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第百十五夜 星のカービィ 夢の泉の物語

一つ、ゲームの話でもしようか。



まるかいて♪おまめがふたつ♪おむすびひとつ♪あっというまに♪ほしのカービィ♪

初代「星のカービィ」のCMで流れた絵描き歌。当時幼かった人で、この絵描き歌を歌ってカービィを描きまくった経験のある人も多いのではないでしょうか。

HAL研究所開発、任天堂発売のこの「星のカービィ」は可愛いキャラクター、解りやすい操作性、万人が楽しめる難易度などから大ヒットを記録。その後も続々とシリーズを出し、任天堂の看板作品の一つとなっていきます。

今回ご紹介するのは、「星のカービィ」シリーズの人気を決定付けた作品の一つ。スーパーファミコンソフト「星のカービィスーパーデラックス」と並び、『初めてやったカービィはこれだった』という声が多いファミコン末期の名作。「星のカービィ 夢の泉の物語」です。


本作はファミコン末期、任天堂よりファミコンにて発売された横スクロールアクションゲームです。ファミコン末期の作だけあり進行状況はステージクリア毎に常に自動セーブされ、リセットしたり、一度電源を切って再度点けたりしても中断する直前の進行状況が保存されるようになっています。

以下はストーリー。呆れ返るほど平和な国、プププランド。このプププランドには『夢の泉』というものがあり、眠っているプププランドの住民達に楽しい夢を届けるという役割を持っていました。ところがある日突然、プププランドの住民達は夢を見る事が出来なくなってしまいます。その原因はデデデ大王。何と『夢の泉』の原動力である『スターロッド』を七つに分けて手下に配り、自分は優雅に『夢の泉』で水浴びをしていたのです。カービィは楽しいお昼寝タイムを取り戻す為、『スターロッド』を元に戻す旅に出発する事にしたのでした……。といった感じになっています。

カービィ初心者の為に追記しておくと、この頃はまだストーリーも牧歌的というか、終始可愛い感じになっています。ですが「星のカービィスーパーデラックス」辺りからだんだんストーリーが洒落にならない感じになってくるので、『流石キャラが可愛いとストーリーも可愛いんだなあ』と思って最近のカービィに触れると困惑する事受け合いになると思われます。ご注意。

また本作は、後にシリーズ屈指の人気キャラとなるメタナイトのデビュー作でもあります。『世界一カッコいい一頭身』の呼び声高く、かと思うとコラボカフェではやたら甘党の可愛い一面が強調されるなどギャップ萌え甚だしいメタナイトですが、初登場となる本作では要所要所で部下をけしかけてくる一方でカービィに無敵キャンディを届けたりもするなど、敵とも味方とも取れるミステリアスなキャラとして描かれていました。


まず本作をプレイして目に付くのは、鮮やかな色彩のグラフィックです。ファミコン末期のスペックを最大限に活かしたグラフィックは、大変ポップでカラフルな印象をプレイヤーに与えてくれます。

これは敵味方共にキャラクターに使う発色数を抑える事で実現可能になったものです。ファミコンでは一度に発色出来る色数が五色しかなく、キャラクターの色味が豊かだとその分背景などが割りを食う事になってしまいます。

そこで本作では発想を逆転し、キャラクターに使う色をなるべく少なくして背景など世界観を表す部分を豊かな色彩で描いたという訳です。本作は敵も味方も総じて小柄なので、こういう思い切った事が出来たのでしょう。

では、キャラクターはその分手を抜いているのか? 答えはノーです。

本作のキャラクター達は確かに小さいですが少ない色数で目一杯カラフルに描かれ、動きも生き生きとしています。その最たるものが主人公のカービィで、ちんまりとした姿にもかかわらず表情は実に豊かでアクションも豊富、動かしているだけで楽しくなってきます。

シンプルなのにカラフル、シンプルなのにアグレッシブ。これこそ本作の最大の魅力ではないでしょうか。


そんな本作の操作をご紹介します。まず十字キーの左右で移動、Aボタンでジャンプ。この辺は一般的なファミコンのアクションゲームと変わりません。

Bボタンを押すと、立ち止まって目の前の敵や星ブロックを吸い込みます。一度吸い込み頬張ったものはもう一度Bボタンを押す事で弾として直線的に吐き出され、これを使って別の敵や星ブロックを攻撃する事が出来ます。

敵や星ブロックを頬張っていても移動は可能ですが、その間は幾つかのアクションが使えなくなります。また吸い込みや吐き出しが効かない敵もおり、そういう敵は避けるしかありません。

