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第百二十二夜 シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件

一つ、ゲームの話でもしようか。



シャーロック・ホームズ。世界で最も有名な名探偵です。

ロンドンはベイカー街に居を構え、友人でもある助手のワトソンと共に、数々の難事件を鮮やかに解決していく。ミステリー界の金字塔と言っても過言ではないでしょう。

但し現代で言えばラノベのチート主人公に位置するこのホームズ、作者のコナン・ドイル氏は本当は書くのが嫌で仕方がなかった、なんて逸話も残っていたりするのですが……。まあそれは置いておきましょう。

とにかくそんなホームズ。ゲームの題材にするにはもってこいと言ってもいいキャラクターにもかかわらず、実際にホームズを題材にしたゲームは数えるほどしかありません。

キャラが立ちすぎていて逆にゲームキャラとして落とし込むのは難しかったのか、それとも熱心なシャーロキアン(ホームズファンの俗称)に非難されるのを恐れた故か。理由のほどは解りませんが、ホームズを題材にしたゲームが実に少ないのは確かです。

では、その数少ないホームズを題材にしたゲームとは如何なるものだったのでしょうか。今回は、それをテーマにお送りします。

「シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件」。新たなる事件の幕が今上がる……。


本作はファミコン黎明期、トーワチキよりファミコンにて発売されたアクションゲームです。……繰り返します、アクションゲームです。

公式ジャンルはアクション&アドベンチャーですが、実態は九割方アクションです。もうここから、本作に初めて触れる皆様の困惑する顔がありありと目に浮かぶようです。

以下はストーリー。モリアーティ教授亡き後、イギリスの裏社会を牛耳ったDr.コルディリア率いるパパイヤ団にとある伯爵令嬢が誘拐された。Dr.コルディリアから挑戦状を叩き付けられたホームズは、イギリス全土を舞台にパパイヤ団と全面対決する……。といった感じになっています。

ざっくりとしたあらすじですが、これで全部なんだから仕方ない。誘拐犯が判明している時点でもう探偵ではなく警察の仕事のような気もしますが、そこはもうそういうものなんだと割り切ってしまいましょう。


本作のマップは市街地と屋内に分かれ、それぞれ操作方法ややるべき事が異なります。以下に、それぞれのマップの特徴をご説明します。


市街地は画面見下ろし型になっており、左右でループします。十字キーで上下左右に移動、スタートボタンでポーズ、セレクトボタンで使用アイテム選択、Bボタンでアイテム使用、Aボタンでキック。繰り返します、Aボタンでキック。

その辺を歩いている市民は全員敵であり、軽く接触しただけでライフをごりごり削られます。ノックバックや無敵時間なんてものもないので、もたもたしてるとあっという間にライフが0になってしまいます。

そこで見敵必殺、殺られる前に殺れ。およそ2ドットくらいしかない射程の短いキックを用い、市民を撃退しようという訳です。

市民を一人倒す毎に、30ポンドがホームズの懐に入ってきます。それもうカツアゲだろと思わなくもないですが、本作でのお金は基本的に市民から強奪する事でしか入手出来ない上、道中は何かとお金がかかるので、気が付けば捜査を進める為に自ら市民を襲いひたすら30ポンドを巻き上げまくるホームズが爆誕する事に……。

この時点で原作のホームズの面影などないに等しいのですが、それに輪をかけてアレなのが屋内マップ。まあそこはおいおいご説明していきましょう。

市街地には建物や公園、下水道に続く入口があり、それぞれ屋内マップに続いています。建物の中には屋内マップの他にも、様々な施設に通じているものもあります。


ワトソンの家はロンドンのみにあり、無料でホームズのライフを全快にしてくれます。ロンドンにいる間は、ここでライフを回復するのがセオリー。

よろず屋には捜査に役立つ様々なアイテムが売られています。殆どが消耗品ですが、武器の類は使用してもなくなる事はありません。

情報屋では払った金額に応じた様々な情報を得る事が出来ます。しかし役に立たない情報の方が多く、大金を払ってまで利用する価値は薄いと言えます。

賭博屋は100ポンドを払って三つの入れ物の中から一つを選び、中に的が入っていれば倍の200ポンドが手に入り、ハズレならそのまま100ポンドを取られてしまいます。どこに的が入っているかは完全にランダムな上当たる確率が三分の一とあって、あまり効率のいいギャンブルとは言えません。

民家は入るだけでライフを減らされ外に叩き出されます。それだけのマイナス効果の施設なので、位置をよく覚えてなるべく入らないようにしましょう。

パパイヤ団支部はロンドン以外の全ての街にあり、入ると合言葉を求められます。正しい合言葉を入力すると情報が得られますが、間違えるとやはりライフを減らされ外に叩き出されます。

駅は全ての街にあり、ここから汽車に乗って別の街へ移動します。運賃は各街間の距離によって決まり、遠ければ遠いほど運賃も高くなります。


これら施設を上手く活用し、捜査を進めていきましょう。特に本作でのライフ回復手段はワトソンの家に行くかよろず屋で薬を買うしかないので、ロンドン以外では薬を切らさないようにする事!


