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第百十八夜 悪魔の招待状

一つ、ゲームの話でもしようか。



前回はケムコが誇るバカゲー、「シャドウゲイト」をテーマにお送りしました。しかし実は、ケムコがローカライズしたアドベンチャーゲームは「シャドウゲイト」だけではないのです。

「シャドウゲイト」はケムコによる洋ゲーローカライズの第二弾で、「シャドウゲイト」を含めた計三本のアドベンチャーゲームがケムコの手によってファミコンへと移植されました。その第一弾が「ディジャブ」というゲームで、こちらはファンタジー色の強い「シャドウゲイト」とは異なり現代を舞台としたサスペンスとなっています。

そして第三弾として、今回のテーマが発売される事になったのです。それぞれ直接の続編が存在する「ディジャブ」と「シャドウゲイト」に比べると、そういった話のない今回のテーマは若干地味な位置付けにあると言えます。

しかし体感的にはこれが一番遊びやすく、難易度も低めに感じました。なのでこの場を借りて、僅かにでも知名度アップを図ろうかと思います。

今回のテーマ、名は「悪魔の招待状」。今度の物語は、一体どのようなものなのでしょうか?


本作はファミコン最盛期、ケムコよりファミコンにて発売されたコマンド選択式アドベンチャーゲームです。システムは「シャドウゲイト」と全く同じなので、操作方法の解説は前回に譲ります。

以下はストーリー。主人公は、車の中で目を覚ます。姉と二人でドライブをしていたのだが、突然飛び出してきた何かを避けようとして事故を起こしてしまったのだ。ふと隣を見ると、同乗していた筈の姉の姿がない。姉を探し車の外に出ると、そこには大きな館の姿があった。姉はもしや、この中に助けを求めに? そう思い、自らも館に向かう主人公の身に待ち受けるものとは……。といった感じになっています。

サスペンス、ファンタジーときて本作はホラーとなっています。この時代に純粋なホラーゲームは、なかなか珍しい気もします。

原作パソコンゲームでは友人とドライブしていた成人男性が主人公だったらしいのですが、移植の際にファミコンの購買層に合わせる形で少年主人公に変えてしまった為、オープニングは少年が車の運転席で目覚めるという若干ちぐはぐな事になってしまっています。主人公の年齢を変えるなら、せめて目覚める場所を運転席でなく助手席にするとかもうちょっと努力を……。


さて皆様が一番気になるのは、前作「シャドウゲイト」において猛威を奮った多種多様な死に様と面白ローカライズが一体どうなったかだと思われます。結論から言えば、これらバカゲー要素は大分成りを潜めています。

本作も実に様々な要因で主人公は死亡しますし、自殺選択肢も存在します。しかし本作の死因の大半は館に蔓延はびこる化け物達に襲われての死亡ですし、自殺選択肢も「シャドウゲイト」のような自主的な自殺ではなく刃物で遊んでいたらうっかり……のような偶発的な事故に変わり種類もかなり少なくなっています。

ローカライズの方は一人称で話が進むのは変わりませんが、主人公が少年になった影響か全体的に子供っぽい表現が多くなり前作のような大仰しい詩的さはあまりなくなっています。ゲームオーバー時も『なーんちゃって』の一言で先程までの死に様を全部なかった事にしてしまい、ホラーゲームなのに終始軽い感じでゲームは進んでいきます。

前作は自分の死に様を大真面目にそして詩的に語ってくれたから面白かったのであり、全部軽ーいノリで片付けられてしまうのは何か違う……と個人的には思わざるを得ません。そもそもローカライズ担当は笑わせるつもりで翻訳した訳ではないのでしょうが。


プレイヤーとしてはこちらの方が気になる?難易度については、「ディジャブ」、「シャドウゲイト」に比べると大分軟化しています。まだ使う予定のあるアイテムも捨てる事が出来、アイテムを捨てるタイミングを間違えると詰んでしまう「ディジャブ」、コマンド選択に回数制限がありやはりアイテム関連の詰みが幾つか存在する「シャドウゲイト」に比べると本作は制限もなく詰み要素も一つだけで、気軽なプレイが楽しめます。

また原作がそうだったのかそれとも移植の際に増やしたのかヒントも充実しており、丁寧に辺りを調べていけば必ず道は開けるようになっています。前作までと同じく死んでも死ぬ直前の状態ですぐ復活出来るので、リカバリーも楽チンです。

但しダミーアイテムの数は過去最多であり、一回も使う事のないアイテムが大量に存在します。中には取得した状態で一定回数コマンドを実行するとゲームオーバーになってしまう完全な罠アイテムもあり、リミットまでに該当アイテムを捨てられる場所まで辿り着けない状態でセーブするとそこで『詰み』となってしまいますので油断はなさりませんよう。


ホラーゲームとしての本作について。本作は前述通り子供向けの軽いテキストとなっており、ホラーゲーム特有の陰鬱でドロドロとした雰囲気は文章上は皆無となっております。

しかしグラフィックの方はガチで、顔が骸骨化した女幽霊や地下迷宮のゾンビの顔のアップなどファミコンのドット絵で可能な限りリアルにグロテスクに描かれています。これら化け物達による殺害方法も生きたまま肉をむしり取られるなど陰惨なものばかりで、どこが子供向けなんだと開発者を小一時間問い詰めたくなってきます。

もっともそれら全て、『なーんちゃって』の一言でなかった事になるんですけども……。怖がらせたいのか怖がらせたくないのか、果たしてどっちなのか。


紹介による微細な知名度アップを試みたものの、いざ要点を書き出してみると何でこれだけ単発で終わったのか解ったような気がします。とは言え遊びやすいのには変わりないので、ホラーが大丈夫であればケムコのアドベンチャーゲーム入門には丁度いいのではないでしょうか。……今から手に入ればですが。



とりあえず、今回はこれにて。

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