また敵を頬張ると、時々カービィの体が点滅します。この時に敵を吐き出すのではなく十字キーの下を押して飲み込むと、その敵の持っている能力をコピーして使う事が出来るようになるのです。

敵からコピー出来る能力は全部で25種類。中には回数制限のあるものや、極めて強力な代わりに今いるステージを出たらノーマル状態に戻ってしまうステージ限定のもの、コピーした直後に眠ってしまい一定時間動けなくなるものまであります。

コピーした能力は一回ダメージを受けるか、セレクトボタンで自ら捨てる事で星になって飛び出し辺りを跳ね回ります。飛び出た星は別のコピー能力を得るか一定時間経つと消えてしまうので、リカバリーはお早めに。

ちなみに今持っているコピー能力がどんな効果を持っているかは、スタートボタンを押す事で確認出来ます。使い方がいまいち解らないコピー能力などは、スタートボタンを押して効果を確認すると良いかも。

十字キーの上を押すとカービィの体が膨らみ、ホバリングで空中移動出来るようになります。ホバリング出来る時間に制限はなく、Bボタンを押す事でいつでも状態を解除出来ます。

また状態解除の際に空気弾を発射し、射程も短く威力も弱いですが敵や星ブロックを攻撃する事が出来ます。なお敵を頬張っている最中は浮かび上がれません。

十字キーの左右を素早く二回押すとダッシュをし、通常より速く移動出来るようになります。流石に同社のマリオのようなスピード感はありませんが、マリオのように狭い穴ならばダッシュで越えていく事が可能です。

敵を頬張っている時以外で十字キーの下を押すとカービィがしゃがみ、更にその状態でAボタンを押すと進行方向にスライディングします。弱い敵や星ブロックならこれで倒したり壊したりする事が出来ますが、スライディング直後はちょっとだけ無防備な状態になってしまうので多用は禁物。

高いところから落下している状態で暫く浮きもせず放って置くと、カービィの体が下向きになり体当たりで敵や星ブロックにダメージを与える事が出来ます。但し狙って当てるのは難しいので、あくまで高所落下の際の緊急用とお考え下さい。

水中では吸い込みや吐き出しが出来ず、代わりにBボタンを押すと出る威力の低い水鉄砲で攻撃する事になります。一部のコピー能力は水中でも変わらず使えますが、ダメージを受けるとすぐに星が消えてしまいノーマル状態に戻ってしまうので注意!

以上の動きを使いこなし、カービィを操っていきましょう。文章にすると難しく思われるかもしれませんが、実際に操ると驚くほど快適なのでアクションが苦手な人でもそんなに苦労はしないと思います。


本作のエリアは全部で七つ。その中に幾つかのステージと施設があり、一度開放したステージや施設にはいつでも行く事が出来ます。

ステージや施設はステージをクリアしたり、ステージ内に隠されたスイッチを押す事で徐々に開放されていきます。スイッチで開放されるのは施設だけで、ゲームをクリアするだけならステージをクリアしていくだけで十分ですが、施設の開放はクリア達成率に関わってくる為最高の100%にするにはスイッチをどんどん探し当てていく必要があります。

どのステージにスイッチがあるかはステージ入口の扉の色で判別出来、スイッチがないかあっても既に押されている場合はクリア後に扉の色が白になりますが押されていないスイッチがまだある場合はクリアしても扉の色が未クリア時と同じ茶色のままになります。コピー能力を上手く使わないと辿り着けないところにスイッチがあったりするなど難易度は若干上昇しますが、ゲームに慣れてきたら探してみるのもいいかもしれません。

なおスイッチを押すと、その場でライフが全快します。後に紹介するエクストラモードを突破する上で、この仕様が地味に重要になってきたりします。

ちなみに各ステージクリア時には、未クリアのステージでもクリア済みのステージでも必ずミニゲームをやる事になります。ジャンプ台の上でタイミング良くボタンを押し、見事一番上の階層まで到達すると1upするというもので、上手い人ならここで残機を量産する事も可能です。


施設はミニゲーム、博物館、闘技場、ワープスター発着所があります。以下に、それぞれの特徴を説明していきます。

ミニゲームはクレーンフィーバー、早撃ちガンマン、たまごきゃっちゃの三種類に分かれています。成績によってスコアや残機が増え、パーフェクトなら3~4upとかなりの残機が稼げます。

但し各ミニゲームにはレベルが設定されており、このレベルが高いほど難易度も高くなります。各エリアのミニゲームは一度遊ぶとそのエリアではもう遊べなくなりますが、リセットすると復活し、また遊べるようになります。

