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第百十六夜 クインティ

一つ、ゲームの話でもしようか。



「ポケットモンスター」シリーズの開発元として、今では有名なゲームフリーク。ですがそのゲームフリークがまだファミコンが活躍していた時代から存在していた事は、ゲームに詳しい人以外はあまり知らない事だったりします。

発足当時のゲームフリークはゲーム攻略本を自費出版していた同人グループで、始めからゲーム制作を主にしていた訳ではありませんでした。そんなゲームフリークが初めてゲームを作り完成させたのは、ファミコンが全盛期の頃。

ゲームフリークはそのゲームをナムコに持ち込み、発売してくれるよう交渉します。そして当時他社ゲームの販売権取得に熱心だったナムコはそれを承諾、ゲームフリークの処女作は晴れてファミコンで発売される事になったのでした。

そのソフトの名は「クインティ」。後の大ヒットゲームを生み出した会社の処女作とは、一体どんなものだったのでしょうか。


本作はファミコン全盛期、旧ナムコ、現バンダイナムコエンターテインメントよりファミコンにて発売されたアクションゲームです。アクションとは言うもののパズル要素もあり、単純なごり押しは通用しない作りになっています。

以下はストーリー。主人公カートンは人形達が暮らす人形の国で、三人の兄達と妹と皆で仲良く暮らしていた。ところがある日、カートンが恋人のジェニーを兄妹達に紹介したところ、妹のクインティがカートンをジェニーに取られたくないとジェニーをさらっていってしまったからさあ大変。更にはジェニーに一目惚れした三人の兄達までクインティに手を貸して……。果たしてカートンは兄妹達の妨害を乗り越え、無事にジェニーを救い出す事が出来るのか? といった感じになっています。

物語の起点がヤンデレ染みた実の妹の暴走だったり兄達まで横恋慕してきたりと、処女作から黒いゲーフリは全開フルスロットルだったようです。可愛い世界観とキャラで誤魔化されてはいますが、改めて考えるとどう見ても泥沼ってレベルじゃない……。


まずはキャラの基本操作から。本作は一画面見下ろし型となっており、十字キーでキャラを上下左右に動かす事が出来ます。

床にはパネルが敷き詰められており、ボタンを押す事で目の前のパネルを一枚めくります。微妙に気を付けなければいけないのが『足元の』ではなく『目の前の』であるという点で、この距離感を正しく把握しないと思い通りのパネルをめくるのは難しくなってきます。

パネルをめくると、下から新たなパネルが現れます。一度めくったパネルは二度と元には戻らないので、何かしらの効果を持つパネルだった場合は注意しましょう。

まためくったパネルの上に敵が乗っていた場合は、めくった方向に敵を吹き飛ばす事が出来ます。敵を吹き飛ばし壁にぶつけると倒す事が出来、全ての敵を倒す事でそのステージはクリア、次のステージに進みます。

キャラは敵の体当たりを受ける事でミスとなり、ボスステージ以外は経過した時間とパネルの状態はそのままに敵とキャラのみ初期位置に戻って再スタートとなります(ボスステージは全て初期状態に戻る)。残機が全てなくなるとゲームオーバー、コンティニューすると挑んでいたエリアはまた最初からの挑戦になりますが、既にクリアしたエリアの記録はリセットしない限り残り続けます。


本作は10のエリアに分かれており、それぞれのエリアは10のステージで構成されています。序盤8エリアは好きな順番での攻略が可能で、8エリア全てをクリアすると後半2エリアに進み、これを順番にクリアしていく事になります。

エリアは後半の1エリアを除いてそれぞれ出現する敵が決まっており、最後のボスステージ以外ずっと同じ敵が出続けます。とは言え同じ敵でも色によって微妙に性能は異なるので、マンネリ化する事はありません。

