第百二十五夜 ドラゴンバスター2 闇の封印
一つ、ゲームの話でもしようか。
小さい頃、ナムコの「ドラゴンバスター」というアーケードゲームが大好きでした。少し大きめのキャラが剣を振るい敵に立ち向かう、そんな姿をカッコいいと思いデパートのゲームセンターで見かけると必ず遊びました。
ファミコン版のカセットを筆者は持っていませんでしたが親戚の家にはあったので、たまに遊びに行くといつも遊ばせて欲しいとせがんだものです。筆者にとって、そんな思い出のゲームです。
だからそんな「ドラゴンバスター」の続編が出ると知って、筆者がそれを欲しがったのも必然と言えるでしょう。その願いは聞き届けられ、「ドラゴンバスター」続編は遂に我が家にやってくる事となったのでした。
今回のテーマ、「ドラゴンバスター2 闇の封印」。大好きなゲームの続編は、果たして幼い筆者を満足させてくれたのでしょうか?
本作はファミコン最盛期、旧ナムコ、現バンダイナムコエンターテインメントよりファミコンにて発売された画面見下ろし型アクションゲームです。初出がアーケードだった前作とは異なり本作はファミコンオリジナルで、方式も横スクロール型から画面見下ろし型に変化しました。
以下はストーリー。それはローレンス王国に古くから伝わる物語。悪しきドラゴンを打ち倒し、ローレンス王国に『正邪の剣』をもたらした勇者カールの伝説。彼は如何なる道のりを辿り、ドラゴンの元へ辿り着いたのか。その軌跡が今語られる――。と言った感じになっています。
ぶっちゃけて言うと本作にストーリーらしいストーリーは、特にないです。ちゃんとしたストーリーがゲームに付く事が一般化してきていた時代のものとは思えない簡潔さです。
特に本作の場合、前作「ドラゴンバスター」にそれなりにちゃんとしたストーリーが付いていた分尚更です。前作よりストーリーが短い続編って……。
各ステージはフィールドとダンジョンに分かれており、フィールドからダンジョンに入り、そのダンジョンをクリアする事でクリアしたダンジョンがフィールドから消滅し先に進めるようになります。ダンジョンは地下茎、墓地、風穴、塔、館の五種類があり、フィールドの最奥にボスであるドラゴンが住むドラゴン山がそびえています。
ステージ数は全部で6となっていますがステージ2からはドラゴン山が二つ存在するようになり、どちらのドラゴン山をクリアしたかで次のステージ構成が変わる仕組みになっています。一見飽きにくい構成に見えますが、これには少し問題も……。
以下にフィールドとダンジョン、それぞれの特徴を述べていきます。操作方法も一緒に交えながらご覧下さい。
フィールドではまず、そのステージのどの種類のダンジョンで何のアイテムが手に入るかが最初に表示されます。この表はフィールドにてスタートボタンでステータスを表示した際、セレクトボタンで画面を切り替える事でいつでも確認出来ます。
ダンジョンに入るには、十字キーでカールを操り入りたいダンジョンに近付きセレクトボタン。少々特殊な操作ですが、早めに覚えてしまいましょう。
ダンジョンをクリアし、それがアイテムを入手出来るダンジョンだった場合はフィールドにアイテムが出現するので、Aボタンで取得しましょう。自分が今何のアイテムを持っているかはステータス画面で確認出来ますが、ステージを跨いでアイテムを持っていく事は不可能です。
取得したアイテムは障害物の前でBボタンを押す事で使用され、障害物を取り除きます。どのアイテムにどの障害物が対応しているかは決まっており、例えば斧ならば森の木を切り倒し、ラクダならば砂漠の上を通行出来るようになります。
アイテムはそれぞれ使い捨てで、上手く使えば大幅なショートカットになりますが考えなしに使うと大して楽にもならない道が増えただけ、なんて事にも。但し設置型アイテムは少し違い、一度設置したものを再び引っ込める事は出来ませんが、その障害物に接している場所ならどこにでも行けて、どこからでも呼び寄せる事が可能です。
また各ステージのフィールドのどこかには隠しキャラの蝶がおり、蝶が隠されている場所の近くを通りかかる事でついてきてくれるようになります。蝶は1upアイテムのスペシャルフラッグが隠されているダンジョンに入ると一緒にダンジョンに入り、スペシャルフラッグの在処を教えてくれる役割を持っています。
