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召喚系ファンタジー

勇者の願い事

大変心を打つ音楽をとある動画で発見しまして、思わず書き上げました。(こんなんばっかりだな私ww)

作成時間半日ほどですが、細かいことは気にせずさらりと読んでくだされば幸いです。

 


(いら)えよ〕


 時がとどまったように静まり返ったその場所で、響いた一言。


〔応えよ、応えよ。わが声に耳を傾け、わが声に応えよ〕


 まるで巨人がその手をめちゃくちゃに振るったような有様の、元は豪奢な大広間の中央で立ち尽くした細い背中。

 長い黒髪を纏めていたリボンはどこに行ってしまったのだろう。あれは我ながらとてもがんばって結んだのだ。

 幼馴染に指導されたけれど、どうしたって不器用だからあちこちはねてしまって、でもあの人は嬉しそうに笑ってかまわないといってくれたのに。


〔わが声に応え、わが前に汝の存在を顕現(あら)わさん〕


 足元には巨大な、光り輝く魔方陣。ゆっくりと回転しながら明滅し、まるで呼吸をしているように動いている。

 ひらりと翻る長いローブ。ああ、あの黒に映えるのは絶対黄か桃だと思うのに、どうしてもこの深緑がいいと譲らなかったっけ。


〔わが願いを聞き届けよ。わが願いを叶えよ。わが思いを知り、わが心を暴け〕


 時折血のにじむ包帯の巻かれた白い両手が前へまっすぐに伸びて、まるで見えない何かを差し出すかのように。

 あれを巻いたのはあまりにも擦り傷ばかりで痛々しいと言った幼馴染だった。

 スカートから出してきたあれらは容量的に入れられないか形がわかるはずだが、『内緒です』とごまかされた。


〔この身を持ちて(おもり)と為せ。わが髪を持って鎖と為せ。わが声を持ちて誓約と為せ〕


 ざわりと、目には見えないナニカ(・・・)の気配が近づいてくる。

 こくりと、溜まった唾を飲み込む。額を汗が通って、一瞬の涼しさを感じる。


〔わが代償を持ちて汝の名を知り、その名を持って汝を今ここに遣わさん〕


 あと一言、最後の一音を唱えれば、きっとその人とは二度と会えない。

 それでも、その姿を最後まで見届けるのが、私たち(・・)のたった一つ残った使命(プライド)だ。


 たとえそれが、自分の身を危険にさらしたくない、実力も容姿も立場も無駄にあるくせにいざとなったら言い訳を連ねた挙句さっさとあの人にすべてを押し付けて、結末を見届けて来いと命令された、立場も容姿も実力もない女騎士と、たまたま幼馴染という関係にあった、単なる雑用世話係に任命された平民の下級侍女であっても。


 互いの手を握ってすがらなければ立てないほどの重圧に歯を食いしばって身を寄せ合う。

 きっと、気絶して倒れていれば楽だったろう。

 けれど短くない旅のあいだ、無自覚に傲慢な騎士団長(貴族)や回復役(王族の姫)や魔術師(貴族)その侍従(貴族)やらのこちらの苦労をひとつも知らないやつらから出される、たとえそうは思っていなくても命令のような指示をこなして、ようやく傍を離れてできた、ふとした時に同じ平民仲間として親しかった友を見捨てることなど、できなかった。


 ふと、あの人がこちらを向く。

 『ばかだなぁ』とやわらかく細められた笑みを最後に見たのは、旅の仲間()連中の、『お前一人だけで魔王を倒せ』『ああ、そこの平民達は盾にするなりなんなり好きにしろ』という言葉を聞いた後。