なおこれらミニゲームも、遊んだ後はライフが全快します。エクストラモードでは、やはりこの仕様が大きい意味を持ってきます。

博物館にはコピー能力を持つ敵が動いたり攻撃したりしてこない状態で展示されており、いつでも何度でも展示された敵のコピー能力を得る事が出来ます。あまり強力なコピー能力は置いてありませんが、ノーマル状態でステージに挑むのは心許ない……なんていう時に活用するといいと思います。

闘技場は中ボスと対決する事になり、勝つと中ボスのコピー能力とライフ全快アイテムのマキシムトマトが手に入ります。ここもミニゲーム同様一度利用するとリセットするまで再利用出来なくなりますが、本作の中ボスは手強い敵が多いので元々減っているライフの回復に使えるかというと微妙なところだったりします……。

ワープスター発着所は、普通は隣のエリア同士しか直接行き来出来ないところを好きなエリアまで一気に移動出来るという言わばワープゾーンです。但しワープ出来るエリアは、ワープスター発着所が開放されているエリアのみに限られます。


ステージ間にいる中ボスやエリアボスとの戦いでは、カービィのライフの下にボスのライフゲージが表示されます。このライフゲージを削り切ればカービィの勝ちとなり、中ボスならば中ボスのコピー能力を得られ、エリアボスならばスターロッドの欠片が手に入りそのエリアはクリアとなります。

中ボスとは出てくるステージに行く事で何度でも戦えますがエリアボスは一度倒したらエリア7のボスのデデデ大王以外再戦は出来ず、ボスの部屋だった場所は次のエリアに行く為の通路になります。ちなみに各ボスとはもう絶対戦えないのかというと……? 答えは後述。


さて本作にクリア達成率がある事はちょこっと触れましたが、これはただの自己満足の為だけのものではありません。クリア達成率を100%にする事で、新たなゲームモードが遊べるようになるのです。

クリア達成率100%で開放されるゲームモードは『ミニゲームであそぶ』、『エクストラモード』の二種類。このうち『ミニゲームであそぶ』は、好きなミニゲームを好きなレベルで好きなだけ遊び放題になるというご褒美モードです。

但し選べるミニゲームの中にある『ボスとたいけつする』はこのモードのオリジナルで、内容はラスボスを含めた全てのエリアボスを残機0、ライフ回復なしで順番に倒していくというハードなもの。五体目のボスを倒したところで一旦ライフが全快する仕様にはなっているので、そこまで頑張れれば何とか……なる?

このミニゲームをクリアする事でもエンディングは流れ、その時のエンディングは通常版とちょっと違ったものになります。腕に覚えがあるなら、クリアして両者を比較してみるのもいいかも。

そして開放されるゲームモードとしてはこちらが本命の『エクストラモード』。これはライフ総数半減、セーブなし、コンティニューもなしの条件で最初から最後までのクリアを目指す上級者向けモードです。

たかがライフ半減、されどライフ半減。ライフが6から3になっただけで難易度は劇的に変化し、少しのミスも許されないプレイを要求される事になります。

回復アイテムも本来ライフ2回復の元気ドリンクは半分の1しか回復せず、マキシムトマトの方は据え置きですがそれでもライフが3に戻るだけ。しかも回復アイテムはリセットしないと復活しない仕様なので、セーブ不可のこのモードでは一度取ったら二度と回復しない事になります。

ならば残機を増やそうとしてもこのモードのミニゲームは全て最高レベルで、ミニゲームで残機を増やす事は大変難しくなっています。ステージクリアのミニゲームでコンスタントに1upを取れる腕前でないと、なかなか残機を増やす事は出来ないと思います。

ここで活きてくるのが、前述のスイッチとミニゲームによるライフ全快。特にミニゲームの方は開放されてみすぐには遊ばずライフがピンチになったら遊ぶなどすると、臨時の回復ポイントとして機能してくれます。

それでもライフはたったの3、死ぬ時は死ぬしゲームオーバーになる時はなるのでクリアしたければひたすら腕を磨くべし。見事クリアすれば更にサウンドテストが開放されるので、頑張る価値は十分にあります。


ファミコン末期だから出来た完成度とボリュームを誇る本作は、未だファミコンで遊び続けていたユーザーに大きな楽しさを提供してくれました。そして後の「星のカービィスーパーデラックス」でその人気は不動のものとなり、カービィもまた、任天堂を代表するキャラの一人として成長していくのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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