屋内では、上下三段に分かれた横スクロールマップに画面が切り替わります。十字キーの左右で移動、上下で階段や梯子の登り降り、スタートボタンでポーズ、セレクトボタンで使用アイテム切り替え、Bボタンでアイテム使用、Aボタンでジャンプキック。今度はキックにジャンプが付いた。

ここでも市民が前から後ろから現れて、ランダムに動き回っていた市街地の市民とは違い明確に殺意を持ってホームズに狙いを定め、体当たりを仕掛けてきます。中には銃を乱射してくる市民もおり、一直線に並んでいる状態で撃たれると弾をかわす事はほぼ不可能になる為、なるべく銃で撃たれないようにする位置取りを常に意識する必要があります。市街地でも銃乱射市民は出ますが、動きがランダムだから本当に乱射してるだけだし四方に動けるから楽にかわせるし……。

襲い来る市民を攻撃して倒すと、こちらではお金ではなくメッセージを残します。大半は何の役にも立たないメッセージですが時々今いる屋内に存在するオブジェに関するメッセージを残す事があり、そこをアイテムの虫眼鏡で調べる事でアイテムを手に入れたり、更なるヒントメッセージを見つける事が出来るのです。

虫眼鏡で見つけられるメッセージは、アイテムの手帳を手に入れる事で確認出来るようになります。全部で20あるこのヒントメッセージを全て見つけ出す事が、ホームズの当座の目標の一つとなります。

ホームズの目標はもう一つあり、それがロンドン以外の街の屋内マップのどこかに潜んでいるパパイヤ団幹部を探し出す事です。幹部のいるエリアに行くにはオブジェを特定するだけではなくそこで決まった行動を取る必要があり、一筋縄ではいきません。

幹部は攻撃力の高いナイフで攻撃してくるので、当たれば大ダメージは必死。幸いリーチは短めなので、銃を持たない市民を相手にするように冷静に対処しましょう。

耐久力こそ市民より高い幹部ですが、一度倒せば二度と出現しなくなるので根気良く攻撃しましょう。幹部を倒すと、その街のパパイヤ団支部で使う合言葉を教えてくれます。

また幹部を倒した後、すぐにエリアを出ずに辺りをうろつき回っているとライフアップアイテムが手に入ります。このライフアップアイテム、取るとライフが全快する上ライフ上限まで増やしてくれる優れものです。

隠されたメッセージの入手と、パパイヤ団幹部の掃討。この二つを目指し、ホームズは突き進んでいく事となります。もう推理とか完全にどこかへ行ってるけど気にしない!

ちなみにこの屋内マップ、下水道以外は建物内だろうが公園内だろうが問答無用で即死穴が至るところに空いてます。落ちたら当然即ゲームオーバーなので、くれぐれも落ちないように……。


さて本作、パスワードコンティニュー制なのですがやっているうちにある事に気付きます。そう、本作、パスワードの表示方法がパッと見全く解らないのです。

実は2コンを使用し裏技めいたコマンドを入力しないと、パスワードが表示されない仕組みになっているのです。……いくら説明書には載せてあるからって、その複雑さはないんじゃない?

なおコンティニューコマンドが何故か二つあり、そのうち片方は説明書にも載っていない完全な裏技。裏技じゃない方は、復活してもライフがたったの1という……。

ちなみに前述通りパスワードを表示させるには2コンが必要な訳ですが、説明書には『2コンは使用しません』の文字が……。確かに基本操作には使用する事はない訳ですが、なら何故わざわざ通常触れる事のない2コンの使用について触れた……。


正直攻略法を知っているのといないのとでは大分難易度が異なってくるゲームで、攻略法を知らないと本作を買ったばかりの筆者のように何をしたらいいのかさっぱり解らずただ闇雲に市民を虐殺するだけのプレイになりがちです。昔はそういったゲームがかなりあり、当時は本当に玉石混淆だったんだなあと実感する事しきりです。

まあとりあえず言いたい事は。これ絶対ホームズじゃない。



とりあえず、今回はこれにて。

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