 あの人は私たちをこっそり逃がして、一人で行く予定だったのに、私たちががっしりつかんで絶対離れなかったものだから、最終的に諦めたのだっけ。

 あの連中といても、いつか叩き切るか毒を飲ませそうという見解なのでついてくることは決定事項だったけれど。

 睨み付けるほどの眼力で視線を合わせる私たちを見て、やっぱりあの人は『ばかだなぁ』と声なくもやさしい笑みを浮かべて、何も言わず顔を戻し、最後を告げた。


〔わが前に来たれ。……『    』!!〕


 天が、落ちてきたのかと思った。


 あまりの重圧(プレッシャー)に、なす術も無く膝がくずれ落ち、無様に床へたたき付けられた。

 騎士道精神でとっさに支えた侍女の細い腰をつかみ、どうにかクッションがわりになる。握り締めた手が(きし)みそうなほどの痛みを訴えた。

 途切れそうな意識を手繰り寄せるためにこちらも有りっ丈の力をこめてる分、私より痛いだろう。あとでとっておきの傷薬を差し出して謝らなければいけないな。

 キーンという雑音で耳がいっぱいになる。くそ、これじゃ聞き取りずらいじゃないか。

 集中してあの人の言葉を、最後の言葉を覚えておかないと。


『    ?』

「くつろいでいたところを呼び出してすまないね」

『   。     、  ?』

「ああ、早速ですまないが、願いを変えてもらっていいかな?」

『   ……  、       『     』     ?』

「そう、そうだね。あの頃はそうだった。……でも、こっちにも大切な存在(もの)ができたんだ」

『   ?    、  、           ?』

「……まあ、その思いはもちろんあるさ。でも……ここであっちにいったら後悔するからね。だったらいっそ、こっちで好き勝手しようと思って、さ」

『   ?  、        ……。   、     ?』

「はは、まあね。……人は、みんな自分勝手なんだよ。私が勝手にそうしたいと思ったからそうするだけ」

『    。   、    』

「ああ、……アルテ、リッタ、目を閉じて、耳をふさいで、じっとしていてね」

『 ー ー?』

「よし、行くぞ…〔『   』の名とわが声、わが身、わが代償をもちいて破壊を為し、再生を為せ〕


 やさしい声の、最後の笑顔を見届けるのは。そこまでが限界だった。

 固まった手をむりやり引き離して侍女を己の下へかばい、耳をふさぐ。

 ぎゅ、と目を瞑った


『「    !!」』


 まぶたの裏ごしに光が見えて、すべてが真っ白に――――






 ただ一人(・・)、足を踏み入れた勇者の後を追った彼らが目にしたのは、色とりどりのうつくしいバラの花が咲く茨に包まれた魔王城の姿であった。

 中に入ろうとしても茨は意思を持っているかのように彼らの行く手を阻み、決して受け入れようとしなかった。

 また、切り払ったり、魔法を撃って焼き払おうとしても返って活性化してしまい、彼らの実力が高いのが仇となり、その範囲はさらに広がった。

 後退を余儀なくされた彼らは国に戻り、おそらく魔王は倒されたが最後の抵抗にあの茨を生み出して勇者諸共閉じ込めたのではないかと発表した。

 その後、魔王城に向かった捜索隊は城のみならず魔族の領地ぎりぎりまで聳え立つ分厚い茨の壁に顔を引きつらせて帰ってくることとなった。

 下手に攻撃すれば自国が侵されるかもしれない危険を、犯すことはできなかったためだ。

 幸い、攻撃しない茨はそれ以上増殖することも無く、また近くに立てた監視塔からは風にそよぐことも無い日々が続き、数年後には形ばかりの、体のいい左遷先、あるいは処刑場として利用されることとなった。

 一時はどうにかして茨を調べようとする学者もいたが、近づくだけで鋭い茨の鞭が飛んできたり、不幸な何人かが壁に引き寄せられ悲鳴すらも飲み込んでいく様を見て、慌てふためいて逃げるばかりであった。

