第百三夜 ファイナルファンタジー3
一つ、ゲームの話でもしようか。
さて長らく続きましたスクウェアエニックス大特集も、いよいよ終わりが近付いて参りました。我ながら、こんなに長い間続いた事にドン引きする事しきりでございます。
そんなスクウェアエニックス大特集の締めを飾りますのは、やはりこのシリーズしかないでしょう。「ドラゴンクエスト」シリーズと並ぶスクウェアエニックスの二枚看板の一つ、「ファイナルファンタジー」シリーズです。
その第一弾となる今回は、筆者と「ファイナルファンタジー」シリーズの初めての出会いとなる作品。「ファイナルファンタジー3」をご紹介します。
本作はファミコン最盛期、旧スクウェア、現スクウェアエニックスよりファミコンにて発売されたRPGです。最近では「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」にも収録され、若干知名度も上がったのではないかと思います。
以下はストーリー。ウルの町に住む四人のみなしごの少年達は、先日の大地震で地中深く埋まった神殿の跡地に現れた洞窟へと探検にやってきていた。しかし途中で深い穴に落ち、帰り道が解らなくなってしまう。襲い来るゴブリン達を何とか退けながら洞窟をさ迷う少年達の前に、やがてクリスタルの祭壇とその前に立つモンスターの姿が現れる。力を合わせ辛くもモンスターを撃退した少年達に、クリスタルは世界を救う啓示を与え光の戦士としての力を授ける。こうして少年達の、世界を救う為の旅が幕を開けた……。といった感じになっています。
主人公となる四人の少年達には同じ町で共に育ったみなしごであるという事くらいしか設定はなく、キャラ同士の関係性を自由に想像するにはもってこいです。更に「ドラゴンクエスト」シリーズとは違い名前の文字数制限が六文字まで、濁点や半濁点がついていても一文字として数えられる、カタカナの使用も可能とネーミングの自由度はすこぶる高く、この点もプレイヤーには嬉しかったのではないでしょうか。
なおDSでのリメイクでは主人公四人の設定は独自のものに変わっており、この部分は賛否両論あった模様です。ルーネス達も悪くはないのですが、やっぱり筆者は幼馴染み四人がわちゃわちゃしてた旧設定の方が好きかなあと思ってしまいます。
本作の目玉となるシステムと言えば、何と言ってもジョブチェンジシステムです。主人公達は風火水土の四つのクリスタルから力を与えられる事によって、様々なジョブにチェンジする事が出来るようになるのです。
最初はごく基本的なジョブにしかチェンジ出来ませんが各種クリスタルと出会う事によりチェンジ出来るジョブの種類は増えていき、最終的には22種類のジョブにチェンジが可能になります。基本的に後にチェンジ出来るようになるジョブほど性能は高い傾向にありますが、上位互換の存在しない独特なジョブも中にはあり状況によって使い分ける事が重要となります。
ジョブチェンジは戦闘中以外ならいつでも可能ですが、下準備として魔法以外の装備を全て外してある事、そしてそのジョブにチェンジするのに必要なだけのキャパシティがある事がそれぞれ必要になります。キャパシティは戦闘に勝利する事で溜まっていき、ジョブチェンジを行う事で消費されていきます。
ジョブチェンジに必要なキャパシティ量は今就いているジョブによっても変わり、例えば戦士から方向性が近いナイトにチェンジする時は消費キャパシティは少なく済みますが、戦士から方向性が遠い白魔道師にチェンジしたい時は多めのキャパシティを必要とする事になります。この為、最低でも各キャラを戦士系にするか魔道師系にするかだけでも決めておかないとキャパシティを無駄に消費してしまう事になりがちです。
また戦闘を多くこなす事で今就いているジョブの熟練度が上がり、戦士系ならば攻撃回数が増えて攻撃力アップ、魔道師系ならば各レベルの魔法の使用回数が増えるなどの恩恵があります。そのジョブに再度チェンジする際に消費されるキャパシティ量も僅かに軽減されるので、上位互換がない限りはなるべく一つのジョブに腰を据えて育てていく方がお得かもしれません。
本作は一般的なRPGと比べると少々システムが独特で、ちゃんと理解していないと面食らう部分も多々あります。以下にその一部をご紹介します。
まず本作での物理攻撃のダメージ計算は、『一度の攻撃で何回連続攻撃出来たか』で決まります。連続攻撃に成功した回数が多いほど当然ダメージ量は増え、戦闘を有利に運びやすくなります。
キャラの攻撃回数はレベル、今就いているジョブ、ジョブの熟練度など様々な要因が絡み合って決まりますが、中でも大きいのが『武器を二刀流にしているか』です。これだけで攻撃回数が都合二倍となり、特に前衛のダメージソースに大きく関わってきます。
