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第百四夜 ファイナルファンタジー4

一つ、ゲームの話でもしようか。



人生とは、出会いと別れの繰り返しです。誰かと出会えばいつかは必ず別れる事となり、そしてその先にはまた新たな出会いがある。

それはただ擦れ違っただけの人や、友や伴侶と呼ぶべき相手まで様々です。そうした出会いと別れの中で、人間は心を育てていくのです。

さてゲームの世界でも、やはり出会いと別れは避けられないものです。頼もしい仲間達との出会いや別れは、作中のキャラクター達を大きく成長させてくれます。

最近は折角仲間にしたのにイベントで永久離脱するなんて!という声が大きくなったからかは解りませんが、仲間との別れの機会は幾分か減り、出会いの比重の方が大きくなってきたように思えます。仲間が増えても減る事はないからか、パーティーインするキャラクター自体も五人前後くらいが平均になっている気がします。

今は昔、スーパーファミコン辺りの頃はパーティーメンバーが入れ替わり立ち替わりしてなかなか固定メンバーが決まらないのが一般的でした。最終的に全てのキャラを仲間に出来るようになるタイプと、固定メンバーのみで変更は効かないタイプとに分かれてはいましたが、どちらにせよ今思うと落ち着かない話ですね。

さてそろそろ本題に入りましょう。今回のテーマは、そんな出会いと別れがメインとなった作品。「ファイナルファンタジー4」です。


本作はスーパーファミコン初期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりスーパーファミコンにて発売されたRPGです。スーパーファミコン初期のRPGながら、その後「ファイナルファンタジー6」に至るまでのフォーマットが既にほぼ完成しているのが特徴です。

以下はストーリー。軍事国家バロンの誇る飛空艇団『赤い翼』の隊長である暗黒騎士セシルは国王の命の元、魔法国家ミシディアを攻めそこに祀られるクリスタルを手に入れるという任務を果たしバロンに帰還する途上にいた。国王の命とは言え、罪もなき人々を傷付け略奪を行った事に思い悩むセシル。しかしバロンに無事帰還したセシルを待っていたのは、国王に対し翻意ありという謂われなき嫌疑とそれによる『赤い翼』隊長の解任という重い処分だった。戸惑うセシルに国王は新たな命を下す。『ボムの指輪を、召喚士の村ミストに届けよ』。恋人ローザとの刹那の逢瀬、そして自分を心配し共にミストに行くと申し出た親友カインとの合流を経て、セシルはミストへと旅立つ。セシルはまだ知らない。この旅が、自分の運命を大きく変えるものになる事を――。といった感じになっています。

この頃にはすっかりシリーズの特徴となっていた壮大なオープニングは勿論健在で、スーパーファミコンになりより厚みを増したお馴染みのテーマがオープニングの締めを飾ってくれます。このオープニングが長いせいで、なかなか最初のセーブが出来ないという難点もあるにはあるのですが。


本作から導入されたスクウェアを代表するシステムに、ATBアクティブタイムバトルがあります。以前にも紹介しましたが改めて説明させて頂きますと、このシステムは戦闘中絶えずリアルタイムで時間が流れ、こちらがコマンドを選んでいる最中にも構わず敵が行動するというものです。

次作「ファイナルファンタジー5」以降はATBバーというものが導入され味方に限りどのタイミングで行動順が巡ってくるかが可視化されるようになりましたが、本作ではまだそのような機能はなく、また順番が巡ってくる早さもまちまちでした。早く順番が巡ってきて欲しい仲間に限ってなかなか順番が来ないというのは、本作経験者なら誰もが一度は経験したであろう事だと思います。

また本作ではコマンドを選択してから実行されるまでの時間にもコマンドによってかなりの開きがあり、基本的に通常攻撃は早く魔法などの特殊コマンドは時間がかかるといった形になっています。一人の仲間が一回魔法を唱える間に、別の仲間が二回通常攻撃をしていたなんていうのも普通にあるから恐ろしい。

ATBの導入を受けて魔法にも変化が生じ、行動順を早めたり逆に遅くしたりといった補助魔法も登場する事となりました。素早さ自体を変えるのではなくあくまで行動順を早めたり遅くしたりするだけなので、これらによって命中率や回避率までは変化しないという点に注意。