 また、姿の見えなくなったアルテ=コージャンとリッタ=リーロの戸籍がひっそりと消され、行方を調べる家族の姿もまた、いつの間にか人々の間に忘れ去られた。

 このとき旅に出た騎士団長は姫を下賜される名誉を賜り、魔術師は王宮に取り立てられることとなる。

 侍従たちもまた命がけ(・・・)の冒険を乗り越えた強者(・・)としてそれぞれ高貴な家に取り立てられたそうだ。


 市民達はこれでまた平和が訪れたと安堵し、日常を取り戻していった。


 周辺の国より徐々に距離をとられ、衰退し始める前年のことである。












 どれほどの時が経ったか。

 一瞬のような、もっと長いような不思議な期間がやがて赤く、そして平常の黒に戻るにつれて、しぱしぱする目を幾度か瞬かせた。

 きょろり、と目線を向ければ、荒れ果てた大広間は変わらない。


「おわ、った……のか?」


 あの人の姿も、ない。それはつまり。

 唇をかみ締めたところで、下敷きにした友のうめき声が聞こえた。


「……っぅ、あ……?」

「っ、ア、アルテ?大丈夫か?」

「……ぉもい」

「今どく!」


 軽装とはいえ鎧と剣を着けていればそれは重いだろう。まして彼女は侍女だ。騎士のように毎日走り回るような仕事ではない。……決して、私自身の重みではないはずだ。うん。

 上体を起こしたアルテは体を伸ばした。ぱきぽき言っているが大丈夫だろうか。


「そんなに心配そうな顔しなくたって大丈夫よ。で、あの子は?」

「わからん。だが、あの大魔術を使ったんだ。……おそらく、もう」


 言うにつれて、声が細くなり、自然と首が垂れる。焦げ付いたカーペットがやたら上質そうだな、と現実逃避気味に思った。

 アルテもまた一筋の希望を破られ、がっくりとうなだれた。


「そんな……」

「大丈夫だよ。しんみりする必要ないって」

「バカをいうな!わたしだってあいつを守りたかったのに……くそっ」

「そうよ、大体あの子がこんなところに来ることになったのはあの腐れ貴族どもとお花畑王族のせいだもの。化けて出てもいいわよ!!」

「や、化けない化けない」

「バカを言え、あんな目にあって化けないなどお人よしにもほど……が……?」

「そうよ。大体あんなやつら頭ちょんぱしちゃえ……ば……?」


 ぐ・ぎ・ぎぎ・ぎ…とさび付いた鎧のような仕草で顔を上げ、右を振り向けば、むかつくほどの間抜け顔が無駄に器用なウインクとピースサインをかました。


「ハーイ☆」


「「で、でたああああああ!!」」


 城中に響き渡ったそれは、人生で一番大きな声だったと思う。

 その後一時間ほど、混乱のあまり大騒ぎになったが、魔王までひょっこり現れて『うむ、助かった』なんて友好的な態度で出てきたときにはどうしたものかと思った。


 まあ、それからさらにわあわあ騒いで、とにかく落ち着けと簡単な食事とかけ流しの風呂入ってふかふかのベッドでぐっすり眠らせてもらった。

 ついでに目をぎらつかせた城の侍女さんが飾り甲斐があると、日も昇らないうちからアルテ共々着せ替え人形にされたおかげで腹ペコである。

 げっそりした私たちとは対照的に、すっかり満足したらしい侍女さんたちは逆につやつやしていたが、あれはどういう原理なのか。吸い取られた感が半端無い。

 勇者もドレスを着せられそうになっていたが、逆に男装して黄色い悲鳴を上げられていた。『可愛い人、私と踊ってください』とか無駄に優雅な仕草で色気出しやがって。今時、手を取って口付けで上目遣いとかやらねぇよなんだあの空間。

 ふんわりしていても重くないドレスと、柔らかい素材でできたかかとの無い靴、凝っていても首が痛まない髪形は、さすが一流(プロ)といいたいが、それよりもご飯が食べたい。


 分厚いベーコン、とろとろのスクランブルエッグ。

 色鮮やかなしゃきしゃきのサラダにかかったコクのあるドレッシング。

 ふんわりと湯気の立つコーンスープに浮かぶ、香ばしい小さな木の実。

 だしの効いた薄味のやさしいリゾット、ふかふかの白いパン。


 正直言おう。生涯最高の食事だった。いや、昨日の夕食のサンドイッチもステーキがそのまま入っていたり卵や野菜がたっぷり入っていて美味かったが、これは次元が違う。料理長すっごいチャラいけどご飯()おいしい有難う。

 食後は、すっぱくて赤い…勇者いわく『はいびすかす』に似てる紅茶をいただいている。

 デザートは見たことも無い果物と、それらを使ったジャムを薄い生地とホイップで包んで食べるクレープだった。

 これ、蜂蜜かけていいですか?あ、追加のジャムまで……どうもありがとうございます。

 すっかり平らげて張った腹をさすりつつ、もう一杯『はいびすかす』をいただきながら、改めて現状を振り返っている。


「……つまり、この魔王城は要するにあの国のマッチポンプに協力する代わりにいろいろな物資を流してもらっていたってことですか?」

「……そして、それらが必要なくなってやりとりを制限していたあたりから魔族を傭兵として、あるいは奴隷として扱おうとしたことを察して国交を断絶したわけですわね?」

「そうそう、こっちはちゃんと理由を話したけど、それを受け入れられないあっちが土地ごと欲しがって、攻める口実にいらない村を皆殺しにして魔族の仕業ってことを吹聴して、私を呼び出した、って訳」