ダンジョンに入ると、スタート地点となる部屋から探索が始まります。スタート地点は今いるステージとダンジョンの種類で決まり、同じステージの同じ種類のダンジョンならば大体同じかそれに近い部屋からのスタートとなります。
ダンジョン内は最初今いる部屋以外全て見えなくなっており、十字キーでカールを動かし暗闇に近付く事でその部分の闇が晴れ通路や部屋が見えるようになります。一度見えるようになった部分は二度と見えなくなる事はないので、通路の先が既に通った部屋かまだ未踏破の部屋かを視覚的に知る事が出来ます。
序盤ステージのダンジョンはまだ規模もそれほど大きくなく敵も少ないですが、ステージが進むにつれだんだん出現する敵が多く、そして動きも速くなってきます。一度倒した敵はそのダンジョンにいる間は二度と復活しませんが、ボスであるルームガーダーは勿論雑魚も手強いものばかりなので油断は出来ません。特にピョンピョン跳ねるヒヨコ。
ダンジョン内は基本BGMなしで進行しますが、ルームガーダーが近くにいる時は警告音が鳴り始めます。潜んでいる場所の暗闇を晴らさない限りは動き出さない雑魚と違って、ルームガーダーはこちらが近付くだけで動き始め暗闇の中からでも攻撃してくる為早めの対処が必要になります。
こちらの攻撃手段は、Bボタンを押すと発射される矢のみ。上下左右斜め全ての方向に打て、雑魚ならば必ず一撃で倒す事が出来ますが、一発放つと敵に当たるなどして放った矢が消えない限り次の矢を放つ事が出来ません。
矢は無限に放てる訳ではなく、手持ちの矢の残量が続く限りとなります。手持ちの矢がなくなると一切の攻撃が出来なくなり、詰んでしまいます。
それを防ぐには、ダンジョン内に落ちている矢筒を回収する必要があります。矢筒はルームガーダーを倒さなくても手に入る唯一のアイテムで、一つにつき十本の矢が補充されます。
各ステージには大量に矢筒が落ちているダンジョンが必ず一種類あり、そのダンジョンを利用して矢を補充していくのがセオリーとなります。まだダンジョンが簡単な序盤ステージのうちに矢を稼げるだけ稼いでおいて、後半ステージで一気に使い潰すというのも手です。
ダンジョンをクリアするには、そのダンジョンにいる全部のルームガーダーのうちどれか一匹だけが持っている鍵を手に入れ、ダンジョン内のどこかにある扉から外に出る必要があります。扉から外に出るにはまたもセレクトボタンで、フィールドとダンジョンを行き来するのにセレクトボタンを使うと覚えておくといいかもしれません。
ルームガーダーは鍵以外にもそのダンジョン内で使えるアイテムと、何と扉まで落とす事があります。外に出入りする為の出口を持ち歩くって何なんだと思わなくもないですが、気にしてはいけません。
ルームガーダーが落とすアイテムは二種類。『盾』と『炎の矢』です。
盾は取得すると一定時間無敵になり、体当たりだけで敵が倒せるようになります。無敵時間中はBGMが流れ、無敵が切れた瞬間が解りやすくなっています。
炎の矢はルームガーダーを一撃で倒せる炎の矢を三発まで放つ事が出来るようになります。この炎の矢でしか倒せない雑魚も存在する一方、矢を跳ね返す特殊能力を持つルームガーダーには普通の矢と同じく跳ね返されてしまう事もあるので過信は禁物。
鍵を含めたこれらアイテムは矢筒と違いAボタンで取得するようになっており、若干ややこしくなっています。鍵の有無はスタートボタンを押すと出るステータス画面で確認出来ますが、盾と炎の矢の取得情報はカールのグラフィックやBGMで解るせいか表示されません。
また各ステージには必ず一種類、ルームガーダーが妖精を落とすダンジョンが含まれています。この妖精は他アイテムと違って出るとあちこち動き回る代わりに、矢筒と同じく触れるだけで取得出来ます。
妖精はダメージを受けている状態で触れるとダメージを一段階癒し、ダメージを受けていない状態で触れると持ち物としてストックされます。ストックされた妖精が四人になると1upとなり、ストックが0に戻ります。
まだ敵も少なく弱い序盤なら妖精を集めて残機を荒稼ぎ出来ますが、ステージが進み敵が多く強くなってくるとそれも困難に……。腕に自信があるのなら、挑戦してみるのもいいかもしれません。
カールが今受けているダメージは、服の色で表されます。青が最もベストな状態でダメージを受けるごとに緑、黄色、赤と服の色が変わっていき、服が赤の時に更にダメージを喰らうとミスになります。