それぞれの敵はどれも個性的で手強く、簡単には倒されてくれません。以下に本作の敵達の特徴をご紹介します。


ウォークマンはただ歩き回るだけで何も特技を持たない、一番弱い敵です。しかしステージ後半に出るものは一回吹き飛ばされると、吹き飛びやすさは上がるもののスピードも格段に上がる小さい二体のウォークマンに分裂する為、油断は禁物です。

プランプはその巨体を活かし、四股を踏んで横一列のパネルを波状にめくってきます。見た目通り動きは遅いですが、吹き飛ぶ距離も短くなかなか壁にぶつけられません。

バレリーナはくるくると回転しながら斜め移動をしてきます。後半になるとキャラを追尾するように弧を描くようになり、より動きが読みにくくなります。

ジャンパーはピョンピョンとジャンプをしながら移動します。ジャンプ中は足元のパネルをめくっても吹き飛ばないので、着地の瞬間を上手く狙って吹き飛ばさなくてはいけません。

スイマーは何とパネルの中に潜り、パネルをばた足でめくりながら泳いで移動するという離れ業を披露します。その上プールサイドを移動するように壁の上を直接移動し、その間は一切の攻撃を受け付けません。

アーティストは一番の難敵で、パネルに落書きをしてそのパネルをめくれないようにしてしまいます。更に後半の落書きからは敵が生まれるようになり、攻撃手段を封じられた上敵まで増えるという厳しい戦いを強いられます。

アクロバットは普段は歩き回るだけですが、こちらがパネルをめくるとジャンプして吹き飛ぶのを回避してきます。吹き飛ばすには一回ジャンプした後の着地の瞬間を狙うしかなく、ジャンパーと似たような対処を求められます。

ミミーはこちらが移動すれば移動、立ち止まれば停止、パネルをめくれば一緒にパネルをめくるなどこちらの動きを真似してきます。ミミーが停止している間はBGMも停止するなど、細かい演出も。

コサックは最終エリアに登場し、キャラに近付くとパネルをめくって逆にこちらを吹き飛ばしてきます。しかし筆者は最終エリアまで行けた事がないので、コサックを直に見た事はなかったりします……。


各ステージには目には見えない制限時間があり、それを過ぎるとBGMが早くなり敵の行動パターンも変化します。徐々に敵の動きが速くなっていくだけでなくキャラを積極的に追尾してくるようにもなるので、なるべく時間はかけすぎないようにしたいところです。


ステージに敷き詰められたパネルには特殊な効果があるものがあり、こちらを手助けしてくれたり逆にこちらを妨害してきたりします。基本的に取るかめくるかで消失するこれらパネルですが、折角減らした敵を補充してくるエネミーパネルなんかはめくってもめくってもエネミーパネル、なんて事も……。

またステージ開始直後にステージの全てのパネルを波状にめくってくれるサンパネルが出てラッキー、と思いきゃめくったその下は全部エネミーパネルで敵もジャンプするタイプだった為肝心のめくりも全部かわされた……という罠パターンもあり、プラス効果のパネルであっても必ず役に立ってくれるとは言えません。全ての特殊パネルの効果をしっかりと把握し、使いこなす事が、クリアへの第一歩なのです。

またパネルはステージによって同じ場所のパネルを何回までめくれるかが決まっており、めくりすぎるとそれ以上はその場所のパネルをめくれないロックパネルに変化してしまいます。ステージによっては一、二回めくっただけでこのロックパネルになる事もあり、元々高めの本作の難易度を更に上げてくれます。


なお本作は裏技で隠しモードであるエクストラモードを遊ぶ事が出来、こちらはより難易度の上がった全100ステージを一気に制覇していくというまさに上級者向けのエクストラなモードになっています。このエクストラモードをクリア出来れば、あなたも立派な「クインティ」フリーク?


ゲームフリーク処女作は、ゲームフリークらしい個性がぎゅっと詰まった高難度アクションとなりました。この後ゲームフリークは細々とゲーム会社に作品を持ち込みながら「ポケットモンスター」の開発に取り掛かり、およそ六年後にやっと完成させる事となるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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