第十三夜 レッドアリーマー
一つ、ゲームの話でもしようか。
ゲームに限らず作品の人気が出ると、特定のキャラに人気が集中するなんて事がよくあります。それは時に可愛いマスコットであったり、時に頼れる仲間であったり、また時に印象的な敵であったりします。
そういった人気キャラには、そのキャラを主役に据えたスピンオフが制作されるなんて事もあります。ある意味、作品の人気の指標ですね。
ゲームでも、数はそれほど多くはないですが勿論そういう事はあります。第九夜で取り上げたお祭りゲーなんかも、ある意味これと似たようなものなのかもしれません。
今回は、ゲームボーイで発売されたそんなスピンオフゲームの一つ。
「レッドアリーマー」について語ろうと思います。
「レッドアリーマー」はカプコンの魔界村シリーズにおける難敵、レッドアリーマーがその名の通り主役のアクションゲームです。アクションのみならずRPG要素もあり、ステージ内で集めた魂で残機を買ったりステージが進むにつれてレッドアリーマー(以下自機)の性能が上がったりなどのシステムも盛り込まれています。
自機は魔界の悪魔ですので、人間には出来ないアクションも可能です。トゲ以外の壁に張り付いたり、一定時間空を飛んだり。もっとも初期状態で飛べる距離は、たかが知れているのですが。
変わったアクションを持っているとは言え、初期状態の自機はとても貧弱です。本作はライフ制なのですが最初のうちは本家よろしく二発攻撃を食らっただけで死にますし、ジャンプ力も低い。攻撃の射程距離が最初から長いのだけが救いです。
しかしステージを経る毎につれて、自機はどんどんパワーアップしていきます。ジャンプ力が上がり、飛べる距離が伸び、敵の攻撃にも耐えられるようになり……。
また、攻撃手段も多彩になっていきます。範囲こそ最初から最後までずっと変わりませんが、特定の壁を壊す事が出来るようになったり一定時間トゲにも張り付けるようになるなど、自機のアクションの幅を広げてくれる役割を持つ攻撃を次々と身に付けていきます。
そして最終的には「魔界村」にてプレイヤーを散々苦労させた強さに相応しい性能を身に付け、ラスボスに挑む事になります。ここまで来ると、ラスボスの方が可哀想な気もしてきます。
本作での思い出といえば、やはり難関、ビッグタワーモンスターでしょう。ここは通路ステージを除けば作中二番目に挑む事になるステージなのですが、こちらの性能がまだ貧弱だというのに難易度がやたら高い!
出現する敵自体はそれほど強くはないのですが、配置がいやらしく足場も狭い。おまけにボスは、全員その場から動かないものの四体もいるときています。当時の筆者は一度ここで挫折し、実際に本作をクリアしたのは中学に入ってからの事でした。
その他では他のゲームにはなかなかない、ネガティブなネーミングのアイテム群も印象的です。前述した通り通貨が魂なのを始めライフアップアイテムの名前が『嘆きの鎧』や『欺きの鎧』だったり、極めつけが封印された大魔王を助ける為のアイテム『鮮血の蝋燭』。
他のゲームだったら、どれも間違いなく呪いのマイナスアイテムです。自機が悪魔ならではのネーミングですね。
この後もレッドアリーマーを主人公にしたゲームは幾つか出る事になりますが、第一作にしてこの完成度の高さは、流石アクションゲームを得意とするカプコンというところです。
とりあえず、今回はこれにて。