本作のボス達は、状況によって様々に形態が変化します。それは時間経過によるものだったりまたはダメージ量によるものだったりと様々ですが、場合によっては形態毎に攻め手を変えていく必要が出てきます。

特に時間経過系はダメージを無効化してきたり更に一定時間経過で大ダメージを与えてきたりと素早く対処しないとこちらが不利になる事が多く、油断が出来ません。対応策は概ね解りやすいものになってはいますがはっきりとしたヒントが示される事は少ないので、RPG初心者には少し辛いかもしれません。


さて本作では、途中様々なキャラが加入と離脱を繰り返す事となります。その中に一人として同じ性能のキャラはおらず、また同じキャラですらもイベントによって性能が変わってくる場合があるのでパーティーに慣れるのも一苦労です。

キャラは一人一人、通常攻撃などの基本コマンドとは別に固有の特殊コマンドを持っています。それは白魔法、黒魔法といった複数のキャラに跨がって持たれているものから、そのキャラだけのオンリーワンのものまで多岐に渡ります。

中には選んでから発動するまで物凄く時間がかかる代わりに、威力は超強力といったピーキー極まりないものも……。実際の戦闘で役に立つかはともかく、一度は使ってみたくなるロマン技ではあります。

パーティーメンバーは最大で五人。前列後列も選べますが一般のRPGのそれとは違い、必ず前列3後列2、もしくは前列2後列3のW型の隊列でないといけないのです。

大抵の場合はピッタリこの型に嵌まるようなパーティー編成になるのですが、とあるボスだけは前列キャラ四人後列キャラ一人という嫌でも前列キャラを一人後列に下げなければならないパーティー編成で戦う事になります。そのうち一人が、後列でも命中率を落とさず戦えるキャラだというのだけが幸いです……。

システム以外の話をすると、彼ら彼女らとの別れは常に悲劇的です。ある者は仲間を守る為幼いその身を自ら石に変え、またある者は敵飛空艇の追撃を防ぐ為爆弾を抱えて特攻します。

……が、一名を除いて全員その後普通に再登場するので大いにずっこけさせられる事に。死ななかったのは良かったけど、あの悲しい別れは一体何だったんだろう……。

あと一部で伝説と言われているのが、中盤にヒロインローザを助けに行く際のパーティー編成。その編成は端的に言うなら、じじいイケメンハゲじじい。

何と主人公セシル(イケメン)、妻帯者のおっさん(ハゲ)、年頃の娘がいるじじい(×2)という花も色気もないパーティー。パーティー内の平均年齢低下が一部で問題として叫ばれている現代では考えられない平均年齢の高さ。あと濃ゆさ。

なおこの伝説パーティーはゲームバランス的にも厳しく、攻撃力は高いけど重い防具は装備出来ない紙前衛を二人も抱えているのに回復役の二人が片方は弱い魔法しか使えない上基本は前衛、もう片方は最高レベルの魔法が扱える代わりに最大MPが低く、しかも唯一の攻撃魔法役も兼任という有り様なのでどう足掻いても回復の手が足りない状態に。これを乗り越える事で仲間になる専業白魔道師であるローザのありがたみが、心から身に染みるパーティー編成です……。


本作はキャラ毎に名前は決まっているのですが、各町にいるネミングウェイというキャラクターを訪ねる事でその名前を自由に変更する事が出来ます。既に決まっている名前を後から改名出来るというのは、RPG全体で見ても珍しい試みだと思います。

しかし名前を変えたキャラは離脱後もその名前のままになるので、下手をするとそのデータでのプレイ中は二度とキャラの名前が戻せない事に……。それを見越してわざと変な名前にして別れる遊び方もまあ、アリと言えばアリですけども。


スーパーファミコン初の「ファイナルファンタジー」は、新たなるハードの可能性を存分に感じさせてくれる作りとなりました。この後も「ファイナルファンタジー」シリーズは進化を続け、プレイヤーを魅了していく事となるのです。



とりあえず、今回はこれにて。

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