ダメージを回復するには基本的に妖精を取得するしかありませんが、例外的にドラゴン山のどこかにはダメージを癒してくれる泉があります。泉はその部屋にいるルームガーダーを倒す事で使用可能となり、長丁場になりやすいドラゴン山における拠点となってくれます。
ドラゴン山はそのステージの五種のダンジョンのうちどれかの構成を元にしており、出てくるルームガーダーも元になった種類のダンジョンに準じます。ドラゴン山のどこかにはステージボスであるドラゴンがおり、倒すとそのステージはクリアとなります。
各ドラゴンには必ず体のどこかに弱点があり、そこを攻撃すると与えるダメージが増えるようになっています。例え途中でカールが死んでもそこまでにドラゴンに与えたダメージは蓄積されたままなので、諦めずに挑んでいきましょう。
ちなみに鍵を使って扉から外に出るかゲームオーバーになるかしないとどれだけ死んでもダンジョンからは出られませんが、一つのダンジョンにあまり時間をかけすぎているとBGMが流れ始めて無敵の敵が出現し、しつこくカールを追い回すようになります。なるべくならこいつを出さないようにしたいところですが、後半ステージのダンジョンはとにかくだだっ広く複雑なのでなかなかそれも難しかったりします……。
最後に各ダンジョンのルームガーダーをご紹介します。攻略の参考になれば。
ファフネルは地下茎に出てくる小型竜です。ステージが進むと火の玉を飛ばしてくるようになる上背中が光っている間は矢を受け付けなくなり、一番の難敵と言えます。
スケルトンは墓地に出てくる骸骨戦士です。こちらもステージが進むと盾で矢を跳ね返してきますが、全ルームガーダーの中で唯一遠隔攻撃手段を持たない為最終的には最も対処しやすい相手となります。
サイクロプスは風穴に出てくる一つ目巨人です。ステージが進むと岩石を飛ばして遠隔攻撃をしてくるようになります。
ウィザードは塔に出てくる魔法使いです。登場が早い割にナイフで遠隔攻撃をしてくるようになるのが終盤からで、比較的落ち着いて戦える相手です。
ビショップは館に出てくる僧侶です。登場が中盤からという事もあり、火の玉で遠隔攻撃をしてくるのはこちらも終盤からとなります。
こんな感じで本作のシステムを紹介してきた訳ですが、総括すると……地味。凄く地味。
前作が派手なアクションが売りだったのに比べると、本作、めちゃくちゃ地味です。何で続編名乗ってるのか解らなくなるくらい。
その理由の一つが、武器種の変更。剣でバリバリ斬りつけていた前作と比べ、連射の効かない弓矢で遠くから敵を狙うだけ、はどうにも派手さと爽快感に欠けます。
更にダンジョン内は基本無音で、似たような作りが並ぶ部屋をうろうろさ迷う事になります。探索の先の見えなさ、孤独感、そういったものを表現しようとしたんでしょうが、やってみるとただただ単調で飽きやすいだけとなっています。
折角五種類あるダンジョンも違いは何が得られるかだけで、実際やる事は全く一緒で種類を活かしきれていません。風穴、塔、館辺りは終盤になるとルームガーダーの行動パターンまで全部一緒になってしまい、特に飽きやすいポイントです。
おまけに分岐によって分かれたステージもガワは全部一緒な為、違いを非常に感じにくいです。一応ステージクリア時の演出やメッセージは多少変わる……らしいのですが演出は誤差の範囲内だしメッセージに至っては全部英語。英語が苦手な筆者のようなプレイヤーには、何を言っているのかさっぱり解りません。
コンティニュー方式にも問題があり、ゲームオーバーからコンティニューするとそのステージ開始時の状態まで戻されるのは許容するとしても矢の数が初期状態に戻ってしまうのが……。後半ステージほど雑魚が多くルームガーダーの耐久力も上がるので初期状態の矢数ではとても足りず、ジリ貧の戦いを強いられる事になります。
しかもパスワードコンティニューで途中再開出来るとは言え、パスワードが表示されるのはゲームオーバー時のみで再開は必ず初期状態から。途中でゲームオーバーになるくらいなのですから序盤に稼いだ残機すら使い潰す腕前と思われるプレイヤーに、その状態でどうしろと……。
難しくて地味。どちらかのみならば許容出来る事も、両方揃ってしまえばやる気が著しく削がれます。
最後までクリアはしたものの筆者がやりたかった「ドラゴンバスター」とは全く違った本作は、その後そのサブタイ通り封印と相成ったのでした……。
とりあえず、今回はこれにて。