「その所業にもうあきれ果ててな。勇者の力と我の力、そしてこの土地を見守る『    』の力と、あと一族の力を合わせて強力な防衛壁…あの大きな茨の壁だな。あれを作って閉じこもったわけだ」

「……何というか……」

「……とりあえず、王族はやっぱりお花畑ということはわかりましたわ」

「でも、閉じてしまったらいつかは血が濃くなったりして大変なことにならないか?」

「あ、そうですわね。人口も少なくなってしまいますし……」

「それに関しては案ずるな。事情を知って我らと変わらず交流を取ってくれる国もいるし、それらのこともあの茨の設定に組み込んである」

「たとえば、世間のしがらみにとらわれない奴とか、研究一筋過ぎて学会追われた奴とか、反逆罪になっちゃったまともな貴族とか、死刑囚に仕立て上げられた市民とか、奴隷とか、そういう諸々の表面思考を読み取って、害が無くて居場所の無い人限定で受け入れられるように設定してあるんだよ!!害意がある場合は鞭で死なない程度に追っ払うようにしたり、追い払っても殺されそうになったら別の国に逃がしてあげたりして、けっこう大変だったんだよー。あ、国同士の交流のときは、あの国から見えないように出入り口作ってるけど、害意があれば追い出されるし、無ければそのまま通れるって感じにしたの。動物は基本オッケーだけど、嫌がってる子に変な道具つけられてたら、解除しちゃうようにしてる」

「あとは追々、というところだな。それぞれの事情も考慮したいのだが、あいにくそこまで複雑な設定はできない故」


 ふふんと胸を張る勇者と優雅に紅茶をたしなむ魔王よりも、窓の外。内側からは半透明になるらしい茨の外側にとても注目すべき箇所がある。

 ちなみに魔王城は城というよりあの国に対する砦のようなものらしい。

 あの国の国境線近くにできるだけ頑丈で大きな城を作り、背後に城下町や田園があるという。

 つまりこの窓からのぞくだけで、あの国との境い目どころか人の顔までもよく見える、というわけだ。


「受け入れるって……もしやそれは……あのように茨で引きずり込む形で、ですか?」

「あの今生の別れのように一塊になって運ばれるあれは、気のせいか私とアルテの家族のような気がするんだが……」

「そういえば、そなた達はあの場にいたのだったか。だったらそなた達の魔力もいくらか混ざっているだろうから、血がつながっていたりそなた達の魔力を持つものを持っていたら、受け入れられるべき対象になっているはずだぞ?」

「ちょ、ちょっと失礼!!」

「わああ、お父さんお母さんおにいちゃんおねえちゃん早まんないでー!!」

「その場合、たとえ抵抗しても決して怪我させぬようにしてあるから案ずるな……と、行ってしまったか」

「ふたりともあわてん坊さんだからねー」

 

 せっかく着せてもらった綺麗なドレスをたくし上げ、髪を乱しながらばたばたと足音高く走っていく二人の背中に転倒防止と衝撃吸収の魔術を貼り付けてやり、勇者は最後に取っておいた好物の果物を手に取った。

 ついでに侍女たちも幾人か静かに退出していった。おそらく服装の乱れを直しに行ってくれたのだろう。

 魔王は無駄に美しい顔を幾度かうなずかせ、顎に手を当てる。


「人間とは、面白いものだな」

「そう?」

「ああ、そなたのように奇特な者もいればあのように猪突猛進な者もいる。善なる者と思った次には悪の者となるし、ずっと善でいようとする者も、ずっと悪の者も、悪でありながら善である者も、はたまたそのどちらでもありどちらでもない者……あの王や王族のような俗物もいるが」

