしない!
今回のお題、タイトルは「ロックマン5 ブルースの罠!?」です。「ロックマン6」? 手に入らなかったんですよ……。
今度の「ロックマン」はどのような進化を遂げたのか。正直大体はこれまでで出尽くしてしまっているのですが、とりあえずご覧下さい。
本作はファミコン後期、カプコンよりファミコンにて発売された横スクロールアクションゲームです。この頃になると操作感にも大きな変化はなく、ほぼ完全にシステムを確立したと言えます。
以下はストーリー。四度に渡るDr.ワイリーとの戦いを終えたロックマン。しかし訪れた平和を享受する間もなく、謎のロボット達が街で破壊活動を繰り広げ始める。時を同じくして、Dr.ライトが何者かに拉致されるという事件が起こる。現場に残されたのは黄色いスカーフ。それはこれまでロックマンを影ながら助けてくれたロボット、ブルースが身に付けていたのと同じもの……。犯人は本当にブルースなのか? 真相を確かめる為、ロックマンはまた新たな戦いに身を投じる――。といった感じになっています。
前回敵をDr.コサックとしておきながら本作のあらすじがこうなっている辺り、はい、本作の黒幕もお察しの通りです。この頃になると、『Dr.ワイリー以外が事件を起こすも黒幕は結局Dr.ワイリー』という流れが完全にお約束と化している節があります。
前作からの変更点としては、ロックバスターの溜めが二段階に分かれるようになりました。少し溜めた状態で放つのと完全に溜めた状態で放つのでは威力も弾の大きさも異なり、完全に溜めた状態でのショットは前作よりも弾が大きく当てやすくなっています。
チャージが完了するまでの時間も前作より若干ながら早くなり、ノーマル状態の利便性がますます向上しています。この為特殊武器が空気、などと言われてしまう事も……。
すっかりシリーズ常連となったラッシュの変身形態にも若干の変更があり、まず微妙に空気だった水中用の変身のラッシュマリンが削除。大ジャンプが可能なラッシュコイルと空中を移動出来るラッシュジェットの二形態への変身のみに絞られました。
そのラッシュコイルの仕様にも変更が加えられ、従来は乗った直後にすぐ大ジャンプをしていたのですが本作ではまずラッシュごとジャンプをし、そこから更にラッシュを置いてジャンプするという二段階方式になりました。ですがこれが使ってみると妙に使いにくく、結局本作のみの仕様となってしまいました……。
パスワードでE缶の所持数を記録しておけないのは前作同様ですが、本作ではその代わりにE缶の上位の存在であるミステリー缶(通称M缶)が登場しました。このM缶は全部で一つしかストックしておけませんが、使うとライフだけでなく全ての武器エネルギーまで回復するという超性能でまさしく切り札と言っていいアイテムでした。
しかし流石に強力過ぎたからか、これも今回限りで削除。何とか新しい要素を、という開発陣の苦心の跡が見て取れるようです。
そして前作であった隠し武器は本作にも用意されており、今回は各8ボスステージのどこかにあるパネルを八枚全部揃える事で三体目のサポートロボット『ビート』が使用可能となります。パネルはどれも一筋縄ではいかない場所にありますが、操作に慣れてくれば取るのは然程難しくはない筈です。
さて本作、『シリーズのナンバリングの中で一番簡単なロックマン』と言われていたりします。それには前述のM缶の影響もあるのですが、それ以上に大きいのが隠し武器であるビートの存在。
ビートは武器選択画面で装備するとロックマンの側に現れ、近くの敵を自動追尾して攻撃します。エネルギーは攻撃を一回行う度に減り、残りエネルギーが0になると他の武器同様それ以上は使用不能となります。
これだけだとちょっと便利な武器だな、くらいにしか思われないかもしれません。しかしこれの真の問題は、ラスボスを含めたボスにまで普通に攻撃が効いてしまうという点にあるのです。
具体的に言うとビートのエネルギーがフルの時にボスに挑んだ場合、ビートのエネルギーが0になる丁度にボスのライフも0になる計算。つまりビートのエネルギーさえフルなら、ボスの攻撃を避けているだけで勝手にボスを倒してくれる事になるのです。
まともに戦えばそれなりに強い本作のボス達ですが、これのせいで完全にゲームバランスが崩壊する事態に。「ロックマン2」のメタルブレードの高性能ぶりも、これの前では可愛く思えてきます。
ヌルゲーになるのが嫌なら、ビートを完全に縛った方がいいでしょう。初心者救済策である事も考えられますが、パネルの中には初心者が取るには少々きついものも混じっているので果たしてどうなのか……。
ゲームバランスが崩壊するレベルの武器はあるものの、それを抜きにしてもゲームバランスはシリーズのナンバリングの中で最も易しく、シリーズ入門編にはピッタリな本作。シリーズに興味はあるけどアクションに自信はない、そんな方はまず本作から始めてみては如何でしょうか。
とりあえず、今回はこれにて。