一応ジョブによっては盾が装備出来、盾を装備する事で回避率も上がるのですが大抵のプレイヤーは筆者と同じく全キャラ二刀流にしていたと思います。攻撃は最大の防御、とはよく言ったものです……。
魔法は黒魔法、白魔法、召喚魔法と分かれそれぞれ対応するジョブでなければ扱えないのは一般的なRPGと一緒ですが、その魔法はアイテムとして手に入れたものを装備する事で初めて使え、更にレベル分けされたそれぞれに回数制限があるのが大きな違いです。例えば白魔道師の魔法欄でレベル1が10、レベル2が7となっている場合はレベル1の白魔法をどれでも10回まで、レベル2の白魔法をどれでも7回までそれぞれ唱えられるという事になります。
ここで特筆すべきは今就いているジョブでは使えない魔法も装備自体は出来るという点で、例えば戦士系のジョブに魔法を持たせておく事も可能だという事です。何の役に立つのかと未プレイの方はお思いでしょうが、持てるアイテムに制限のある本作においては、今は使わない魔法をアイテム欄に移さず持ち歩けるというのは地味に役に立ったりするのです。
肝心の魔法の使用回数はやはりレベル、今就いているジョブ、ジョブの熟練度など様々な要因で変わってきます。またジョブによっては使える魔法のレベルに制限がある場合があり、例えば白魔法なら白魔法の全てを覚える事は出来なくなっています。
これら二点は本作独自のシステムではなく、元は「ダンジョン&ドラゴンズ」などの古くからあるTRPGから影響を受けたものです。コンピューターRPGで言えば「ウィザードリィ」が似たようなシステムで、こちらもTRPGからの影響が強いものとなっています。
気を付けなければならないのは逃亡時で、本作では誰か一人でも逃げるを選択すると全員が逃げ腰状態になってしまい、受ける物理攻撃のダメージが何と四倍になってしまうのです。例え防御を選んでいても無効化されてしまうので、逃亡の際は敵のターンが来るより早く逃げられるのを祈るしかない状態となっています。
ならば全てを逃げずに戦えばいいのかと言うと、本作では長丁場になるダンジョンが多い上に途中セーブも出来ないのでどこかで節約を行わなければジリ貧になってしまいます。シーフの持っている『とんずら』を使えば逃げ腰状態にはなれど確実に逃げられるので、無駄な戦闘をしたくない時はシーフを入れておくと楽かもしれません。
さてここからは、ゲームシステム以外の特徴に触れていこうと思います。本作といえば飛空艇。何と本作では、全部で四艇の飛空艇に乗る事になるのです。
その飛空艇も船から飛空艇に変形するもの、空だけでなく海底も進む事が出来るもの、低い山を越えられる上道具屋と預り所まで完備しているものと特徴は様々。中でも潜水艦にもなれる飛空艇ノーチラスの移動速度は通常の歩行スピードの八倍と驚異的な速さで、爽快な反面狙った所に降りるのは大変だったりします。
シリーズでお馴染み陸の乗り物チョコボも本作にも勿論登場し、一方通行の乗り捨て方式とは言え足として大変役立ってくれます。またチョコボの生息するチョコボの森にある『チョコボ臭い場所』でギサールの野菜というアイテムを使うとビッグサイズのデブチョコボが現れ、普通のチョコボのように背中に乗せてはくれない代わりにアイテムの預り所になってくれるのです。
利用に必要なのはギサールの野菜のみで手数料も取られず、後半には飛空艇に常駐してくれるなどこの時代の預り所としてはかなり優秀な方だと思います。惜しむらくは本作にもう使わない、持ち歩くだけ無駄なイベントアイテムが一切存在せず、預り所の存在意義自体が低い事でしょうか。
そして本作を語る上で外せないのがこれ、ラストダンジョンの長さ。本作のラストダンジョン、クリスタルタワーは途中にセーブポイントも存在せずとにかく長い!
流れとしてはダンジョン進む→ボス戦→別のダンジョンへ飛ばされる→ボスを四体倒す→ラスボス戦といった感じなのですが、問題は別のダンジョンに飛ばされた後。ここに来てしまうともう二度と後戻りは出来ず、回復も手持ちのアイテムや魔法で賄うしかなくなるのです。
それでいて雑魚も途中のボスも勿論手加減なしの強さなので、一体何人の光の戦士がこのラストダンジョンで散った事やら……。一応このダンジョンに飛ばされる直前、ステータスが完全回復するのだけが唯一の救いでしょうか。
ファミコン最後の「ファイナルファンタジー」は、そのスペックを限界まで使った壮大なものとなりました。エンディングまで辿り着くのが難しいのだけが難点ですが、是非皆様にもこの楽しさに触れて頂けたらと思います。
とりあえず、今回はこれにて。