「ああ、そういうことか。人間は、とても染まりやすい生き物だからね。場所や育ちによって左右されやすいんだよ」

「ふむ……我らは時をとどめることを良しとしていたが、そろそろ変わってもよいかもしれぬ」

「ふぅん?どうするの?」

「そうだの……とりあえずは、」


 つい、と流した目線の先には、再会を賑やかに騒ぎながら抱き合っている家族の団子。

 色鮮やかなドレスの一方を捉えて、わずかな笑みを浮かべた。


「彼女と我が婚姻するとか、な。面白いと思わぬか?」



 言葉を理解した勇者の口から吹き出した果物のジュースが、魔王の顔面にべったりこびりつくまで、あと3秒。



 

 作中の空白はわざとです。

 女騎士さんに魔術の才能は無いので魔術のかたまりである『    』の言葉は聞き取れません、というここで言わないとわからない設定。

お読みいただき、ありがとうございました!!


 さくっと人物紹介


 勇者。名前なし

 女の子。普通の日本人。長い髪が自慢。男装やキザな仕草が似合うことから美形。わりとおふざけな言動をしているが、茨の設定や『    』との対話、大規模な魔術をあっさりと扱うことから相当な実力を持っていることが伺える。家に帰るための魔力全部を使って茨を作り上げたため、生涯こっちで面白おかしく生きてやろうと決意してる。でも最後にジュースを吹いた(笑)


『    』名前なし

ずっと魔族たちを見守ってきた。魔王はおっきい子供みたいな感じ。精神年齢は十代前半くらい。世界が生まれたときから存在している。物怖じしない勇者の願いをかなえるために力を貸しちゃう約束をするくらいにはなついてた。存在自体がすごく大きいので、呼び出してまともに話せるのは魔王か勇者くらい。


 リッタ=リーロ

 作中の語り手。女騎士。それなりに強いが平民出ということで下っ端扱いされてた。中の上くらいなちょっと美人さん。そばかすが気になるお年頃。男勝りで正義感が強い。かわいいものが好きだが、性格も手先も非常に不器用。犯罪者を逃がさないための縄を複雑に結ぶことはできるのに、リボン結びが方結びになる。部屋に大量のぬいぐるみを隠していた。ぬいぐるみを作るアルテの手つきを見るのが好き。


 アルテ=コージャン

 ちょっと影の薄かった侍女。リッタの幼馴染で同じく平民出の下っ端。中の上くらいのほんわり美人さん。日焼けが気になるお年頃。どこからとも無く医療品を取り出してきぱきと手当てもできる有能さをもつ。ぬいぐるみは手のひらサイズなら30分で作れるほど器用。剣に関しては技とか普通にできるのに、いざ裁縫となるとなぜあそこまで指を刺すのか不思議で仕方ない。リッタをイケニじゃなくてお供に侍女さんたちとお裁縫をするのがお気に入り。


 魔王。名前なし

 男性。古めかしい言い方をするが魔族の中では標準語。魔王というだけあって魔力も魔術の腕もぴか一らしい。考えも柔軟で、凝り固まった魔族の中ではわりと異端と思われる。リッタとアルテのどちらかと結婚したいらしい。年齢3桁以上は確実らしい。「たしか500までは数えたが……さて、あれからどれほど経ったか?」


 侍女さんたち。名前なし

 一応5~6人くらい交代しながらついてた。きらきらしい美形ばっかりな魔族ばかりなので、リッタやアルテみたいな平凡(魔族基準)を見た瞬間、『かわいい!!』と色めきたった。実は徹夜して二人の衣装を決めてたけど、全部着せてちゃ意味無い。勇者には男装とドレスと両方着て欲しかったが、男装した勇者の色気に鼻血が出そうになったらしい。でも仕事は有能。


 料理長。名前なし

 毎日おいしいご飯を作ってくれる。腕はいいがチャラいらしい。でもご飯はおいしい(←ここ大事)


 勇者の仲間()。名前考えたくない

 ほとんど勇者やリッタたちに戦闘を任せてた。実力間違いなく最強クラス。が、最凶と名高い魔王の相手はやりたくなかったので逃げた。見かけはきらきらの美形。年齢は十代半ばから二十代くらい。あわよくば勇者を篭絡したかったけど、魔王を倒させてからにすればいいや、という『お花畑』な考え。華々しく自分たちが活躍した話ばかり流している。勇者は添え物。後年、歴史学者に『国が衰退した原因』とか教科書に載ってしまえばいい。


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