第百七夜 少年アシベ ネパール大冒険の巻
一つ、ゲームの話でもしようか。
「少年アシベ」。森下裕美作の四コマ漫画です。タイトルでピンと来なくても、『ゴマちゃん』と言えば『ああ!』となる人は多いと思います。
「少年アシベ」は小学一年生の少年芦屋アシベとそのペットであるゴマフアザラシの赤ちゃんのゴマちゃんを中心とした人間関係の中で繰り広げられる日常を描いたギャグ漫画で、過去には何度かアニメ化されゴマちゃんのグッズも多数作られました。現在でも作画担当を変更した続編が連載されているなど、息の長い作品になっています。
そんな「少年アシベ」、テレビアニメ放映時には何度かゲーム化もされました。原作は青年誌連載だったもののアニメ化の際に内容を子供向けに調整されたという有名どころで言えば「クレヨンしんちゃん」と同じパターンだった為、ゲームのメインターゲットも自然とアニメを視聴している子供達となり難易度もマイルドなものとなりました。
今回はそんな「少年アシベ」のゲームの一つ、「少年アシベ ネパール大冒険の巻」をテーマにお送り致します。
本作はスーパーファミコンが発売されて間もなくの頃、旧タカラ、現タカラトミー(但し現在はゲーム事業から撤退)よりファミコンにて発売されたコマンド選択式アドベンチャーゲームです。プレイヤーは全三章からなるストーリーを、主人公アシベの視点でプレイしていく事になります。
ストーリーは本作オリジナルとなっており、「少年アシベ」のメインキャラ達も勿論登場します。但し全員という訳ではなく、サカタ兄弟や先生達など本作に登場しないメインキャラも何人か存在します。
以下はストーリー。いつものように学校から帰ってきたアシベ。けれどゴマちゃんの姿は家になく、どうやらじいちゃんの会社にいる模様。じいちゃんの会社に向かうと、見つけたゴマちゃんは手紙をくわえていた。それは今はネパールにいる親友のスガオ君からのものだったが、肝心の内容がゴマちゃんのヨダレで滲んで解らなくなってしまっていた。アシベは手紙の内容を知る為に、スガオ君に会いにネパールへ行く事を決意する。はてさて、アシベは無事にスガオ君と再会する事が出来るだろうか……? といった感じになっています。
一章一章は基本的に短くバッドエンドもないので、初見でも大体二時間くらいあればエンディングまで辿り着けると思います。子供が片手間に遊ぶにはいいかもしれませんが、大人がやるにはボリュームが薄すぎるのは否めません。
システムは実にオーソドックスで、提示されたコマンドの中から正しいコマンドを選んでいく事で話が先に進みます。コマンド選択式アドベンチャーゲームには付き物のお遊び選択肢も少なく、ただでさえ薄いボリュームが更に薄くなっています。
登場キャラの比重も大分偏っており、三章のうち一章しかまともに会話する機会のないキャラがいたかと思えば三章全てに跨がって登場するようなキャラもいます。特に本来アシベと絡む機会はそうない筈の芦屋商事の面々は厚遇されており、シナリオ担当が芦屋商事好きだったのかと疑ってしまうレベルです。
各章にはそれぞれミニゲームも用意されていて、一章はコイントス、二章は三択クイズ、三章は3D迷路と分かれています。このうちコイントスと3D迷路はぶっちゃけただの時間稼ぎの水増しなのですが、問題は三択クイズ。
このクイズ、全問正解しなければ希望の賞品が手に入らないという触れ込みで始まるのですが、問題のレベルが明らかにメインターゲットの子供が解けるレベルじゃない。オーストラリアの首都を即答出来る子供がどれほどいるのか見てみたいものです。
もっとも全問正解していっても、ゴマちゃんが最終問題の途中で勝手にボタンを押してしまった為答えられず不正解になり賞品ゲットならず……というオチはつくのですが、正直最終問題より前に不正解を重ねた子供達の方が多いと思います。いくらクイズ番組という体だからって、問題のレベルまでクイズ番組並にしなくてもいいとは思うのですが……。
そんな本作ですが、肝心のグラフィックはと言うと当時のアニメに忠実によく描けていると思います。ゴマちゃんの愛らしい鳴き声も、ファミコンの貧弱な音源で頑張って再現しようとした努力の跡も窺えます。
またボリュームの薄さも大人として見るなら、と言ったところで、メインターゲットの子供には丁度いいボリュームと難易度だったのではないでしょうか。……三択クイズは除いて。
ボリュームの薄さと簡単すぎる難易度という粗は目に付くものの、タカラ製のキャラゲーとしては問題なく普通に遊べる出来だと思います。ただ本当にすぐに終わってしまう為、歯応えのあるアドベンチャーゲームをやりたい方にはお勧めしかねます。
とりあえず、今回はこれにて。




